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飯テロドラマのパイオニアって話


 9月に入って一週間。夜になると鈴虫の声がしている。蒸し暑さは残るけれど、確かに秋を感じている。そんな中、俳優・松重豊が主演を務めるグルメドキュメンタリードラマ「孤独のグルメ」のシリーズ第10弾が、10月クールより放送開始。とのニュースが!シリーズのファンとしては「もうそろそろ、フィナーレかな」とか、「いやいや、なんとかもうワンシーズン」というような思いもあった中、”実りの秋”に訪れたこの一報を嬉しく思う。

 同シリーズは輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎(松重)が営業先で見つけた食事処にふらりと立ち寄り、食べたいと思ったものを自由に食す、至福の時間を描いたグルメドキュメンタリードラマ。登場するお店は実際にある店舗で、本編終了後に原作者・久住昌之氏がドラマに登場するメニューを食べながらお店の人と語らうのも人気のひとつ。観ていてほっこりする。

「孤独のグルメ」の原作コミック

  空腹という、「マイナスの精神状態からはじまる物語」というのがミソ。
だからこそ、マンガでは焦ってつまらない店に入っちゃうこともあるし、勘を頼りに名店を探し当てる喜びもある。しかし、だからこそワクワクする。
視聴者や読者は、そんな五郎の姿を楽しんでいるのだろう。僕もその一人。

 さまざまな街でひたすら腹をすかせ、飯を食う。食うのは、いわゆる「グルメ」とは程遠い、街場の普通の飯だ。ただそれだけの物語にもかかわらず、多くのファンの胃袋を掴む「飯テロドラマのパイオニア」ともいえる作品。それが「孤独のグルメ」だろう。食欲の秋、また孤独な闘いが始まる。

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