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『人生論ノート』断念することについて

人間、希望が叶わなかったり、望みが実現しなかったりすることで落ち込んでしまうことが多いと思います。希望を断念しなければならないときに人生論ノートはこのような言葉を与えてくれています。

断念することをほんとに知っている者のみがほんとに希望することができる。何物も断念することを欲しない者は真の希望を持つこともできぬ。

例えばAやBやCといった複数の希望を持ったときに、私達はすべてをかなえてしまいたいと思いがちです。けれども、そんなに人間は多くのことはできません。むしろAができない状況になり、Bはする必要のないことがわかれば、Cが私にとって本当に人生でかなえるべき希望であると言うことがわかります。

加えて言えば、Cですら失われたときに、絶望する必要があるのでしょうか。むしろ、Cが自分の人生にとって本当に必要であったか、それはDではいけないのか。本来の希望とは何であったかを考えるきっかけになるのではないのでしょうか。

秋が来て、冬が来て、春が来る。植物は、秋には落葉がはじまり、冬に葉っぱが一枚もなくなったのちに、春になって、また新しい花を咲かせることができます。人生も似たようなものではないのでしょうか。

人生の時間は有限です。若輩者の戯れ言ではありますが、ある希望が奪われたからといって、そのことで絶望する必要はないのだと思います。

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