見出し画像

ペヤングが食べたくて

こないだ、近所のスーパーに行ったら、ふとペヤングソース焼きそばが目についた。あの、白くて四角いパッケージ。それを見ていたら、急にペヤングが食べたくなった。

そういえば最近食べてないな。どうしよう、買っちゃおうかな……と、一瞬迷う。

けど……。今日はまぁ、いいか。
そう思って、その時は買わずに帰った。

帰宅すると、同居人がレンタルショップで何やらDVDを借りてきていた。聞けば、久しぶりに『リンカーン』が観たくなったから借りてきた、との返答。
彼がいそいそと再生したDVDを何となく一緒に観る。そしたらなんと、その番組の中で巨大ペヤングを作る企画をやっているではないか。

あ、またペヤング……!と内心驚く。
で、それを観ていたら、またペヤングが食べたくなってきた。あのソース焼きそばの味が脳内で再生される。
これはペヤングを食べろという天の思し召しじゃないか?やっぱりさっき買えばよかった……!といたく後悔した。


翌日。特に外出する予定もない休日。空にはねずみ色をした雲がどんよりとたちこめていて、今にも雪が降りそうな天気だった。

けど、わたしはどうしても、ペヤングが食べたい。

そんなわけで、若干みぞれが降り出すなか、わざわざ軽く化粧をして、わざわざ着替えて、車で5分のコンビニまで勇ましく出かけていった。
普段のわたしはとても面倒くさがりで、特別用事もないのにわざわざひとつの品物のために出かけるようなことはほとんどない。そんな普段の自分からしたら考えられないような行為だ。
何という行動力。ペヤングは人をも動かす。

コンビニに着いて、自動ドアをくぐって、プログラミングされているがごとく、まっすぐカップ麺売り場を目指す。
あった。昨日見た白くて四角いパッケージが目に飛び込んでくる。迷わずひとつ手に取って、ちょっとだけ健康を気にして小さなサラダも一緒に持って、レジへまっしぐら。ちょっとだけ恥ずかしような気もしたけれど、ここで恥ずかしがっていてはペヤングにありつけないぞ……!と心の中で自分を鼓舞した。

帰宅して、お湯を沸かして、パッケージのビニールをはがして、かやくとかの小袋を出して。
3分待って食べたペヤングは、想像どおりの、けど今までで一番おいしいペヤングだった。


たかがカップ麺、されどカップ麺。
食べたいものを食べたいタイミングで食べるってほんとうに素晴らしい。そんな喜びをひとり噛みしめた休日のお昼ごはんでした。

もし、記事を気に入ってくださったら、サポートいただけると嬉しいです。いただいたサポートは、本を買ったり、書くことを学んだりするために活用させていただきます。