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居心地の良い空間

 私は自分の家というものを持ったことがありません。
 今住んでいるのは夫の実家ですし、その前は長く賃貸住宅に住んでいました。自分の家は大人になれば手に入れることが出来て、家族で幸せに暮らすことができると思っていました。理想からは程遠い生活をしていましたが、たとえ賃貸でも工夫して居心地よくしようとしてきました。

 子どもの頃、家のチラシを見るのが大好きでした。外観もさることながら、間取りをみては、玄関からただいまと帰ってきて、まずここにバッグをおいて、自分の部屋はここで・・・など、想像しては楽しんでいました。
 どうしてあんなに夢中になっていたのか。家がきれいなら、新しいなら、居心地の良い暮らしができるのではないかと思っていたのかもしれませんね。想像の中の家族は、なぜかにこにこして会話が弾んでいたのです。
  
 生活空間のコンサルタントとして活動する中で、居心地の良い空間とは、そこに住む人々が心身共に健康である事が最低条件だと感じています。その上で、ありのままの自分が、そこにいても喜んでもらえるという安心感を得られる事が大切だと確信しています。

 家の間取りを見るのは今でも大好きです。今の家でも方眼紙は必須アイテムで、間取りを書いて模様替えの際のレイアウトを考えたりしています。

 模様替えはしっくりくるまでは何度でも行います。一度決めた家具の配置でも、違和感を覚えたり、使いづらかったりする場合もあります。方眼紙に書いて最高のレイアウトだと思っても、家具を移動しそこで生活を営むと、思いもよらない不都合が出てきたりします。
 だから私は、家空間も人も成長し変化し続けるものだと思うのです。固執してしまうと新たな試みも試せなくなってしまいます。

 何度も何度も繰り返した中で、大切な事がわかってきました。
☆自分の家でなくても、古い家でも、居心地良い空間はできること。
☆人とものの場所を決めることで、居場所ができること。
☆空間が心地よくなると、自分が豊かになること。

 心が疲弊している時は、部屋も乱れることが多々あります。意識が空間にまで及ばないのです。目の前の問題にとらわれてしまって、視野も狭くなってしまいます。
 家を手入れして住みやすくしたいと、模様替えを繰り返す時間は、ある意味贅沢なのかもしれません。部屋が居心地よくなると、不思議と考えもシンプルになる気がします。問題解決に至らないなら、しばらく放っておくという考えが浮かんできたりするのです。










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