なぜミュージシャンは譜面を見るのか?
ミュージシャンと譜面について考察したい。
その昔、アルディメオラと渡辺香津美のアコースティックデュオのライブを見に行ったとき、二人は派手なフュージョンをやっていない頃で小さなハコで着席して演奏していた。
音楽としてはクラシックの室内楽みたいなこととアドリブをちりばめた極めて渋くて大人な感じだった。たぶん、これがそのときの模様だと思うけど、実際のライブはこういった分かりやすい曲は一切なしで自分たちの好きなような曲弾いて帰っていった。
クラシックのような曲調のため二人の目の前には譜面と譜面台がでかでかと広げられていて前の方に陣取った私の席からはギターや運指ほとんど見えず、譜面の裏側と渡辺香津美のモチモチした顔しか見えなかった。仕事明けだった私はすぐに眠くなってしまい、開始そうそうに居眠りを始めて、起きて眠って起きて眠ってを繰り返した。そしたらライブは終わっていた。
正直高かったライブで楽しみにしていたのにこのようになってしまったのは譜面台のせいだとずっと思っていた。プロの癖に、高いギャラもらってるくせに譜面がなければ何も演奏はできないのか?それまで見ていた例えばエアロスミスやクラプトンなんて譜面なんか見てなかったぞとか。
あまり興味のないような音楽を仕事でやらなければならない時に仕方ないのでプロでも譜面台を置くと思った。
そんでほぼ同じタイミングで朝比奈隆を見に行って思ったのだけど、当たり前だがみんな譜面を見ていた。
なぜエアロスミスは譜面を見ないのに朝比奈は譜面を見るのかと思ったが、多分それはクラシックがエアロスミスより比べものにならないくらい難しいからだということにふと気付いて世の中を見渡すとけっこうプロの人も譜面を見ているのに気が付いたりした。
むしろロックのように見ないで演奏というケースの方が少数派なんじゃないかと思うようにもなってきた。
じゃあむしろ逆に例えばマーラーみたいな長い交響曲を譜面なしで演奏したら面白いんじゃないかとか思ったりもするが譜面を暗記する暇なんてないだろうなと。
結論なんてないが、アルディメオラには申し訳ないがチケット代を返してもらいたいと今でも思ったりする。
おしマイケル。