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ジャイアント・キリング in 茨城

水戸ホーリーホックが2022年2月13日に行われたいばらきサッカーフェスティバルで鹿島アントラーズに1-0で勝利した。これは、単なる1勝ではない。なにせ90分間では史上初の勝利なのだ。

Jリーグファンなら当然のごとく鹿島アントラーズの常勝軍団ぷりはご存知だろう。3連覇を含むJリーグ制覇をはじめ国内3大タイトルの全てで最多の優勝回数を誇る。近年は主力選出の海外流出が影響して優勝こそないが、今回も戻ってきた鈴木優磨を含め荒木遼太郎など主力級のレベルは相変わらず高く上位争いをすると目されている。茨城出身の私からしても茨城県のサッカークラブ、といえば当然鹿島アントラーズだ。未だに私の親戚は決定機に外しまくったOB柳沢敦の話をすると機嫌が悪くなる人が多い。(個人的には柳沢敦は非常に好きだが。)しかもオリジナル10のクラブであり、一回もJ2に落ちたことがない。残留争いをした記憶もほぼない。Jリーグ屈指の上昇軍団だ。

一方の水戸ホーリーホックは一度もJ1に上がったことがない。6位以内が進めるプレーオフにあと得失点差1点で及ばなかったことがあるぐらいだ。近年は選手の踏み台としてJリーグファンには有名であり、前田大然、古くは闘利王も水戸ホーリーホックのOBである。超攻撃的なスタイルを売りにした2020年は得点数でJ2首位であった。活躍した選手がすぐに他のチームに引き抜かれる一方、くすぶっている選手も他のクラブから登竜門として送り込まれるので、例年選手の入れ替わりが激しい。今回も2021年に大活躍したFW藤尾が徳島へ、正GKとしてフル出場したニエカワと攻撃の核となった松崎が浦和レッズへ引き抜かれた一方、各クラブ期待の若手がこの地方クラブへ送り込まれている。

そんなJリーグの歴史からすると位置づけがはっきりしている両クラブにおいて、Jリーグの歴史が30年になろうとするこの時期にいわゆるジャイアント・キリングが起きた。

世界最高峰のイングランドでは、毎年ジャイアントキリングでFAカップが盛り上がっている。今年も6部のクラブが1部で上位のウェストハムにあと一歩まで迫り多いに盛り上がった。水戸と鹿島は2部と1部なのでこのイングランドほどの階級差はないが、歴史的に初めて90分で勝った水戸からすると開幕に向けて大きな自信となったであろう。

いつの時代も、どんなジャンルでも下が上を食う下剋上はワクワクする。日本のプロスポーツで分かりやすく公式戦でジャイアント・キリングが観られるのはサッカーぐらいだ。分かりやすくこのワクワクを伝えられる仕組みがなんとかできないものだろうか。。と思ったのと、仕事で落ち着いてきてしまって40代近い私としても、日常に彩りと闘志を保つべく、今日の水戸ホーリーホックの姿を目に焼き付けておこうと思う。

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