見出し画像

風鈴の音色に耳を傾けひとときを過ごす! 周南市山﨑八幡宮の夏詣

この記事は、周南市の魅力をPRする周南市市民ライターの活動として発信しています。

夏詣を知っていますか?
2014年(平成26年)に東京の浅草神社から提唱された「夏詣」。
10年目を迎えた今年は、全国518社の神社と25寺の仏閣が参加しています。

周南市宮の前にある山﨑八幡宮は、山口県内でただ一カ所「夏詣」が行われている神社です。

8月の夏詣の御朱印が配り始められる8月1日に、山﨑八幡宮の権禰宜ごんねぎでいらっしゃる河谷僚己さんに夏詣や御朱印についてお話をお聞きしてきました。


夏詣とは何?

夏詣の幟だ掲げられた拝殿
夏詣の幟が出迎えてくれます

ー10年前から始まった夏詣ですが、山﨑八幡宮さんではいつから始められたのですか?

夏詣を始めて、今年で3年経ちました。
山口県内で夏詣を行っているのは当神社だけなので、今年も多くの方にご参拝いただいています。
新しい行事ですが、鉄道会社とタイアップした「夏詣ツアー」が企画されている地域もありますよ。

―地域によって取り組みが違うのですね。夏詣にはどのような意味があるのでしょうか?

年に2回行なわれる大祓おおはらいでは、日頃の生活でたまってしまうけがれをお祓いします。
12月31日の大祓いの翌日、清らかな体でご参拝をしてもらうのが初詣です。

夏の大祓いで地域の罪や穢れをお祓いした後に、ご参拝をしていただこうというのが夏詣の始まりです。

夏詣ならではの楽しみ方

緑豊かな境内に続く参道

ー夏詣を始めようと思われたきっかけはありますか?

多くの神社は自然に囲まれた中にあります。
山﨑八幡宮も自然に囲まれているので、風が吹けば暑さを忘れられます。
夏詣をしていただくことで自然を感じてもらい、風鈴の音で昔の人の涼の感じ方を体験してもらえたらと思い始めました。
風鈴の音から耳で涼を感じてもらい、風ぐるまを見て風を目で感じてもらいたいと思っています。

昔は海がもっと近くにありました

風に揺れる風鈴

手水舎の風鈴

ー境内にたくさんの風鈴が飾られていて良い音がしますが、どれくらいの数があるのですか?

地域の方に奉納していただき、今は200個くらいですね。
風ぐるまも奉納していただいたものです。

風鈴と風ぐるま

訪れる人に大人気の打ち水アート

打ち水をすると図柄が浮かび上がります

ー涼を感じるといえば打ち水アートもありますね。

打ち水も日本に昔から伝わる夏の風物詩です。
昨年テレビの取材で分かったのですが、打ち水をすると周囲の気温が下がるらしいのです。
打ち水をすることで、神様に涼を奉納していただきたいと思っています。

夏らしい図柄

―打ち水アートはとても人気ですが、どのような経緯から考えられたのですか?

ある地方の神社さんでされていた打ち水アートを見て、「うちでもできないかな」と始めました。
とても評判が良く、お子さんやお母さんたちが楽しそうに打ち水をされるんですよ。

楽しそうに水をかける参拝者のお子さん

―先ほど参拝されていた20代の女性にお聞きしたら、打ち水アートが楽しかったと言われていましたし、先日お伺いした時には小さなお子さんが夢中になって打ち水をしていました。

うれしいですね。
どうしても御朱印をお渡しするまでにお待たせしてしまうので、少しでも楽しんでもらいたいと体験型の趣向を考えています。

夏詣限定の水みくじ

夏詣の水みくじ

―体験型の趣向を凝らすということで、夏詣限定の水みくじも始められたのですか?

そうですね。
少しでも涼を感じてもらいたいということで、昨年から始めました。

水につけると文字が出てくる

今年から始めたのは、クリア御朱印です。

夏の景色を映す、夏詣限定のクリア御朱印

ークリア御朱印とはどのような御朱印でしょうか?

透明なシートに周南市の夏の風景を描いています。
8月の御朱印は、夜の闇の中の八幡宮の華やかさをイメージしています。
7月の御朱印には色がついていないため、青空に透かして撮影してもらうと空を映し、さらに涼を感じられます。

7月の夏詣限定御朱印
(山﨑八幡宮Instagramより)

私がいただいた8月の夏詣の御朱印

夏詣のクリア御朱印は山口県内初の試み!

ー昨年も夏詣の御朱印をいただいたのですが、やはり7月の夏詣の御朱印があったのでしょうか?

7月と8月の2回に分けて夏詣の御朱印をお配りしているのは、今年からです。
昨年までの2年間は、1種類でした。
クリア御朱印というのも山口県内で初めてでしたので、皆様に楽しんで頂こうと思い7月と8月を別々に作りました。

来年以降もクリア御朱印で、7月と8月の2種類作ります!

ー公表してよろしいですか?

はい。大丈夫です!

夏詣の御朱印はいつまでもらえる?

ー今年の7月は参拝するタイミングが遅くなり、7月の夏詣の御朱印がいただけませんでした。

どうしても枚数が限定されるので、なくなると終了となってしまいます。
7月は20日くらいに配り終えました。
7月7日の七夕には、七夕御朱印と夏詣の御朱印も多く出ました。

ー8月の夏詣の御朱印もいつまで配布できるかわかりませんね。

8月3日のサンフェスタ新南陽の期間には大勢の方が参拝されるでしょうから、早めになくなる可能性はあります。

ーお盆くらいまでは残っていてほしいですね。

山﨑八幡宮と徳山毛利家とのつながり

毛利元就公ゆかりの石碑

ークリア御朱印の「山﨑八幡宮」の文字は、徳山毛利藩最後の藩主の毛利元蕃もとみつ公の揮毫きごうを使われていると聞きました。

御朱印は神職がその場で書いてお渡しするのが本来の姿ですが、クリア御朱印にその場で書いてお渡しするのは難しい。

印刷をするならば、毛利元蕃公の揮毫を使おうということになりました。
このリーフレットの表紙にも同じ揮毫が印刷されています。

山﨑八幡宮のリーフレット

ー本当ですね。気がつきませんでした。

山﨑八幡宮と徳山毛利家は、ご縁が深いのです。
9月の秋祭りで行う本山ほんやま神事の山車だしには、今でも徳山毛利家の方が乗られています。

本山神事で使う山車の模型

もともと、本山神事そのものも第3代藩主が奉納されたのが始まりです。
今は14代目の方ですが、300年以上続く山﨑八幡宮と徳山毛利家とのつながりを皆様に知っていただきたいという思いから、クリア御朱印の印字に使いました。

復活の要望が多かった旧藩主揮毫の御朱印

ー毛利元蕃公の揮毫の御朱印を以前も配られていたとのことですが、最近は配られていなかったのでしょうか?

山﨑八幡宮で御朱印を配り始めたのは、御朱印ブームが起きてからです。
最初は御朱印帳に直書きする自信がなく、毛利元蕃公の揮毫を印刷した書き置きの御朱印で対応していました。

今は妹の権禰宜が、御朱印帳に直書きをしています。
一方で、以前の御朱印を知っておられる方から「平成の頃にもらった御朱印の字のものがほしい」という要望をいただいており、クリア御朱印で復活させました。

旧藩主の揮毫を印字したクリア御朱印

岩清水八幡宮公認、鳩文字の御朱印

ー今の御朱印の文字は、権禰宜さんが書かれているのですね。

はい。
権禰宜の妹は京都の岩清水八幡宮におりましたので、八幡宮の「八」の字は岩清水八幡宮の鳩文字を直接伝授してもらったものを書いております。
岩清水八幡宮では、書き手により「八」の鳩文字が違うそうです。

ー確かにあの「八」の字は、いつもどうやって書かれているのだろうと思っていました。

右側が鳩文字が使われた8月の御朱印

進化する御朱印のデザイン

ー毎月の御朱印のデザインも楽しみにいただいているのですが、どなたが考えておられるのですか?

妹が毎月考えています。
季節を感じて欲しくて、毎月・毎年デザインを変えています。
うちの専用御朱印帳を持って毎月参拝される方もおられるのですよ。

ー私が山﨑八幡宮さんの御朱印を初めていただいた昨年の8月は、花火のデザインでした。

昨年の8月の御朱印と夏詣の御朱印

今年の8月は、入道雲とひまわりでよりダイナミックなデザインになっています。

御朱印を求めて県外からの参拝者

ー夏詣も少しずつ浸透してきていますね。テレビの取材やInstagramをみて御朱印をいただきに来たという方に出会いました。

県外から来られる方も多くなりました。
休日などは、周南市から来られる人の方が珍しいくらいです。
夏詣の御朱印を求めて大阪から来られた方もいましたし、広島から毎月御朱印をいただきに来られる方もおられます。

うちの神社には「夫婦守り」があるのですが、それを求めて「山﨑さん」が来られることもあるんです。

ーそれはおもしろいですね。

人気の花手水

いつもキレイな花が浮かべられています

ー山﨑八幡宮さんは花手水でも人気ですね。やはりコロナ禍で始められたのですか?

そうです。
最初は地元の有志の方が生けてくださっていました。
今は妹と妻と母の3人で飾っています。
夏場は暑さでお花の傷みが早いので、ある程度本数を用意してキレイな状態をキープできるようにしています。

色々な場所にお花が飾られています

参拝される方に楽しんでもらえる神社へ

思い思いに楽しむ参拝者

御朱印は妹が一人で書いているので、お待たせする時間が長くなります。
待っている時間を楽しんでもらおうと、いろいろ考えています。

例えば、先日は徳山駅前などで開催されている「おさんぽまーけっと」を山﨑八幡宮で開いていただきました。
多くのお客様に来ていただいのですが、駐車場が少ないのが今後の課題なのです。
その対策に、もう一つ駐車場を増やそうと考えています。

ーどんどん進化しておられるのですね。

妹や妻と一緒にアイデアを出しながら進めています。
昔を知る人からは、「神社の雰囲気が変わった」と言われますね。

ーこれからも変化する山﨑八幡宮さんに伺うのを楽しみにしております。今日はお時間を作っていただき、ありがとうございました。

日常の中に溶け込む神社

境内への階段を登る参拝者

下松から来られた母娘で参拝されている方は、「夏詣のInstagramを見てきました」と話してくださいました。
半年前から御朱印集めを始めた娘さんが、仕事の休みの日にお母様を誘って来られたのです。

打ち水アートを楽しんでいた子ども連れのお母様は、「花手水が好きでよく遊びにきます」と教えてくださいました。

サイクリストの外国人の方が境内におられたので声をかけてみました。
観光で来日したドイツの方で、大阪から宮崎まで一人で自転車で向かわれている途中に立ち寄ったそうです。
「beautiful 」と何度も境内を見渡しながら語られたのが印象的でした。

近隣から遠方まで、多くの人を魅了する山﨑八幡宮の景色。
暑さを忘れるひとときを、皆様もお過ごしください。

【山﨑八幡宮の情報】



【周南市市民ライターによる山﨑八幡宮「おさんぽまーけっと」の紹介記事】

【山﨑八幡宮の風鈴の音色】


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?