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売却型M&Aの流れ②~セルサイドDDと価値評価~

売却型M&Aの各プロセスを下記フロー図に沿ってご紹介して参ります。(全7回)

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2.セルサイドDD(またはセラーズDD)と価値評価

デュー・ディリジェンス(以下、「DD」といいます。)とは、「買収監査」の意であり、買収者が対象会社を買収する場合の調査をいいます。一方で、売却者側が売却対象会社について自身がDDを実施することもあり、これを「セルサイドDD」または「セラーズDD」等と呼びます。このセルサイドDDは実際の売却実務ではきちんと実施されていないケースが多く、この点が売却プロセスや最終的な合意条件に多大な悪影響を及ぼすことがあります。

セルサイドDDでは、財務会計、法務にかかる分析に加えて、ビジネス面にかかる分析、すなわち対象会社の強み、弱み、ビジネスフロー、価値源泉の把握、実質的なEBITDAの把握等を行います。これにより、対象会社の理解を深めた上で、インフォメーション・メモランダム(以下、「IM」)やプロジェクションの策定を実施することになります。このセルサイドDDを事前に行うことで、これらの資料の精度や自社の将来成長性やリスクに対する説明力が大幅に増します。

これにより、売却の際に買収者に対して対象会社の正当な価値を評価してもらいやすくなったり、事前に考えられるトラブルを抽出し対処できるといったメリットもあります。セルサイドDDを実施する場合には、可能な限りM&Aプロフェッショナルと深く議論をした上で進めていき、場合によっては会計・税務専門家や法律の専門家もアサインして進めていきます。

セルサイドDDを実施したら、次にプロジェクション策定と簡易的な価値評価を行います。プロジェクション策定はセルサイドDDで収集した情報をもとに、合理的な数字的前提を考えることからスタートします。プロジェクションの策定方法については、別途解説しますのでそちらもご参照ください。プロジェクションが完成したら、それを用いて簡易的な価値評価を行います。売却者側の視点から自社がどの程度の価値で売却できるのだろうかという点について深く検討していきます。


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