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INFJ・INFPが人生ハードモードな理由

 INFx弱すぎ問題。これはMBTI界隈では割と通説になっていて、筆者(INFJ)も常々思っていることだ。今回はこのテーマを考察していく。


なぜINFJ・INFPは生きづらい?

 MBTIにおける16タイプは心理機能による優先順位が違うだけで、優劣はないというのが建前だ。だのに何故、INFJ・INFPはなぜか生きづらい性格だと自他共に言われてしまっているのか。一体どうして……?

これは理屈で考えれば「ESTP・ESTJの真逆の性格だから」というの結論となる。このような正論風ロジックで表現すると何となく正しく思えて納得してしまうが、でもやっぱり釈然としない部分もあって、スッキリしない。

 実際のところINFJやINFPは「生きづらい」とSNSやnoteでつぶやいている人が有意に多い。筆者(INFJ)もそうした生きづらさをずっと感じてきた当事者だ。その半生を振り返って一言で表すとやはり「苦しい」の一言に尽きる。この人生の8割くらいは「苦しい」だ。

INFJやINFPが元々がそういうダウナー気味な性格をもった人々である可能性も考えたが、MBTIには不健全という概念があり、強いストレス下に置かれるとこうなるのは全タイプ共通なのできっとそれは違うのだろう。やはり何らかの環境要因があると考えた方がよさそうだ。

そんなわけで、今回はINFJやINFPの人生がハードモードになりやすい理由を、自身の体験談も踏まえて考察してみたい。

劣勢機能のペナルティがキツい

 INFJやINFPが生きづらい主な理由は劣勢機能のペナルティがキツい点だろう。いずれも汎用性が高い機能であるため、日常生活・社会生活への支障が大きい。

このためINFJ・INFPは馴染める環境がかなり制限されてしまう。就職においては尚更深刻で、適職選びで物凄く苦労することになる。

INFJの劣勢機能Se

 まずINFJは劣勢機能Seとなっており、五感を感じる・体を動かすといった動的環境全般への対応を苦手としている。つまり日常生活全般に影響が及んでしまう。それはスポーツやアルバイトにおけるマルチタスクアドリブ対応の際の動作性や、間合いや空気を読むコミュニケーションにも影響し、果ては楽器・ダンス・イラストといった自己表現にまで及ぶ。

これはINTJも同様だ。体育の授業はいつも憂鬱で、チーム分けのジャンケンをすると最後まで選ばれない。2人組のペアだといつも余って先生と組むことになる。飲食店のアルバイトはクビになる。車の運転はバック駐車が苦手だし、ひどいと断念するレベルだろう。これが不自由こそがSe劣勢者の日常だ。

 このためINFJ(INTJ)は「普通の人が普通にできることがいつも自分だけできない」という劣等感・疎外感を常に味わうことになり、それが主機能Niを先鋭化させる。彼らのどこかシリアスで余裕のない雰囲気はきっとそれだ。INFJも表面上は優しいがNiユーザー特有のどこか不穏で熾烈な雰囲気を隠せていない。

INTJはTeの競争心・Fiのエゴイズムで反骨精神を発揮して戦うことができるが、INFJはFeの利他性・Tiの内省があるので罪悪感・申し訳なさが先に立ってしまい、自尊心や自己評価が極端に低くなってしまう傾向はあるかもしれない。INFJは「自分」がない人が多い。

INFPの劣勢機能Te

 INFPは劣勢機能Teとなっており、良心を顧みない競争、真心を無視した冷酷な振る舞い、正論による批判や叱責、権力による強制や束縛といったものを嫌う。つまりビジネス的な環境や価値観にアレルギーが出やすい。学生時代ならたとえば体育会系の部活、受験など競争的雰囲気や、それを推進する高圧的な先輩や教師や顧問からは距離を置きたいだろう。

就職ならば成果主義の強い企業、厳しい訓練を課す軍隊や公安職、ノルマや詰め、クレームのある営業職全般はINFPにとっては困難だろう。ところが就職は賃金が発生してしまうので距離を置くわけにもいかず、それまであった逃げ場所もなくなっていよいよツラくなる。

 もうひとつツライのは、INFPは補助機能Neを持っていることだ。劣勢機能Teがアレルギーを感じている状況で補助機能Neが刺激されると、自身が身を置く環境の外側に「未来」や「可能性」を見出そうとしてしまう。「ここは自分が要るべき場所じゃない」という心の声が段々と強くなり、ついには逆らえなくなってしまうのだ。このためINFPは体育会系・軍隊・ブラック企業のような抑圧的環境に特に耐性がなく、逃げ癖が付きやすい。

この点ISFPは補助機能Seなので、目の前の環境に適応する能力が高く、またINFPとは違って世界観が広くないことが幸いして抑圧的環境にもそこそこ耐える。劣悪な環境でも「そういうもの」としてすんなり受け入れ、うまく適応してしまうのがISFPの強みとなる。(逆に世界観が狭いことで「外の世界」の存在に気付かず、意味を考えないことで自身に置かれた環境や境遇に対する疑問に持たないことがISFPの弱みともいえる)

傷つきやすい(HSP傾向)

 これはなんでかはわからないが、INFJ・INFPはHSP傾向が強いとされる。医学的・心理学的は裏付けはなく、体感的・印象的なものになるが、HSPっぽいタイプというとまず筆頭に上がるのがこの2タイプで、実際のところ繊細な人が多そうな感じはある。

……まあ言われてみれば、I(内向)の内省 x N(直観)の想像力 x F(感情)の共感力 とダメージがマシマシになるような仕様になっているので、なんとなくHSPが多そうなイメージはある意味で正しいのかもしれない。

筆者(INFJ)の場合

 筆者はHSPなのかどうかはわからないが、どうやらそのきらいはあるようで、「すぐ泣く」のが幼少期からのコンプレックスだった。これは大人になっても克服できておらず、上司に凄まれたり詰められると涙目になってしまうので非常にみっともない。生理現象ゆえどうにもならないので、せめて人目にはつかないようにしている。

また生来の泣き虫と関係があるのかはわからないが、筆者は共感性羞恥が働きやすい。テレビ番組のドッキリ企画や、アニメ・映画のいじめのシーンではどうしても苦手で、フィクションと分かっていても顔をそむけるか、部屋から出て行ってしまう。

 そんな性分なので、職場で他部署の人が上司に叱責されている場面は「これはツライな…」といたたまれなくなってしまう。ちなみに辞めそうな人はなんとなくで分かる

なので筆者なりに「お疲れ様です~」とそれとなく話を聞いてみるのだが、気さくに応じてはもらえても結局結末は変えられず、無力感や罪悪感に苛まれることが多い。

よく考えればオマエは何も関係ない部外者なんだが、その人の立場・心境を想像すると気の毒になり放っておけなくなってしまう。それを見た上司から「人のことよりまず自分のことをやりなよ」と言われるとさらにヘコむ。……とまあ、こんな感じである。

イジられやすい

 INFJ・INFPは何かといじられやすい。おっとりしていて緩慢で、しかも攻撃性が低いのでターゲットになりやすい。これはしょうがないのだが、対応を誤ってしまい「いじめ」に発展してしまうケースがままある。

「いじり」はマウンティングの一種であり対等な関係ではない。このため主機能FiのINFPは特に嫌がるだろう。相手の了承を得ない一方的意思表示であり、他者への敬意や尊重を欠いた態度であり、対等な関係でないことに悪意(=知っててやってる)であるからだ。INFPはFiによって、自身が「攻撃」されていることにすぐ気付く。

INFJは自らの感情に疎いため自身が「攻撃」されていることにすぐ気付けない。もし気付けても穏便に済ませたいので不快感をすぐ出さないことが多い。ただし「いじり」への対応は即興性が問われるため、マルチタスクやアドリブ能力の低いINFJはやがてボロを出し、対応を誤り相手の不興を買ってしまうことになりやすい。

 「いじり」に対する対応は、それに甘んじるか、戦うかのどちらかしかない。Se・Teの脅威に対しては、こちらも抑止力としてSe・Teを用意するか、直接相手にぶつけるしかない。ここで補助機能にSe・Teを持つISFPISTJ「やるときはやるヤツ」とみなされるため、普段寡黙ながらいじりのターゲットになることは少ない。

INFJとINFPはSe・Teで対抗すること自体は正しいが、どちらの劣勢機能であるためどうも予後が良くないことが多い。INFPは露骨に嫌悪感を示すことで、INFJは即興性でボロを出すことで相手の不興を買って「いじめ」に発展しやすいところはあるかもしれない。

適職が少ない

 そんなわけでINFJ・INFPは適職選びに物凄く苦労する。なぜなら世の中の職種で多くのパイを占めるであろう営業職・技能職・現業職に対する適性が低いからだ。有効求人倍率の高い仕事(=就職しやすい仕事)に軒並み適性が無いためキャリア形成の難易度が高く、また経済的に困窮しやすい。

一般事務職・管理部門職・公務員になりづらい男性にとっては尚更深刻で、この時点で職業の選択肢がかなり制限されてしまう。適性外の職種にしか就けないことが多いため長期キャリアの獲得が難しく、転職を繰り返すため一貫したキャリア形成ができない苦しさが常に付きまとう。

 向かない仕事とわかっていながら仕方なく就いて、やっぱり向いていなくて辞めて、キャリア上の選択肢がないためにまた同じような仕事に就いて、また辞めて……と繰り返してしまい、いつになっても地に足が付かない。(特に男性の)INFJ、INFPの人生の苦しさはこれに尽きる。何歳になっても居場所や適職を得ることができず、ジョブホッパーとして漂うことになる。

もともと男らしさに欠けるところがあるINFJ・INFPだが、そもそも定職が続かないので恋愛や結婚どころではなかったりする。中流層の没落や、非婚化の原因も一端はこれだろう。男性全体から見た場合のINFJ・INFPは少数派にすぎないが、決して無視はできないと思う。

ジェンダーロールと噛み合っていない(男性)

 INFJやINFPは他人との対話・相互理解を通して、自分探しを行いながら、人生の目的を見出すタイプといえる。INFJなら他人や社会との関係性から「自分」を発見することで、INFPなら自身の内にある感受性を用いて他人や社会との「繋がり」を獲得することで日々成長をしていく。

よってNF型は他人と心を通わせることがどうしても必要となるタイプになるのだが、この点男性だとこうした機会が思うように得られず、健全な発達ができない人が多いのかもしれない。このため、たとえばINFJなら本来備わっている補助機能Feが捨て置かれて代替機能Tiばかりが伸びていき、こんな感じ(筆者)みたいになってしまう。

 たとえば女性同士が当然にやっている「一緒にご飯を食べる」「恋バナをする」「お泊りする」「旅行する」といったイベントは、男性だとかなりレアケースで体験難易度が高い。せいぜい合宿やサークルなんかの学生時代の公式行事に限られるし、何らかの形でSeが求められることが多い。社会人になったら彼女や妻を親友代わりにするしかない。

そもそも男性の場合、他者理解をあまり必要としないST型が多数派で、協力したり理解を深めたりする機会がないことが多い。かといって男性である以上は女性社会やコミュニティに受け入れられることもない。このためINFJやINFPの男性はマージナルマン(境界人)として、共感的価値観と男性社会のどちらにも属することができず、疎外感を味わいやすい。

まとめ

 INFJやINFPの生きづらさ・人生ハードモードとなる要因を考えてみた。まとめるとSe・Te的価値観の強い男性社会に馴染みにくく、キャリア形成でつまづいたり経済的に困窮しやすいというのが主な理由になるのかな。この点女性の場合はまだ少しマイルドで「友人関係に馴染めない」とか「親がわかってくれない」とか思春期の延長線上的な悩みが多そうに見える。

ただ「女子会」や「ママ友」のようなSF的価値観の色濃い場所だと、INFJやINFPは浮いてしまって長く留まれなさそうなのはなんとなくわかるし、最近は営業職のようなST的価値観の強い場所に身を置かざるを得ない女性も多い。疎外感や居場所のなさという意味では男性も女性も共通していてあんまり変わらないのかなとも思う。

しかしINFJやINFPはただヤワなだけでもない。長年そうやって生きづらさを味わっているだけあって、何らかの対応策や処世術を心得ていることが多い。筆者も伊達に何年もサラリーマンをやっていない。それについては次回かな。今回はこの辺で。

続き(対応策と処世術)


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