ご家庭でも読み聞かせをされていることと思いますが、日々の生活のなかで積極的に絵本触れる時間は、親子関係にとりましても豊かな時間になります。
ここで一冊の絵本を紹介したいと思います。ただし、子ども向けではなく子育中のお母さんに送る大人の絵本です。(もちろん、お父さんにも)
ネット上での拡散も手伝ってひそかな話題になっているようですが、誰が書いたかはわからない「詠み人知らず」の絵本です。それは、ある人がニュージーランドの子育て支援施設に見学にいったとき、壁にあった詩を詩人である友人の伊藤比呂美さんが翻訳したものだからです。
育児でつらいのは、孤独に陥ること。誰にも相談できず、ひきこもってしまう…そこまでいかなくとも、「あれもこれもできなかった…」と自己嫌悪に苛まれる毎日。この絵本は、そんな悩めるお母さんたちを肯定して、暖かくエールを送ってくれるような朴訥とした言葉が柔らかいタッチのイラストとともに進んでいきます。洋の東西を問わず悩みや気持ちは一緒だなと感じるとともに、頑張っているのに認めてもらえない気がしているまじめな方こそ、励まされ癒される内容です。育児には多少の「良い加減」という「いいかげんさ」が必要なのかもしれませんね。
読めば、「今日も頑張った!」と自分で頷けるようなポジティブシンキングへ向かうことのできる絵本、「TODAY (今日)」です。
〜 引用 〜
今日、
わたしはお皿を洗わなかった
ベッドはぐちゃぐちゃ
浸けといたおむつは
だんだんくさくなってきた
きのうこぼした食べかすが
床の上からわたしを見ている
窓ガラスはよごれすぎてアートみたい
雨が降るまでこのままだとおもう
人に見られたら
なんていわれるか
ひどいねえとか、だらしないとか
今日一日、何をしてたの? とか
わたしは、この子が眠るまで、おっぱいをやっていた
わたしは、この子が泣きやむまで、ずっとだっこしていた
わたしは、この子とかくれんぼした。
わたしは、この子のためにおもちゃを鳴らした、それはきゅうっと鳴った
わたしは、ぶらんこをゆすり、歌をうたった
わたしは、この子に、していいこととわるいことを、教えた
ほんとにいったい一日何をしていたのかな
たいしたことはしなかったね、たぶん、それはほんと
でもこう考えれば、
いいんじゃない?
今日一日、わたしは
澄んだ目をした、
髪のふわふわな、
この子のために
すごく大切なことを
していたんだって
そしてもし、
そっちのほうがほんとなら、
わたしはちゃーんとやったわけだ
『今日』
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