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小山龍介のイノベーション・トーク

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イノベーション人材が育つ‹場›についての講演や対談をお届けします。
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#ビジネスモデル

小山龍介 出版記念講演 『ケースメソッドMBA 実況中継|03 ビジネスモデル』(後半)

2020年9月25日に出版された『ケースメソッドMBA 実況中継|03 ビジネスモデル』(小山龍介著/ディスカヴァー・トゥエンティワン) これをうけて10月15日、著者がアドバイザー/ファウンダーを務める一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会主催で出版記念講演(オンライン)が開催されました。後半の質疑応答部分をお届けします。 (前半の記事はこちらからどうぞ) 「本に書いちゃったら次の授業は?」 Eさん:実際の授業がそのまんま本になったのですか。これから受ける授業は

小山龍介 出版記念講演 『ケースメソッドMBA 実況中継|03 ビジネスモデル』(前半)

2020年9月25日に出版された『ケースメソッドMBA 実況中継|03 ビジネスモデル』(ディスカヴァー・トゥエンティワン) これをうけて10月15日、著者がアドバイザー/ファウンダーを務める一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会主催で出版記念講演(オンライン)が開催されました。この様子をお届けします。 ケースメソッドを体験してみよう小山龍介(以下、小山):皆さんこんばんは。今日は本に書いていない背景をご紹介したいと思っています。書いてないと言いつつ、ちょっと匂わし

ビジネスモデルにまつわる循環とダイナミズム―ビジネスモデルオリンピア2018講演

哲学の歴史を少し紐解いていくと、「実存主義」というのがあって、「実存は本質に先立つ」という言葉から現代の哲学がスタートします。「犬はこうである」という、そのものがもっている本質がありますよね。猫の本質とか男性、女性、それぞれ本質というのがある(と一般的に考えられている)。 しかし実存主義では、現実の存在(実存)というものがまず先にあって、本質に関わらず自分の生き方次第で人生は変えられるよ、というんです。この実存主義は、特に1960年代、70年代、学生たちを政治運動へと駆り立

混沌から生まれる構造と ビジネスモデル

最初に、私がこの一年間(2016年)にやったことを、紹介したいと思います。文化庁の嘱託で、日本遺産のプロデューサーとして各地を訪問しています。今現在(2017年2月現在)、37地域が認定されているんですけど、認定地域を訪れてアドバイスをする、という仕事をしています。その結果を文化庁に報告し、この前は自民党の「文化伝統調査会」なんていうところで議員さんや官僚の方々にレポートする、なんていうことをやりました。 こういった活動以外に、8月には沖縄のプロジェクトであるニライカナイ事

「ビジネスモデルに心は生まれるか」生命論的ビジネスモデル論〜前野隆司・小山龍介対談

2016年3月12日一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会主催『ビジネスモデルオリンピア2016』での、前野隆司氏と代表理事(当時)小山龍介の対談をお届けします。 ビジネスモデルもひとつのシステム小山龍介(以下、小山):実は、控室で喋ってしまうとここで喋ることがなくなるので、打ち合わせなしで、とお願いしました。ですからぶっつけ本番です。私から前野先生にいろいろ質問しながら進めていきたいな、と思っています。 さて、ビジネスモデル・キャンバスですが、前野先生の授業でも使

オントロジーとしてのビジネスモデル・キャンバスと競争優位の5つの階層ー近藤 哲朗・小山龍介対談『ビジネスモデル・ビジュアライゼーション』(2)

近藤哲朗氏の講演に続いて、ビジネスモデル学会プリンシパルの小山龍介から、ビジネスモデル・キャンバスについての紹介へと移った。(文・小山龍介、撮影・片岡峰子) 小山龍介:近藤さんの話を受けて、ここからはビジネスモデル・キャンバスの説明をしていきたいなと思います。これが、9つのブロックで構成されるビジネスモデル・キャンバスです(下図)。近藤さんの説明を借りるなら、右側には「誰に対して何を」というマーケティングの話が入ります。左側には、「誰がどのように」というエンジニアリングが記

ビジネスモデルを動態的システムとして捉えるにはー『ビジネスモデルダイナミズム』

AmazonやNetflixのビジネスモデルを見ていくと、将来的にこうなると予想もしていない、ある種のダイナミズムが起こっています。まるで「赤ちゃんが大きくなって成人して、仕事に就く」かのような生命的な動きをしている。このことを「ダイナミズム」と呼んでみよう、とそう思ったのがきっかけです。 AmazonやNetflixは最初からこうなることがわかっていたのか? たとえばAmazon。最初は世界最大の書店と言われて、また自分たちもそう呼んで、最初は本だけを売っていました。なぜ

ビジネスモデルに革新をもたらす「逆説の構造」とビジネスモデル図解ー近藤 哲朗・小山龍介対談『ビジネスモデル・ビジュアライゼーション』(1)

ビジネスモデルの議論はえてして、空中戦になりやすい。それは、経営上のさまざまな要素が複雑に絡み合っているからである。複雑な構造体を議論するための共通言語として、「ビジネスモデル・キャンバス」が開発され、多くの企業で採用されている。また、ビジネスモデルを図解する動きとして板橋悟によるピクト図解や近藤哲朗によるビジネスモデル図解の手法が登場した。 ビジネスモデル・キャンバスが構造の可視化であるのに対し、こうした図解は取引関係やカネ・モノ・情報の流れなどの、プレイヤー間の広義のコ

即興から構想へ ー共創の〈場〉における ビジネスモデルの役割ー

 ここ数年、即興、いわゆるインプロビゼーションに取り組んでいます。シナリオも準備もなく、その場で物語を作っていく。非常にクリエイティブな営みです。しかし、即興だけでは不十分です。即興だけでは、「楽しいな」「よかったな」で終わって、あとに残りません。即興で生まれたものを構想につなげていくというのが重要なんです。  即興から構想へのブリッジをどう結んでいくのか。それが今日のテーマになります。 イノベーションを実現する3つのマインドセット  イノベーションがその会社内で本当に実