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肌がカサカサして痒い~当帰飲子

背中・すね・太ももがかゆい

見た目には湿疹や皮膚の変色などは何もないのに、肌がかゆい。
乾燥する季節は背中やすね、太ももなどがカサカサしてかゆいと訴える人が増えます。

そこで、皮膚の乾燥とかゆみに使われる漢方薬、当帰飲子(とうきいんし)を紹介します。

かゆみの原因

漢方ではかゆみの原因には、「熱・湿・燥」があると考えます。

「熱」とは、皮膚が赤くなったり、熱感のある状態です。
「湿」とは、水泡があらわれたり、ジュクジュクと分泌液がでているような状態。
「燥」は乾燥のことで、皮膚がカサカサして、ひどいとひび割れたり、粉を吹いたりする状態です。

かゆみは、熱・湿・燥すべてで起こりますが、原因が違うので対処が異なります。

「熱」であれば熱を冷まし、「湿」は乾かして水泡や分泌液を除き、「燥」は潤すことでかゆみを止めます。

当帰飲子は、乾燥によるかゆみを改善する漢方薬です。

血不足のかゆみ

皮膚の乾燥とかゆみはなぜ起こるかというと、外気の乾燥だけではありません。「皮膚は内臓の鏡」といわれ、皮膚の乾燥は体内の乾燥のあらわれです。

漢方では体を構成する成分を気・血・水と考えており、この中で皮膚の乾燥ともっとも関係が深いのは、血(けつ)です。血は皮膚に栄養を与えて潤すはたらきがあります。

肌に血が十分行き届けば、潤いとツヤがあって、新陳代謝が活発、皮膚の健康が保たれます。

ですから、血不足の体質があると乾燥とかゆみが生じやすいです。
乾燥によるかゆみの対策は、血を補い、潤いを与えること。

血を補う代表的な漢方薬に「四物湯(しもつとう)」があります。
当帰飲子はこの四物湯を含んでいます。

肌を潤し、かゆみを止める配合

当帰飲子を構成する生薬はそのはたらきから大きく2つのグループに分けられます。
ひとつは、血を補うグループ。
もうひとつは、かゆみを止めるグループです。

さらに第3の生薬として、皮膚のバリア機能をサポートする生薬も配合されていて、肌の抵抗力を高め修復を促進します。

当帰飲子の効能は「冷え症で、皮膚が乾燥するものの次の諸症:湿疹・皮膚炎(分泌物の少ないもの)、かゆみ」と表記され、皮膚乾燥症、老人性皮膚掻痒症、蕁麻疹、湿疹、アトピー性皮膚炎、乾癬などに使われるほか、脱毛症にも応用されます。

適切に使う2つのポイント

当帰飲子を適切に使用するためのポイントを2つお伝えします。
ひとつは、乾燥していること。
「血不足からのかゆみ」に効果のある漢方薬です。血不足では皮膚は乾燥してカサカサしていますので、分泌液が出ているものや水泡の湿疹には使いません。

ふたつめは、赤みが強くないこと。
かゆみのある部位や湿疹の色は肌の色とさほど変わりないことを確認してください。赤みが強い場合は、熱をもっていることをあらわします。当帰飲子は温める性質の漢方薬ですから、熱の強い皮膚症状には適しません。

まとめ

皮膚の「かゆみ」といっても、かゆみの原因にはいくつかあり、原因や皮膚の状態に応じて使う漢方薬が異なります。
当帰飲子は、血不足が原因の乾燥・かゆみ・湿疹などに使います。必ずしも湿疹がみとめられなくてもかゆみがあれば使用できます。
適切に使うポイントは、分泌液や水疱はなく乾燥していること、赤みが強くないことの2点です。
乾燥して肌がかゆくなる人は参考にしていただければと思います。

*漢方薬は症状・体質によって選びますので専門の人に相談することが望ましいです。

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