ミシンが好き、縫製が好き。
職人インタビュー:縫製担当 黄金節子
bloccoとの出会いはふとした偶然から。
数年前のある日、石狩の本社工場で土日だけオープンしている工場直営店へ、家族に誘われて出かけたことから始まる。
ずらりと並ぶbloccoのソファを見て「生地を使ったソファが多いんだな」と思ったのが最初の感想。ソファというと革張りなども多いため、生地を使った様々な種類のソファがあることに、少し意外性を感じたという。
元々、洋裁学校で学び、洋服のデザインや洋裁、ミシンが好きだったこともあり、つい意識したのが生地のこと。ふと目をやると、ソファの張り地の端材の販売が。つい嬉しくなり、いくつか購入することに。
後日、一緒に出かけた姉から「bloccoに縫製スタッフの募集があるみたい。応募してみたら?」
そんな一言が縁で、今や1日に6〜7台分のソファの縫製を担う職人のひとりとなったのです。
一台のソファを、ひとりで縫うこと
bloccoソファの縫製の中で、ひとつのこだわりと言ってもいいことが、
“一台のソファを、ひとりで縫う”ことがある。
「パーツごとに分けて縫うと、分業ができて作業は早いかもしれない。でも、一人で一台を縫うことで、縫い目が統一されるんです。縫う人が変わると、どうしてもその人その人のクセが違うため、一台のソファなのに縫い方にバラツキが出てしまう。プロの職人が縫えば、誰が縫っても同じに見えるかもしれないけれど、それをしないのが、bloccoなのです。」
一台のソファを一人で縫うという責任。でも、その責任があるからこその達成感もある。
座ってくれるお客様を思いながら縫う。そんな気持ちが、一台のソファに込められています。
面に出るところが綺麗なのは当たり前、
面に出ないところも丁寧にこだわるのが“bloccoポリシー”
縫製は“ステッチの幅が一定”であることが当たり前の世界。
もしステッチがずれていると「曲がってるよ」と指摘が入る。でも、まっすぐだと何も言われない。その何も言われない、という当たり前をきちんとすることは当然のこと。さらに見えないところまで丁寧に仕上げるのがbloccoの縫製だと言う。
「自分が“最高のものができた!”と自信を持って言えるモノづくりを大切にしています。bloccoのソファを選んでくれたお客様に、変なものは作れないですから。こだわりを持って選んでくれたソファに、自分もこだわりを持って応えたいと思って作っています。自己満足とも思えるくらいの作り手としてのプライドの塊が、お客様への満足度につながると思っています。人にbloccoのことを伝えるとしたら、“絶対いいものだよ”と自信を持って勧められます。」と、力強く語る。
ひと針ひと針、お客様を思いながら
縫いながら、「どんな家に置くのだろう?」「どんな家族が座るのかな」「どんなインテリアに?」など、今作っているソファがどんな人に迎え入れられるかを想像しながら作る。
ある時、お客様からこんなコメントが届いた。
「縫製が綺麗ですね」
“綺麗”なことは当たり前の縫製。
でも、「自分のやっていることがちゃんと届いている、見てくれている」そう思い、嬉しかった。もっといいものを作らなくちゃ、と意気込む。そして、作っているときが楽しいのだと笑う。
「いつかオリジナルの生地で、本当の世界にひとつのオリジナルソファつくってみたい!それが、わたしの密かな夢なんです。」
笑顔でそんな夢を教えてくれた。
インタビュー・文:海渕恵理
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