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スタンダード環境分析 10月1週目~2週目

■前書き

自身のシティリーグが11/28に控えているので、CL横浜~当日までのメタゲームの流れを追っていくことにした。

普段は個人的なメモとして記録しているので、その感覚でざっくりやっていく。
毎週末のシティリーグ結果から書けそうな内容がある限りは書くつもり。

■CL横浜

◇参加者全体のデッキ使用率

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◇上位256名のデッキ使用率

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デッキ使用率については、ありがたいことに集計結果をスプレッドシートに公開している方(@4yu4yuyou さん)がいたのでこのデータをもとに分析する。

参加者全体での使用率トップは三神ザシアンムゲンダイナズガドーンと続いている。
事前の段階から、どのデッキを使用する上でも対処を考える必要があるという共通の認識があった3デッキであり、妥当なところ。

全体の使用率と、Day2進出ラインである上位256名での使用率を比較してみると、今回のメタゲームの中心に存在していたのはムゲンダイナであることが分かった。
もう少し具体的かつ大袈裟に言うと、ムゲンダイナが強すぎてムゲンダイナに強いデッキが残りすぎたイメージ。

上位256名のデッキ使用率 > 参加者全体のデッキ使用率
となっている、要するに使用者数に対して高い成績を残した割合が高いデッキを抽出してみると、

ムゲンダイナ(16.4% → 19.9%)
セキタンザン(9.5% → 12.9%)
ズガドーン(10.6% → 11.3%)
ピカゼク(5.2% → 7.8%)
ルカメタザシアン(5.6% → 7.0%)

と、ムゲンダイナ+ムゲンダイナには相性有利のデッキが好成績を残していることが分かる(ピカゼクとムゲンダイナの相性に関しては諸説あるが)。
ムゲンダイナが多かった原因については、直前の自主大会で無人発電所入りのムゲンダイナが優勝した影響も大きいか。
この結果から、基盤が安定していて、殴り合いにおいて無類の強さを誇るムゲンダイナが有象無象のデッキに勝利し、そのムゲンダイナにニュートラルに相性有利を取れているデッキ達がムゲンダイナが多かった分で勝ちを増やしている、といった流れがあったことが推測できる。

対して、
上位256名のデッキ使用率 < 参加者全体のデッキ使用率
となっているデッキを抽出すると、

三神ザシアン(16.4% → 12.9%)
ピカチュウ(6.0% → 3.9%)
超MM(5.1% → 3.5%)

以上の結果に。

三神ザシアンと超MMには共通して、HPの頂点がタッグチームのデッキ(≒ムゲンダイナの打点圏に収まるデッキ)であり、ムゲンダイナが序盤から高打点のドレッドエンドを連打しているだけでプランが崩壊する危険性がある。
ピカチュウに関しては、ムゲンダイナを一撃で倒す要求が高い上にVmaxであることから、似たような理由で不利と言える。
さらにムゲンダイナとの共通点(Vmaxであること、闘弱点であること)から対策のレンジが被ってムゲンダイナとムゲンダイナ対策のどちらにも苦戦を強いられる可能性が高いだろう。
全体的にムゲンダイナに明確に不利な要素を有しているデッキが勝ち進めていない事がわかる。

次にDay2→16名のトップカットではどうか。

◇トップカット 順位

1位
ズガドーン

2位
ルカメタザシアン

ベスト4
ズガドーン
セキタンザン

ベスト8
ルカメタザシアン
ムゲンダイナ
ムゲンダイナ
セキタンザン

ベスト16
マッドパーティ
マッドパーティ
ズガドーン
ルカメタザシアン
セキタンザン
ルカメタザシアン
セキタンザン

◇トップカット デッキ分布

ルカメタザシアン 4
セキタンザン 4
ズガドーン 3
ムゲンダイナ 2
マッドパーティ 2
三神ザシアン 1

ムゲンダイナを強烈に意識したデッキであるルカメタザシアン、セキタンザンがさらに濃度を上げ、構造上有利なズガドーンも数を残している。
対して全体の使用率トップであった三神ザシアンは辛うじて1名が残った結果に。
そして今大会のダークホースとなったであろうマッドパーティが2名。

◆ルカメタザシアン

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CL横浜2位:タカマツ ゲン選手

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CL横浜ベスト16:オオウラ マサヒロ選手

CL横浜において、メタに存在するデッキはいずれも相当なパワーがあり、構造上の有利不利の関係は1枚のテックカードや1ターンの遅れで簡単にひっくり返るような印象を受けた。
そんな中で、ルカメタザシアンにおける複数採用のザマゼンタは上記のような理由で勝敗が覆ることが比較的なく、ムゲンダイナやセキタンザンといったVmax主体のデッキには確実な勝ちのルートを持てている。
Day2のデッキ分布を見ると、使用率のツートップがそのムゲンダイナとセキタンザンであり、3人に1人以上はどちらかのデッキを使っている状況。
このDay2における立ち位置の良さから、トップカットの16人中4人がルカメタザシアンという結果に。

課題となるのが主に三神ザシアン、ズガドーンとの対戦。
紹介している2人のデッキに共通しているのはズガドーンと戦う上でエネルギー、取得サイドのロスが少ないカプ・レヒレの採用
加えてタカマツ選手のデッキには、主にエスケープボードをつけたジラーチの行動を縛るためにアブソルの採用が特徴的。
場に存在していれば永続的に働く特性であるため、序盤からサーチする選択肢を常に持っておきたいところだが、同時にグズマ&ハラ→キャプチャーエネルギーのルートを持てているのもスマート。
オオウラ選手のデッキは、特に三神ザシアンを強く意識している印象。
互いにGXワザを切った後はザシアン同士の打点関係はフラットになり、結局ブレイブキャリバーを耐えるためのどうぐがついているかどうかが勝敗を分ける大きな要素になる。
そんな中でのツールスクラッパーの2枚採用は印象的。
フルメタルウォールGX後のルカメタが腐る問題+ザシアン、ザマゼンタをスムーズに起動させたい問題を同時に解決すべく採用されたであろうタッグスイッチもユニーク。

◆セキタンザン

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CL横浜ベスト4:キムラ シュンヤ選手

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CL横浜ベスト16:サカモト マサキ選手

セキタンザンはリリースのタイミングも比較的最近で、デッキ構築においてもテンプレートが存在しておらず、蓋を開けるまではどこまで数が多いかも予想がつきづらかった印象。
実際は、三神ザシアン、ムゲンダイナ、ズガドーンに次いで使用者が多いデッキとなった。
テンプレートがないと述べたが、トップカットに残った4名の中でも搭載されているギミックにかなり違いがあった(マグカルゴ、ジラーチ◇、ガラルネギガナイトの有無など)。
トーナメントを通して結論と言える構築が定義されることはなかったが、セキタンザンそのもののポテンシャルを認知することはできた。

弱点というシステムについて。
当たり前といえば当たり前の話だが、ダメージが倍になる以上、倒すポケモンのサイズ(倒すためのワザの火力)が上がれば上がるほど、弱点をつくことで得られるアドバンテージは大きくなる
そういった観点から、アタッカーのサイズが大きく弱点が偏っているデッキ(今回で言えばムゲンダイナやピカチュウ、ピカゼクなどの雷系統)がに対して弱点を取って戦える闘タイプは、それだけで使用するメリットがあったように感じる。
逆に弱点をつかれる視点で言うと草タイプを主体とするデッキはほぼ環境に存在せず、ただでさえ耐久が高いセキタンザンの生存力は相当のもの。

ベスト4に入賞したキムラ選手の構築にはマグカルゴ+ジラーチ◇ギミック、さらにはグレートキャッチャーが採用されていて、まともに殴り合うと厳しいマッチとされる三神ザシアンとの対戦における早期決着を目指している意図を感じる。
予選を1位抜けしたサカモト選手のデッキは、3枚のキャプチャーエネルギーなど、やはり予選を安定して勝ち抜くためのパーツに多く枠を割いている印象。

◆マッドパーティ

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CL横浜ベスト16:イケダ タカヒロ選手


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CL横浜ベスト16:イトウ トモキ選手

事前の情報では上位予想がほぼされていなかったマッドパーティだが、トップカットに2人残る快進撃を見せた。
ジラーチ◇プランの再現性が高く、特に三神ザシアンとの対戦においては安定した勝率を出せる印象。
五分以上のマッチを確実に拾いにいける安定性があるデッキ。
ただし、先述したようなムゲンダイナを中心とするメタゲームにおいては上位に残れるのか疑問ではあった。
場に置くポケモンのサイズが極端に小さいことから、場が整わないうちにムゲンダイナのガラルジグザグマで崩されるパターンがかなり多い。
Day2ではルカメタザシアン、セキタンザン、ズガドーンがムゲンダイナ(加えてクワガノンを含む雷系統のデッキ)を落とし、不利マッチをくぐり抜けて生き残ったマッドパーティが全体の立ち位置では有利だったそれらのデッキを倒してトーナメントに上がった流れになるだろうか。
確かに、ムゲンダイナがいない状況でのマッドパーティはかなりいい位置にいると思える。

さらにイケダ選手の構築には、ルカメタザシアンやセキタンザンのマオ&スイレンに対するカードとしてミミッキュが採用されていたり、イトウ選手の構築にはデデンネGXを縛ってLOを狙うプランへの回答としてフウとランが採用されているなど、細部に渡る調整の結果を感じることができる。

■シティリーグ(10/10,10/11)

◇ベスト4以上のデッキ分布(こっちは自作)
情報はほとんどTwitterより。

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シティリーグは参加者全体の使用デッキを確認することが困難なため(本来はCL横浜でも困難ではあったのだが)、上位に残ったデッキを集計して分析していくことにした。

◆三神ザシアン

一見して分かるのは三神ザシアンの圧倒的な上位独占率
ただでさえ使用率が高かった三神ザシアンだが、CL横浜を通してさらに構築が洗練され、使用者が増加したと考えられる。

具体的な増加の原因について。

まず、純粋にメタの動きに三神ザシアンが噛み合っている点が挙げられる。
比較的負けのパターンが多いムゲンダイナが減少するのに加えて、成績の良かったセキタンザンやルカメタザシアンにはベースが有利なため、三神ザシアンを使いやすくなった。

そして、完成度の高いヨネダタクヤ選手の三神ザシアンが公式チャンネルで配信された点。
今回の配信では手元を映すことがかなり多かったので、山札の内容も容易に把握でき、リストのほぼ全てを特定することができた(公開される側からしたら、翌日の対戦もあるのに60枚オープンされるのはたまったものではないだろうが)。

シティリーグで使用されている三神ザシアンも、このリストに大きく影響を受けていると考えられるものが多数確認できた。

加えてナツメ&ハチクがリリースされた点。

新しい三神ザシアンの形式としてナツメ&ハチクを採用して後攻に全振りしたタイプを持ってくる人も少なからずいた印象。
実際に準優勝しているシティリーグもあるため、今後マークしておく必要があるかもしれない。

◆マッドパーティ対策

CL横浜の結果から、不利デッキ(ムゲンダイナ、クワガノン系統)が減少、残ったデッキの大多数には有利を取れるという考えからマッドパーティが流行

マッドパーティを課題とする既存デッキに対し、さらなるアップデートを施してシティリーグを勝ち抜いた選手も少なくないだろう。

ズガドーンとマッドパーティで対戦する場合、1枚ずつサイドを取り合う展開になり、ジラーチ◇でズレる分と、ズガドーン側の毎ターンの溶接工の要求からズガドーンが不利という印象だった。

そこで、ボーマンダVで早い段階からダメージをばらまくことでHPの低いポケモンを一掃するアプローチを搭載したズガドーンが登場。

同じく三神ザシアンも、ジラーチ◇込みだと先にサイドを6枚取られてしまうマッチアップ。
ここでは、ボーマンダVと同様の理由で序盤のばらまき要素としてフェローチェ&マッシブーンを採用するリストも見られた。

◆ブルーレシリザ

CL横浜~シティリーグにかけてじわじわと注目を集めているのが、ブルー型のレシリザ。
ベスト4以上のデッキの割合を見ても先に述べた三神ザシアン、ムゲンダイナ、ズガドーン、マッドパーティに次ぐ位置に付けている。

ブルーの探索による高い盤面再現性と、今最も使用率が高いであろう三神ザシアンに対する明確な勝ちルートを持っていること、公式チャンネルで配信され話題を集めたことや、リストが公開されたことから使用率が上昇。

ただ、10/10のシティリーグでは3会場で決勝まで進むも、すべてマッドパーティに負けて準優勝という結果に落ち着いている。
やはり非GX・Vのデッキとの相性は不利に寄っている印象。
流行中のマッドパーティや、ズガドーンが今後の課題となるか。

■まとめ

長らく大型大会が行われていなかった国内環境だったが、CL横浜→シティリーグ開始の流れでメタゲームに大きな変動が起こっている。

マッドパーティやレシリザなど新規参入してくるデッキもあれば、既存のデッキもアップデートを繰り返し、依然として上位をキープしている現環境。

そしてシティリーグで再び猛威を振るう三神ザシアン。
ザマゼンタなど、ある程度はっきりとした対策が存在するムゲンダイナと違い、三神ザシアンに明確な有利を取る手段は極めて限定的……というか、そんな手段あるのか?という感想。

ムゲンダイナが減少した影響で、ムゲンゾーン発売以前に環境に存在していたピカゼクやミュウミュウ系統(超・炎)も選択しやすくなってきているか。
メタゲームが循環しているようで、来週以降も面白い結果になることを期待。

CLの情報も込みということで結構なボリュームになってしまったが、今後は今回の半分くらいの感覚で書くつもり。
でないと続かないので。

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ではまた次回。

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