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カントにおける「公法の要請」

カントによれば、自然状態においては、潜在的な暴力に対する保障がなく、このような意味で「無法」状態にとどまることは「最高度の不正」である。

「すべての他の人々との避けられない共存の関係において、自然状態から脱出して法的状態へ、つまり配分の正義の状態へ移行すべきである」という義務は、「公法の要請」であるとされる。

配分の正義は、「何が、どのような法廷での判決が、個別の事例において所与の法則に照らして合法か」を判定するとされ、田中成明によれば、法廷における正義の有無が、法的特質のなかで最も重要とみられているという。

私見では、この法廷の判決を執行する強制力を持つ共同体の意志が、被治者の人格における尊厳に対して、責任を負うのであって、なによりも先ず、社会における共存・共生の関係の確立を義務づけられている、と考える。

<参考文献>田中成明『カントにおける法と道徳と政治』

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