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悲しみの瞬間に立ち止まったまま、それでも、また築いていきたい、私から

傷ついた経験がある。

幼い頃、小さな社会で育ったたった一つの個性は、ある時公に放たれる。
公の世界では、誰かが決めた普通があって。
沢山の人が持つ色と、たった一つの個性の色とがかけ離れている時、
”馴染めない”、”仲間外れになる”、”意地悪される”、そんな事がある。

”私が私だからいけないのかな”、”普通ってこんな感じなのね”と、
大人になったみたいに個性を薄めて生きる。
沢山の小さな傷は無かったことにして。
心の中で自分だけの個性を育てて。
誰にも理解されなくてもいいからと、誰にも邪魔されない一人だけの世界に、たった一つの個性を大切に閉まった。

少し大人になった頃、惹かれる人に出会う。
理解されなくてもいいからと閉まったことを、少しずつ出してみる。
もしかして”わかってもらえるかな”、”通じ合えるかな”、”気持ちを共有できるかな”。
ずっと求めていた本物の交流。
それでもやっぱり完璧なことはなくて。
小さなズレも悲しくなって。
突然訪れる別れに止まらない涙。
沢山の小さな傷よりも、残り続ける大きな傷。

生まれたのは怖さ。
もうあんな思いはしたくないと、開きかけた心に頑丈な鍵をかける。

悲しみのその時に、止まったままの私。
信じることも、委ねることも、進めることもできない。

ここから、どうしていったらいいの。


本当は、また築いていきたい。


悲しみの瞬間にだけ目を向けないで。
確かにあった歓びの瞬間を思い出して。

失った100の中には、手にした100の経験がある。
そして輝き続ける大切なものが必ず1つはあるって気づいて。

悲しみの瞬間を悲しみのままにしないで。
見つけた輝きをこれからに繋げて。
痛い程受け止めた感情を未来の歓びの糧にしていこう。

一人一人に悲しみの瞬間があるのならば、
0.1歩でも先に、何かを少し、与える勇気を持って、
また築いていきたい、私から。


2021.11.6

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