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売却型M&Aの流れ⑤〜買収者候補による初期的DD〜

売却型M&Aの各プロセスを下記フロー図に沿ってご紹介して参ります。(全7回)

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5.買収者候補による初期的DD

M&A取引が進み、買収者がその条件提示を行う直前にはヒアリング及びQAセッションが行われることが通例です(入札の場合等で、ヒアリングセッション等を条件提示前に設けない場合は除きます。)。この段階こそが、初期的DD(本書で「プレリミナリーDD」として解説しているもの。)です。

ここでは、IM等に記載された情報などで買収者が特に深堀りしたい情報について、売却者側に対してヒアリングすることになります。QAシートなどを作成したりといったことも行われます。買収者にとっては、情報の追加取得・再確認ということが主要目的になりますが、ここで重要なのは、買収者としてはこのプロセスの過程において対象会社の役職員についての評価もしているという点です。オーナー経営者がM&Aイグジット後に残存する場合はもちろんのこと、残存しない場合においても、オーナー経営者以外の取締役やキーパーソン等を買収者が評価する絶好の機会になります。このようなヒアリング・セッションが設けられた場合には、その回答者となる方は十分に準備をしておくことが重要です。可能であれば想定問答集などを事前に策定しておき、十分に回答内容を細部まで考えておいた方がよいでしょう。

特に、提出した資料やそれぞれの回答者の発言間に矛盾が起こるような回答をしたり、事実と異なることをどんどん回答する人がいた等といったことがあると最悪です。買収者としてはこのような矛盾や「事実認識の違い」等があると、買収に非常に慎重にならざるを得ません。そもそも売却者と買収者間には「情報の非対称性」が存在します。セルサイドDDにより、しっかりと自社に対する知識・情報を整理し、必要な段階が来たら、それをキーパーソン間で共有し、内容を詰めておくことで、買収者からの信頼感や信用を得ることは成功に直結する程重要なポイントです。可能な限り、想定問答集を策定したり、重要な質問を想定し、それら質問に対する事実ベースの回答案を用意しておいたほうが良いでしょう。とはいえ、「嘘」や「あいまいな事実」を伝えるのはご法度です。中には、うまく事実を少し曲げたような内容を回答するようにアドバイスするM&Aアドバイザーもいるようですが、ブルームキャピタルとしてはこれが最終的にどのようにメリットになるのかが理解できません。事実ベースを買収者候補に伝えることこそが問題を拡大させたり早い段階で解決するために重要なことだと考えています。



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