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本当の自分を封印した日の話。


どうも、かわむらです。


僕は普段の生活ではゲイであることを隠しておりノンケと偽って生きています。

家族、職場の人、仲の良いノンケ友達にも、誰にも本当の僕を出さずに生きています。

ゲイとして生まれたことによって、カミングアウトするしない問題は大きな悩みの一つであると思います。

僕も自分がゲイなんだと確信した中学生の時から今までずっと悩みとして持ち続けています。

本当の自分を知ってもらいたいという思いはあるけれど、僕はとても臆病なので、あの時みたいに傷つきたくないから、ゲイである自分を隠し続ける選択をしています。

10年以上前、1番本当の自分を知って欲しい人に拒絶されたあの日から、ずっと隠していこうと。

今回はそんなエピソードを綴っていきます。




僕にはKという高校時代からの友達がいる。

Kとは同じ陸上部で、自分達の代は部員数が少なかったから、必然的に仲良くなった。

中学時代から陸上一筋のKとは違い、一応僕も陸上部ではあったものの、ほぼ帰宅部同然で全然真剣にやっていなかったから、陸上初心者みたいなもんだった。

別にほかのスポーツをやりたいと思わないし、また陸上でいいやと、そんな生半可な気持ちで入部した僕でもKは受け入れてくれた。

それからというもの、中学の頃から真剣にやっておけば良かったと後悔したくらい陸上にのめり込み、毎日毎日Kとトレーニングをした。

高校生の青春ドラマや映画にあるような恋愛みたいなのはお互いに全くなかったけれど、ただひたすらに走り、汗をかいて、疲れたーなんて言いながら部室でダラダラする。

そんな何でもない毎日をKと過ごすことがとても楽しくて仕方なかった。

僕がケガをして走れなくなり、リレーメンバーから外れた時には

「お前のために走るから」

と恥ずかしくなっちゃうくらいどストレートなことを言うもんだから笑っちゃったのに、1位で帰ってきてくれたあの瞬間、嬉し涙が止まらなかった。

本当に大切な親友だと思った。


高校を卒業しお互い大学に進学したけど、2人とも地元から通える大学だったから通学時間を合わせて電車で通った。

だからほとんど高校時代の延長で、これからもずっと同じ関係だと思っていた。

大学生活も数ヶ月すぎ、お互いにそれぞれ別の友達が出来た。

それでもいつも通り待ち合わせして一緒に帰る約束をしていた。

大体いつもKは遅刻気味で、逆に僕はせっかちで早めに着くことが多いから、いつものパターンね。と、しばらく待っていた。

案の定、少し遅れてきたKの横には知らない女の子がいた。

僕の姿を見つけるなり、その女の子とは別れ、こちらに来てはいつものように「お待たせー」とKは言った。

帰りの電車、いつものように他愛もない話をしていたはずなのに、僕はよくわからない気持ちでうまく話を聞けなかった。

帰宅してからもずっとモヤモヤしていたけど、そのモヤモヤが何なのかはすぐに分かった。

「俺、Kのこと好きやったんだ」

自分が女ではなく男に興味がある事は中学の時にはすでにわかっていた。

だけどKは本当に心からの親友だと思っていたから、そういう意味での好きという感情は無いと信じて疑わなかったのに、Kが僕から離れてしまうのではと思うと苦しくて、辛くて、どうすればいいのかわからなくなってしまった。

ぐちゃぐちゃになった気持ちを持ったままどれだけ時間が過ぎたかはわからないけど、仮にKが誰かと付き合う事になったら、どちらにしても苦しい思いをするのだから、いま、ちゃんとKに思いを伝えようと決心した。

その日はいつも通り2人で遊んだ帰りで、Kの家の前で最後解散する時に言うんだと朝から決めていた。

いざ、勇気を振り絞って言った。

「あのさ、俺、Kのことが好きなんだ。」

少し間が空いて

「あ、ごめん無理」

と。シンプルに振られた。

でも、きっとそうなるだろうと覚悟はしていたつもりだった。
だから笑って何か言おうとしたけど、Kは続けてこう言った。

「お前、それっておかしいからさ、病院行ったほうがいいよ」



その後、どのくらいの時間そこにいて、お互いなんて言葉を交わして解散したのか、これっぽっちも覚えていないけれど、自宅のある隣町行きの電車はとうの昔に終電が終わっていた。

仕方ないから、駅にいたタクシーに乗って家まで向かってもらった。

カミングアウトするまでは1日楽しくて、お金も使っちゃってたからほとんど財布に入っておらず
「ここで大丈夫です。」
と、人も店も何もない田舎道の途中でタクシーを降りた。

タクシーのおじさんもまた違った意味で「こんなとこで降りておかしい人だなぁ」
と思っただろう。

真夜中、ひとりぼっち自宅に向かって歩き始めた。

虚しく、寂しい気持ちになった。

孤独だと思ったら、涙が止まらなくなった。

いつも一緒だったKだから、付き合うことは出来なくても、受け入れてくれるんじゃないかなって思ってた。

けどKの言う通り、やっぱりおかしいんだと思う。
男なのに男を好きになるなんて。

受け入れてほしいだなんて、なにバカなこと考えていたんだろう。

同性を好きになってしまう気持ち。
同性を好きになってしまう本当の自分。

これはずっと隠していかなきゃいけないことなんだ。

もうこの先、誰にも言わないように、今日から本当の自分を封印しようと、18歳の僕はそう決意した。



続きはまた次回にします。


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