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デザイン・開発チーム対談「2018年度グッドデザイン賞」受賞を振り返る/リラックスモデュールソファ「GEMINI」(ジェミニ)

bloccoブランド初の受賞となった『2018年度グッドデザイン賞』

受賞したソファは、プロダクトや家具デザインなど幅広く活躍されているデザイナー山田佳一朗さんが手掛ける、リラックスモデュールソファ「GEMINI」(ジェミニ)です。丁寧なものづくりと日本の住空間に合わせたコンセプトなどが高く評価されました。

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デザインや開発など試行錯誤をしながら完成した「GEMINI」。開発メンバーの対談インタビューをお届けします。

「GEMINI」開発メンバー対談インタビュー

GOOD DESIGN賞の受賞、おめでとうございます。bloccoブランドでは初のデザイン賞の受賞、さらにデザイナー山田佳一朗さんとの共同開発である2018年の新作ソファ「GEMINI」での受賞でしたね。今の率直なお気持ちはいかがですか?

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左から、デザイナー山田佳一朗、blocco工場マネージャー沼田雄三、bloccoブランドディレクター&営業本部長の沼田英司。

沼田英司・ブランドディレクター

「素直に嬉しいですね。座り心地や品質にはもちろん自信がありましたが、これまで「blocco」ブランドでデザイン賞の受賞は考えたことがなかったので。新作を最高の形で発表でき、作り手である工場の職人や店舗のスタッフ、bloccoに関わるみんなが喜んでくれたことも嬉しいです。」

沼田雄三・工場マネージャー

「正直、まだ実感が湧かないですね。でも、デザイン賞は簡単にとれるものではないと思っていたので、嬉しいです。デザインがいくらよくても、商品としての完成度が低ければ成り立たないと思うので、開発した側としてもよかったなと思います。」

デザイナー山田佳一朗

「ひとまずグッドデザイン賞がとれてホッとしました。まずは、bloccoのみなさんが喜んでくれたことが何より。こういった賞をとることで、自分たちが作って、売っているソファがきちんと認められ、さらに自信や誇りを持つことに繋がっていくと思うので、よかったなと思います。」

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ソファ開発とデザインという2つのタッグにより、素晴らしいソファが完成したということですね。このようなスタイルになった経緯を教えていただけますか?

沼田雄三・工場マネージャー

「山田さんにデザインをお願いする前は、bloccoのソファ開発は、主に私たち兄弟で行っていました。職人の見習いから始めた私たちは、開発から販売まで、全てのことを自分たちで少しずつ学びながら行ってきたので、これまでデザインに関しても手探りでやってきました。デザインをするという概念よりも、ひとつのソファを作っていく過程でデザインも出来上がっている、と言った方がいいかもしれません。」

沼田英司・ブランドディレクター

「2016年頃に山田さんとの出会いがあって、bloccoに今までなかった“デザイン”という分野で力を貸してもらうことになりました。いろいろとブランドの積み重ねや想いを聞いてもらい、山田さんが感じるbloccoらしいソファを提案してもらったり、職人や販売スタッフを交えて考えたりと、一緒に開発を始めました。」

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改めて、今回受賞したGEMINIですが、どうやって形になっていったのでしょうか。開発のきっかけから教えてください。

沼田英司・ブランドディレクター

「ひとつには、お客様から寄せられた声です。私たちは、北海道の札幌を中心にブランドを展開してきましたが、その中で北海道の豊かな住宅事情を持つお客様層から寄せられたのが“ゆったりと寛げるソファが欲しい”“大きめのソファが欲しい”というものでした。」

沼田雄三・工場マネージャー

「ただ、ゆったりと寛ぐためには、たっぷりとした奥行きが必要になります。ソファのサイズが大きくなると、広いお部屋でないと検討することが難しかったり、課題も多かったと思います。」

デザイナー山田佳一朗

「お話を聞いていく中で、やはりbloccoの強みは、これまでお客様との対話や細かな要望に応えていた中で蓄積された“オーダーソファシステム”だと思いました。そのオーダーシステムを活かしながら、お子さまのいる家族向けにはもちろん、限られたスペースの賃貸住宅の間取り、人が集まるようなクリニックやお店、利用する空間や人数など、様々なライフスタイルシーンに柔軟に組み合わせられ、お客様の暮らしに寄り添えるソファができないか、との思いでデザインしたのが「GEMINI」です。」

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具体的にどのような点がbloccoのオーダーソファシステムを活かした部分なのでしょうか?

デザイナー山田佳一朗

「モデュール式を採用することで、お客様の多様な要望に応えられるデザインを目指しました。「GEMINI」( の“GEM”) は双子座の意味で、2面で構成されるパーツを名前に込めています。

独立パーツの組み合わせ次第で、多様なシーンに対応できます。ソファパーツが裏と表の2面で構成されているので、色や質感を変えて2トーンにできるだけでなく、パイピングも生地を選べて3トーンが楽しめます。」

3トーンが楽しめるモジュール式のソファなのですね。ゆったりとしていて重厚感も感じます。その一方、組み合わせ自由という軽やかさは新しい感覚ですね。

デザイナー山田佳一朗

「奥行き1mのラージタイプで、ゆったりと座るだけでなく、横になったり、ソファの上であぐらをかいたりと、様々な使い方ができます。特に、1m角のラージスツールはオットマンやコーナーソファとして使ったり、トレイを乗せてテーブル代わりに使うこともできます。パーツの塊から、体が触れる角を大きな曲面で削り取った結果、重厚感と包容力を備えたフォルムとなりました。」

実際にソファを作るにあたって、苦労した点などがあれば教えてください。

沼田雄三・工場マネージャー

「このソファを作る際は、約1年以上、試作を繰り返しながら商品化を目指しました。初めの試作では、設計図で思い描いていたものからは遠く、大きさやデザインのバランスがしっくりこなかったり、独立したソファパーツを組み合わせることで、張り地の裁断や縫製も立体的で複雑なものになるので、出来上がった時に弾力のある綺麗な丸みのある仕上がりになるよう工夫しながら調整を重ねました。」

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GEMINIに込めた思いなどがあれば教えてください。

沼田英司・ブランドディレクター

「そうですね。ブランド名の由来にもなったイタリア語で“カタマリ” を意味する「blocco」は、ブランド設立当初から“ソファは使う人と作る人の想いのカタマリ”という信念があります。

今回の「GEMINI」の開発にあたっては、いわゆるソファの形である肘付きのベースに、座と背クッションを載せる基本形状に捉われず、このブランドの特徴でもある“塊” に注目して、ブランドの新たな顔として“塊感” のあるフォルムのソファを目指しました。

お客様がソファを選んだときの想いのカタマリと、ソファ職人が作る丁寧な手仕事のカタマリで、その人だけのオリジナルソファになってほしいという願いを込めて作っています。」

最後に、GEMINIを選ぶ方へのメッセージをお願いします。

デザイナー山田佳一朗

「それぞれの人に合った暮らし方ができるようにデザインしました。家族や仲間との時間を楽しんだり、一人で寝転がったりと、気軽にジェミニとお付き合いいただけると嬉しいです。」

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思いのこもったソファがたくさんの方の元へ届くと嬉しいですね。

▼GEMINIの詳細


インタビュー&文:海渕恵理

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