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インナーユニバース

◆n次創作

私は現実から逃げるために様々な妄想をする。
それを絵に描いたり、文に起こしたりすることもある。
そうやって生まれたいくつかをまとめて、
破綻と矛盾まみれの「物語もどき」に仕立て上げる。
どこかの編集部やコンクールに送るわけでもないのに、
「物語もどき」を増やしたり弄ったりしている。
少年が誰かを殺したり、救ったり、
宇宙人やドラゴンと仲良くなったり。
そういう稚拙で、幼稚で、ありがちで、不毛で、
どうしようもない妄想を、多分20年ほど続けている。

◆n次設定

最初はアニメやゲームの二次創作キャラクターをよく考えていた。
輩で言うところの「ぼくのかんがえたさいきょうの○○」だ。
そんな子供がネットに触れ、余計な知識を増やしていき、
いつの間にやらこんなザマになっている。
今でも二次創作をやることはあるのだが
弄っているうち、原作の要素が不要になってしまう程に
ぼくのかんがえたものになってしまう。

◆#

ある日。
なんとなくSNSを眺めていたら、Qが生えた。
「お前の世界に名前はあるのか?」
しあわせなことに、私には創作活動を行う人たちとの繋がりが多い。
その繋がりの先で、作品や世界観のタイトルをタグにして
絵を出すとか説明をするとかに使っているのを見た。

私の「物語もどき」には、ひとつひとつにタイトルがある。
でもそれらすべてをタグにするわけにもいかないし、
ちょっとめんどくさい気もする。

そこで

今までに作ってきた「物語もどき」の
人物を、世界を、思い出し、思い出し、
思い出せないならもう一度考えて、
矛盾で絡まっている部分も考えて解いて、
集めて、集めて、考えて、考えた。

◆私の頭の中の

箱の中に、再構築した物語もどきたちの中から
同じ時空の話を選んで、収める。
こうして、ひとつの「宇宙」ができる。
そうして、ひとつの「世界」ができる。
私の思考には、こうしてできた「世界」がある。
私の脳内には、今まで生まれた「宇宙」がある。
ふとした思いつきで物語もどきが生えてきたら、
宇宙のどこかにそれを放り込んでみて、
世界が増えたり変わったりするのを楽しみながら、
新しい物語もどきを作っていたら、気が付いた。

いつのまにか私は、箱の中に入っていた。
いつのまにか私は、自分の創作活動を、創作にしていた。


◆インナーユニバース

私は現実から逃げるために様々な妄想をする。
それを絵に描いたり、文に起こしたりすることもある。
そうやって産まれた愛すべき幻覚を、私の思考に巣食う譫妄どもを、

第n宇宙 
と、呼んでいる。


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