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【全文無料】 2020年秋シティリーグ秋葉原全勝優勝 クラハン三神ザシアン

今回は、2020年10月17日のシティリーグシーズン1@イエローサブマリン秋葉原店で優勝した三神ザシアンのデッキを紹介します。

私は1年半前にポケカを始めた中級者程度のプレーヤーです。過去にCLやシティリーグへ出場したのは1回ずつで、今回初めて公式大会で成績を残すことが出来ました。日頃よくポケカのnoteを購読・参考にしていまして、今回の記事は少しでもその恩返しにと思って執筆してみました。決して斬新な構築ではないですが、微力ながら皆さまの参考になりましたら嬉しいです。

追加(2020年12月27日):シティリーグシーズン2@トーナメントセンターバトロコ高田馬場店においても同様のデッキを使用してベスト4に入賞しました。現環境でも十分戦える構築だと思います。

環境考察(2020/10/17)とデッキ選択

まず横浜CLとシティリーグ第1週の環境については、ガルシアさん@Trubbishx3 の記事がよく整理されていたので、ぜひご一読頂くと良いと思います。

https://note.com/trubbishx3/n/n001fe5b338f1

この記事の中で、先週のシティリーグのベスト4以上のデッキ分布は以下の画像の通りでした。

ベスト4以上のデッキ分布

【ポケモンカード】スタンダード環境分析 10月1週目~2週目「シティリーグ(10/10-11)ベスト4以上のデッキ分布」より引用

最初に目を引くのは、三神ザシアン、ムゲンダイナVMAX、ズガドーン、マッドパーティの4デッキで全体の60%を占めている点です。特にCL横浜時でも活躍したマッドパーティの注目度は高く、前週のシティリーグではマッドパーティが大流行していました。また、その対策としてズガドーンにボーマンダ、三神ザシアンにフェロマッシを採用したデッキも見られました。

今週は前週と比較して劇的な変動はないものの、多くのプレーヤーが三神ザシアンとマッドパーティを意識するだろうと考えていました。その結果、主なデッキタイプは以下のような増減をすると予想していました。

・三神ザシアン(維持→):全デッキからメタられて若干握りにくい

・ムゲンダイナ(増加↗):流行のマッドパーティに回収ネット型が強い

・セキタンザン(増加↗):マオ&スイレン等でマッドパーティに強い

・ズガドーン(減少↘):ベンチバリア採用型のマッドパーティが厳しい

・マッドパーティ(減少↘):ムゲンダイナとセキタンザンが厳しい

当初は、ベンチ狙撃を防ぐカードを採用した、ジラーチ♢型のマッドパーティが使用候補でした。しかし、実際に使用してみると、三神ザシアンへの勝率が思うほど安定せず、ムゲンダイナやセキタンザンも厳しいと感じました。そして、その他のデッキも各々に弱点があり、なかなか答えに辿り着くことが出来ませんでした。

私は過去の大型大会で、握りなれていないデッキを使用して、力を思うように発揮できなかった苦い思い出があります。環境に適しているからといって経験値が少ないデッキを握って勝てるほど、自分の実力は高くありません。そこで、今回は悩んだ結果、1年近く握ってきた三神ザシアンを最終的に選択しました。

デッキコンセプトとクラハンの認識

シティリーグは、優勝するまでに合計7〜8試合戦うことになる大会です。CLよりも対戦数が少なく、全体の7割を占めるトップメタへの対策が厚くすることが大事です。今回は、三神ザシアン、ムゲンダイナVMAX、セキタンザンVMAX、ズガドーン、マッドパーティ、この5デッキへの勝ち筋を太くしたいと考えました。

今回最も悩んだのは、使用率最上位の三神ザシアンとのミラーマッチにおける対策です。最近の三神ザシアンには、後攻1ターン目にオルタージェネシスGXを狙う戦略が多く見られますが、それはこちらが先攻を取った時に後攻となる相手側にも同じように存在します。つまり先攻でも後攻でも、現状のスタンダードな構築では、ミラーマッチにおいて明確な有利は取りにくいのです。

特に、後1オルタージェネシスという戦略は、スタンダードな構築での成功率は5割、特化しても7割という認識でした。今回のように試合数の少ないシティリーグでは、そもそも後攻になるのが3〜4試合しかなく、特化しても成功回数が1試合増えないほどの期待値です。そのため、後1オルタージェネシスだけを戦略の軸にするのは線が細いと考えていました。

また、次点で環境に多いと考えていたムゲンダイナVMAXも、三神ザシアンのスタンダードな構築では五分五分の相手です。そこで、ミラーマッチとムゲンダイナVMAXの双方に有利となるように、今回は最速で後攻1ターン目にオルタージェネシスGXを打てる選択肢は確保しつつ、相手のテンポを遅らせるためにクラッシュハンマーを採用することにしました。

クラッシュハンマー

このクラッシュハンマーというカードは、ポケカ界においてよく賛否両論を呼ぶカードです。結局は運に頼ったコインゲーになってしまうという考えで、嫌う方も多いかも知れません。ただ私は少し違う認識を持っていて「試行回数を確保出来た上で、あくまでも期待値通りの結果で有利となるならば、採用価値は十分にある」と考えています。

少し具体的に書きますと、例えば、相手の三神ザシアンとムゲンダイナVMAXに対しては、「こちらの後攻1ターン目か先攻2ターン目までに、クラッシュハンマーを2回使用出来るなら、期待値上は余分に1ターン得られる可能性が高い」ということです。これは後1や先2でデッキを20枚以上掘ることが多い、三神ザシアンにおいては比較的達成しやすい条件です。今回、全7試合でクラハンを21回振って11回成功しましたが、私にとって成功率よりも大事なのは、全7試合中6試合は2ターン目までに2回クラハンを振ることが出来たという事実でした。

ポケカもカードゲームである以上は、確率は大切です。たとえコインを振らないデッキだったとしても、後1オルタージェネシスが使用できるのも、最後にボスの指令が引けるかどうかも、結局は確率になります。しかし、その確率を高めるための工夫は出来るはずです(デッキ圧縮やカードのプレイの順番を変えることで、キーカードを引く確率を高めることは一般的に行われています)。この工夫をクラッシュハンマーに当てはめれば、早期の試行回数を確保することに尽きるのだと思います。

三神ザシアンをずっと使用していて気づく当たり前の事実は、オルジェネ後にアルティメットレイまで宣言できれば、このデッキはサイドレースでほぼ負けないということです。だからこそ、①自分のテンポを早めて、②相手のテンポを遅らせる、この2つの基本的な戦略を両立することが、このデッキが持つ本来の強さを最も発揮できるコンセプトなのだと考えています。

デッキリストと採用カードの解説

以下に今回使用したデッキのリストと採用理由をお示しします。

デッキリスト

・ザシアンV 3枚

本当は4枚欲しいですが、枠がないので3枚です。昨今の無人発電所+マリィに対しても強いので、なるべく初手に場に置きたいカード。特にセキタンザンとのマッチアップでは打点が重要なので、必ず2体使用します。三神のオルジェネに頼らずとも、このカードだけでもサイドを取り切れる力があります(実際に今回の準々決勝でも三神を使用しませんでした)。先攻2ターン目に三神のオルジェネではなく、ザシアンのブレイブキャリバーから入って相手のVポケモンを倒し、VMAXアタッカーを立たせずテンポを取っていく選択肢は、三神ザシアンでも常に保持しておくべきだと思います。

・アルセウス&ディアルガ&パルキアGX 2枚

基本的な戦略の要なので、サイド落ちを考慮して2枚です。三神ザシアンは、オルジェネの返しに三神を倒されるとアタッカーが間に合わなくてそのまま負けるケースがあります。三神が倒されて後続が育たない場合は、オルジェネを打たずにアルティメットレイから入るべきです。特にVMAX相手だとオルジェネを打っても打たなくても、勝利までのターン数が変わらない可能性があります(例えば、オルジェネ後にVMAX+非Vを倒してサイド4-2取るプランの場合、オルジェネ込みで4回技を使う必要があります。これはオルジェネを使わずに、アルティメットレイ+ブレイブキャリバー×3でサイド6枚取れる場合と、実は必要ターン数は変わらないのです)。

三神ザシアンは、オルジェネから入る基本的なゲームプランの明快さが使い易い点ですが、オルジェネを飛ばして2ターン目からザシアンや三神で殴るといった、それ以外のプランを常に持てると一段強くなる気がします。

・デデンネGX 2枚 + クロバットV 1枚

こちらは確定枠ですが、ミラーマッチやセキタンザンとの試合において、なるべく場に置かないようにプレイします。三神ザシアンというデッキでは、いつデデンネ・クロバットを使うかの判断が重要で、私の場合は、デッキの残りのエネ枚数や、ボールの枚数、そのターンでボスを使用する価値などで、判断することが多いです。特に、後1オルジェネを狙いすぎて、序盤にデデンネ・クロバットを使いすぎないように注意が必要です。これらを2枚消費した上でオルジェネを決められなかった場合は、終盤に必要パーツを揃えるのが難しくなります。もし後1オルジェネしか勝ち筋がないのならば、構築から見直してみるのも良いかも知れません。

・クチートGX 1枚

これも必須枠です。このデッキはベンチ枠にあまり余裕がないので、残りのメタルソーサーの枚数に応じて、ザシアン2体目とどちらを置くか考える必要があります。また、最近のズガドーンはツールボックス型が主流でGX・Vポケモンも多いので、クチートの特性でベンチに出させてサイド3-3プランを狙うのも有力です。

・ジラーチ 2枚

私はずっとジラーチ型の三神ザシアンを使用してきました。クラハンの上にジラーチを採用しているのでデッキの枠をさらに圧迫しますが、今回の大会でも活躍してくれました。ジラーチを採用するメリットは、①デデンネ+クロバットを出さずにデッキを回せる可能性がある、②バトル場にジラーチを置いてのマリィで展開に差をつける、③リセスタからの復帰、④マッドパーティへの対策(後述)、⑤初手に強いポケモンのかさ増し、だと考えています。

昨今はアブソルも多く、決してジラーチが動きやすい環境ではありません。しかし、このデッキはサイドを先行するタイプの三神ザシアンであり、リセスタを必ず打たれます。その時にジラーチが盤面にいないと、せっかくのアドバンテージが無駄になり、終盤で1ターン遅れてしまうことが多々あります。元々は3枚採用していましたが流石に枠がないため、アルティメットレイを打つタイミングで場に1体は置けるよう、最低限の2枚としました。

・クイックボール 4枚 + プレシャスボール 2枚

・メタルソーサー 4枚 + ポケモンいれかえ 4枚

こちらも三神ザシアンでは必須枠なので、特に減らす理由はありません。このデッキではメタルソーサーだけでなく、入れ替えのリソースも常に意識しておく必要があります(特にルカメタザシアン対面)。

・クラッシュハンマー 4枚

このカードの採用理由については先述した通りで、三神ザシアンとムゲンダイナVMAXに強くなります。また、今回の大会ではセキタンザンVMAXと対戦することが多かったのですが、相手のストーン闘エネルギーを割ることでこちらが必要な打点ラインを下げることが出来ました。エネ加速があまり強くないVMAX環境では、トップメタ以外にも刺さる相手が多いと思います。

・エネルギーつけかえ 3枚

本当は4枚欲しかったですが、クラッシュハンマーとジラーチの枠を捻出するために最終的に3枚になりました。後1オルジェネを決めるのに必要な最後のパーツなので、削るならこのカードになります。たとえ後1オルジェネを狙わない構築でも、序盤に三神にエネを貼れなかった時のリスクヘッジや、終盤にクチートなどを即起動させるために、2〜3枚は採用したいカードです。

・大きなおまもり 2枚

クラッシュハンマーの枠を捻出するために枚数を減らすことも考えましたが、上位5デッキの全ての要求を上げることが出来るので、2ターン目までに1枚触れるように2枚採用しました。相手のデッキによって貼る先が変わります(基本的にミラーマッチではデデンネ・クロバットに、ムゲンダイナとマッドパーティには三神に、セキタンザンには三神・ザシアン、ズガドーンには三神・デデンネ・クロバットです)。

・エスケープボード 1枚

ジラーチのお供です。現環境ではアブソルが多いので2枚は過剰だと思います。

・グレートキャッチャー 1枚

今の環境ならば抜いても良かったかも知れません。ムゲンダイナ、セキタンザン、マッドパーティ相手には不要カードとなってしまいました。ただ、その他のデッキには相変わらず強く、後述する不採用カードと最後まで悩んだ上でこちらを選択しました。

・博士の研究 4枚

現環境では4枚採用しない理由がなさそうです。

・マリィ 3枚

三神ザシアンのデッキでは、マリィが2枚のリストもよく見られますが、私は絶対に3枚以上採用すべきだと考えています。「相手のテンポを遅らせる」という三神ザシアンの基本戦略と合致しており、このデッキのマリィはとにかく強いです。バトル場にジラーチ、そして、ベンチにザシアンがいれば、それだけで絶大なアドバンテージが得られます。相手が手札復帰のためにデデンネ・クロバットを出せば、アルティメットレイの餌食にもなります。確かCL横浜マスターリーグで唯一ベスト16に残った三神ザシアンも、マリィ4投のリストだったと記憶しています。

・ボスの指令 4枚

2〜3ターン目に攻撃するタイミングで必ず触りたいカードです。ワタシラガを採用して3枚にしても良いのですが、このデッキはジラーチを採用している以上、ベンチにあまり枠がなく、現物を増やしました。

・トキワの森 2枚

本来のコンセプトを考えれば、スタジアムは混沌のうねりを選択すべきかも知れません。ただ、三神ザシアンは中盤以降も毎ターンエネを手貼りすることが極めて重要なデッキで、1手でも遅れれば負けに直結します。ここは自分の動きをより強くして最後まで勝ちきることを重視しました(本来はクラハンと相性が良くないですが、今回のクラハンはエネを手張りするデッキに対して1ターン遅らせることを目的とした採用なので、少し意味合いが異なります)。トキワの方がメタルソーサーを有効に使いやすいというメリットもあります。

・鋼エネルギー 8枚

9枚あると安心なのですが、枠がないのでギリギリの8枚です。リソースが枯れないように、常に山札に残っている鋼エネルギーの枚数を確認しながら戦う必要があります。

・水エネルギー 3枚

序盤に触れる確率を上げるために3枚にしました。水エネの現物かそれに触れるカードは5枚あると安心です。クチートやジラーチで殴る選択肢もあるので、水エネルギーが多くてもそこまで気になりませんでした。

不採用カードの解説

・ガラルマッギョV

マッギョ

実は、最後まで採用を迷っていたのはこのカードでした。このカードを採用することで、ズガドーンとマッドパーティに対してかなり強く立ち回ることが出来ます。グレートキャッチャーよりもこちらを優先すべきだったかも知れません。しかし、練習時には初手スタートして困ることが多く、今週はマッドパーティとズガドーンが減少すると読んで最終的に見送りました。発売当初はあまり注目されていなかったカードですが、環境次第で価値が一気に上がるのがポケカの面白いところですね。

・フーパ + カプ・レヒレ

ズガドーンやマッドパーティをより重く見るならぜひ採用したいカードです。今回は三神ザシアン、ムゲンダイナVMAX、セキタンザンVMAXを重視したために、クラッシュハンマーを優先しました。

・ワタシラガV

先述した通り、ジラーチを採用しているためにベンチスペースが狭く、ボスの現物を優先しました。ジラーチを採用しない型では必須カードだと思います。

・リセットスタンプ

この三神ザシアンは、アルティメットレイを打ってサイドを先行することを目指すための構築なので、リセットスタンプとはあまり相性が良くありません。リセットスタンプを採用する場合は、クラッシュハンマーが抜けて、同時にザマゼンタVが入ると思います。

・ツールスクラッパー

ルカメタザシアン等とのマッチアップでは大事になるため、環境次第でぜひ採用を検討したいカードです。

主な環境デッキとの戦い方

・三神ザシアン 有利

クラッシュハンマーの分だけ有利です。それ以外にもデデンネ・クロバットを場に出さないようにケアすることで、相手のアルティメットレイを無駄撃ちさせられる可能性はあります。そのプレイングのためにも、デッキを回す役割としてジラーチを採用しています。ただし、最近の三神ザシアンはダンデを採用して、非GXへのアルティメットレイ+三神に対してダンデ込みのブレイブキャリバーで、サイドを6枚取ってくる構築もあります。デデンネ・クロバットを出さない時には、必ず三神に大きなおまもりを貼りましょう。

・ムゲンダイナVMAX 有利

同じくクラッシュハンマーが刺さる相手です。最近のムゲンダイナは、無人発電所+アブソルの妨害型が主流なので、ザシアンとトキワの森を大事にプレイします。クラハンがメインプランですが、それがなくても一応クチートとザシアンでベンチのクロバットを2体取れれば勝てる相手なので、メタルソーサーやボスのリソースなどを見ながらプランを組み立てます。なお、こちらが先攻時には注意が必要で、三神をバトル場に出した状態で1ターン目にエンドしないのが大事です。後1のパワーアクセルで2エネを盤面に作られると両方のエネを割るのは難しく、三神に30点乗せられるとデスカウントも容易に決められます。可能な限りザシアンをバトル場に出した状態でエンドしたいところです。

・セキタンザンVMAX 有利

通常でも三神ザシアン側が少し有利ですが、セキタンザン相手にもクラッシュハンマーは有効に働きます。セキタンザン側はエネを割られるとキョダイガンセキまで中々到達しないので、こちら側が序盤にデデンネ・クロバットを出さなければ、相手に容易にサイドを取られません。このマッチアップではアルティメットレイまで比較的容易に宣言出来るので、その際には何としてもベンチの非GX・Vを呼び出し、ザシアン2体にエネ加速しておくことが大切です。たとえセキタンザンと云えども、ブレイブキャリバー2回を耐えるのは相当ハードルが高いはずです。

・ズガドーン 微不利

ズガドーンへのキーカードはやはりマリィになります。オルジェネ宣言時は必ずマリィを打つようにしましょう。クラハンでも相手の要求を少しだけ上げることが出来ます。また、先述したように、最近のズガドーンはツールボックス型が主流なので、クチートの特性が決まれば、オドリドリと合わせてGX・Vを2体出させることも可能です。今回はズガドーンが減少すると読んで対策が薄かったので、今後の環境次第ではマッギョ等もぜひ検討したいです。

・マッドパーティ 微不利

ジラーチ♢型のマッドパーティに対しては、三神とジラーチ2体だけを場に出して、アルティメットレイ、ビンタ、ビンタで勝つのが理想です。このプランだと、マッドパーティ側からするとコンボを2回決めなければならないため、かなり要求が高いと考えています。ただし、お互いに理論値に近い動きが出来るなら、三神ザシアンは明らかに不利です。平均値の高さで何とか勝負といったマッチアップで、使用率次第ではさらなる対策が必要です。

・ルカメタザシアン 微有利

ルカメタザシアンに対しては、三神ザシアンが元々少し有利かなという認識です。ただ、このデッキはツールスクラッパーが入っていないので、試合が長引くほどに形勢が悪くなりそうです。余談ですが、今回の大会ではデッキカットのプロセスが比較的多く、ルカメタを握った時に25分で試合を終わらせるのは結構難しく感じました。

・ピカゼク 不利

こちらが先攻時は後1フルドライブでほぼ負け、こちらが後攻時は後1オルジェネを決めないとほぼ負けです。ピカゼクは、1ターンに3エネ用意できるデッキなので、クラハンでも止められないケースが多々あります。三神ザシアンでは、なかなか有利に立つのが難しい相手です。なお、相手がフルドライブで前のピカゼクに6エネ付けてきた場合は、オルジェネではなくアルティメットレイで返しましょう。相手が次のターンにタッグボルトを打ってくるなら返しで前を倒してエネを枯らせますし、2回目もフルドライブならまだ勝機は残ります。

当日のマッチアップ

予選1回戦 後攻 VS三神ザシアン

相手側の先攻1ターン目は三神にエネ貼ってザシアンの不撓エンド。こちら側はデデンネスタートで苦しかったですが、クラハンで相手のエネを割りつつ三神とザシアンを出して同じく不撓エンド。これで相手はメタルソーサーと付け替えが引けずに先後が逆転しました。その後に相手はデデンネを2体出してきたので、ボスの指令&アルティメットレイ2回で勝ち。

予選2回戦 後攻 VSムゲンダイナVMAX

相手側の先攻1ターン目はムゲンダイナを場に置けずにエンド。こちらは無人発電所を警戒して早めにザシアンとジラーチを場に置きました。その後にクラハンでさらに1ターン遅らせることが出来たので、三神で殴り続けて勝ち。

予選3回戦 後攻 VSドラパルトVMAX

相手側の先攻1ターン目はエネがなく手張りできずにエンド。こちらは三神にエネ手張りして終了。相手の先攻2ターン目に突然ゲンミミが出てきて1エネホラーハウスGX。その後にポルターガイストで三神に150点乗るものの、こちらは手札のトレーナーズを1枚まで減らしてオルジェネ。その後はボスでお互いの逃げエネが重いポケモンを縛って膠着状態が続きましたが、先にゲンミミとヤレユータンを取って何とか勝ち。

予選4回戦 先攻 VSセキタンザンVMAX

今回もデデンネとクロバットを出さないよう意識してプレイングしました。クラハンでストーン闘を割ったことで、三神のアルティメットレイとザシアンのブレイブキャリバーでセキタンザンVMAXをギリギリ落とせたので有利に。ストーン闘がもう1枚付いていたらサイドレース的に厳しかったかも知れません。最後はボスでベンチを呼んで何とか勝ち。

準々決勝 先攻 VSセキタンザンVMAX

初手ジラーチスタートでクイックボール1枚しかなかったので三神とザシアンのどちらを置くか迷いましたが、メタルソーサー込みで2エネ付けられたのでザシアンを置いて不撓エンド。相手は前のセキタンザンにストーン闘を張ってマグマッグとヤレユータンを出してエンドしました。こちらはクラハンで前のストーン闘を割れたので、オルジェネを狙わないプランに変更。バトル場のセキタンザンを取られたことで相手が1ターン遅れて、1体目のザシアンでサイド4枚取れたのでそのまま押し切って勝ち。

準決勝 先攻 VSセキタンザンVMAX

予選4回戦と同じ対戦相手の方でした。相手の初手がクロバットスタートだったので運が良かったです。前回と同じようにデデンネ・クロバットをなるべく出さないプレイングを心掛けました。マリィ&クラハンを連打して何とかアルティメットレイまで打てたので、前のセキタンザンと後ろのマグカルゴを取って勝ち。

決勝 先攻 VSムゲンダイナVMAX

初手の手札にメタルソーサーが多く、デッキを回す為にトラッシュせざるを得なかったので、アルティメットレイまで打てないとエネ加速が間に合わないと考えていました。しかし、先2オルジェネの返しに後2デスカウントを決められてピンチに。クラハンで後ろのムゲンダイナを育てさせないようにしつつ、不撓でザシアンを育ててバトル場のイベルタルを倒しました。最後はリセスタを2回連続で使われるも、その度にジラーチが必要パーツを持ってきてくれてギリギリの勝利。

総括

今回の大会では、主な仮想敵としてしていたデッキと対戦することが出来たのは幸運でした。その中で戦略の柱の一つとしていたクラハンは有効に働いたものの、もう1つの柱だった後1オルジェネは結局一度も成功しませんでした。

しかし、このデッキの強みは、2つの戦略のうち片方でも成功すれば十分戦えるという点にあります。最近の三神ザシアンは無理して後1オルジェネを狙ってリソースを切りすぎて失敗するケースが多々ありますが、このデッキはその途中にクラハンで1回でもエネを割れれば、後半にリソースを残したまま立ち止まる選択肢が出てきます(もちろん後1オルジェネ+クラハンが成功すれば最強です)。不安定なカードだと思われがちなクラハンの採用によって、むしろ戦い方に幅が出来て、デッキとしての安定性が逆に高まっているのはカードゲームの面白いところです。

今回はクラハンを採用しましたが、三神ザシアンを構築する上では、①こちらのテンポを早めて、②相手のテンポを遅らせる、この2つのシンプルな戦略の両立こそ、デッキの強さを最も発揮できるコンセプトだという考えに変わりはありません。今後の環境では、クラハンが刺さらない相手もまた増えていくかも知れませんが、その代わりとなる、相手のテンポを遅らせるカードの採用は、三神ザシアンにおいて常に検討する価値があるはずです。私自身もまた、三神ザシアンのこれからの変化を楽しみながら追求していきたいと思います。

ここまで長文をお読み頂きまして、本当にありがとうございました。もし質問などが御座いましたら、@kuni_ptcgまでお寄せ下さい。最後になりましたが、今回対戦してくださった方々、運営の方々、そして、いつも一緒に遊んでくれている友人たちに、この場をお借りして心より感謝申し上げます。

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