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ぽろぽろ
私がやってみたかったこと。
まずはバイトで沢山稼ぐ。
お金が貯まったら、旅行に出る。
月一くらいのペースで。
見たことのない景色を見て、美味しいものを食べる。
私は私なのだと実感しながら、綺麗な空気とご飯でちゃんと体を満たしてみたいなぁ。
あと、運転。
自分で色んなところに車で行ってみたかったな。
祖父母に恩返しで、乗せてみたいな〜なんて。
祖父は体が不自由だけど、きっと私が車を出せば、どこへでも行きたいと言ってくれるもんね。
それから、RADWIMPSのライブに行く。
コロナ禍になっちゃって、当選していたチケットの公演が中止になって以来行けてないよ〜。
洋次郎の歌声聴いて、うっとりしてみたかった。
あとは、小説を書き上げること。
エッセイ本でも良いな。創作を趣味として続けてみたかった。
この症状あると、文字が頭に入りにくくてさ。横に流れていくんだよ。
頑張れば書けるんだろうけど、すぐ目がチカチカしちゃうんだよね。
私が今書いたことぜんぶ、離人症でも出来ることなのかもしれない。
できると思う。
その気になれば、たぶん。
でも、感じられないからさ。
私にそっくりのお人形が何かやってるな〜という感じで、私じゃないからさ。
悲しいよ。
友達の輪の中に入っても、そこにいるって思えないんだもん。
どうして、皆んなは普通でいられるのかな?
ピントが合わないレンズで世界を見て、何も気にせず楽しめる人がいるなら教えてよ。
何度も無視したよ。私が見ているのはちゃんと現実だから、そんな幻に付き合ってられないって言い聞かせた。諦めて、離人感と肩を並べた時もあった。
でも私は抜け出せない。
あぁ、でも。大切な人がいる。
私は、その人と生きたいと思う。何度も思う。
誰よりも温かい目で私を見て、泣きそうなくらい優しい言葉をくれる。
手を繋ぐとちゃんと体温があって
「寒いね」と言えば「寒いね」と
「美味しいね」と言えば「美味しいね」と
何気ない言葉を交わして
「大丈夫だよ」と抱きしめてくれて
私がここにいる証明をくれる。
その人のためにも、負けちゃいけないと思う。
こんな訳のわからない症状に、構っているほど暇じゃないのだと思う。
私は生きてるんだから、もう良いじゃない。
怯えずに、堂々と症状と共存していけば良いじゃない。
私の弱虫、馬鹿野郎。
何が「やってみたかった」ことだ。
自分の生き方を変えるのが怖くて、過去形にしてるだけじゃないか。
結局私は敗北しているじゃないか。
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