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共同所有がもたらす、これからの公共のかたち【NGG Research #12】

私たちはコミュニティを支える財やサービスに対してこれまでとは異なる関わり方をすることで、違った公共の未来をつくることができないだろうか。「私有」でも「国有」でもない、「共同所有」のモデルがどのように公共への関わり方を変えるのか、世界各地の事例を紹介する。

Photo by Sigmund on Unsplash
Text by blkswn NGG research(Kei Harada)

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公共の担い手であるために

気候変動や異常気象、富の集中と格差の拡大、未知のウイルスによるパンデミックなど、さまざまな社会問題が山積するなかで、「お上」が一手に引き受ける形では「公共」を守ることはできないだろう。コロナ下では行政府のサービスが行き届かない領域や場所で、ローカルなコミュニティによる草の根の協働が世界各地で見られた。また、地震や台風、山火事など自然災害においても、市民やボランティアによる活動のネットワークがいち早く立ち上がり、地域の復興や援助を後押ししたという事例がこれまでにも数多く存在してきた。

しかし、このようなパンデミックや自然災害の後に立ち上がる瞬間的・突発的な活動に限らず、平時から公共と接点をもち持続的に活動していくためにはどうすればいいのだろうか。新しい公共に向けて、財やサービスにおける「所有」のあり方について検討していきたい。「私有」でも「国有」でもない、「共同所有」のモデルによって管理・運営することによって、コミュニティにおける公共への関わり方が再編され、より持続的なあり方が考えられるのではないだろうか。

土地を共同所有する

最初に紹介するのは、土地の共同所有にまつわるモデルだ。先進国の多くの都市では、急騰する住宅マーケットの影響を受けて、地元コミュニティの住民が退去を余儀なくされてしまうジェントリフィケーションなど、市民の住まいを巡るさまざまな問題が存在している。これらの問題に対して、土地の共同所有のモデルはポジティブな効果をもたらすことが期待されている。

コミュニティ・ランド・トラスト(CLT)は、地元コミュニティの住民や行政機関などのパブリックセクターの代表者らが土地を共同所有するモデルだ。土地の共同所有者で構成される理事会が、土地への投資や開発に関するさまざまな事柄を、コミュニティにおけるニーズなどを考慮しながら決定していくのが特徴となっている。

Fast Companyによると、CLTの歴史は古く、1960年代の公民権運動にまでさかのぼる。アメリカ南部を中心に南北戦争以後1950年代まで小作農制度(シェア・クロッピング制度)が普及していた。公民権運動の活動家たちはそれに代わるものとして、黒人の農民が経済的に自立し、自ら土地を管理できる方法としてCLTのシステムを考案した。今日のCLTは住宅をめぐるものが多く、主にジェントリフィケーションなどにより安価な住宅を手に入れることが困難な都市で活用されている。

CLTでは、公的資金と民間資金を組み合わせて土地や不動産を買い取ることで所有権を得る場合が多いが、CLTが所有する住宅の値段は土地マーケットでの市場価格ではなく、コミュニティで暮らす住民の賃金の中央値をもとに算出されている。そのため、住民が不動産を手放すことになった場合も、収入に連動した価格で売却しなければならず、住宅マーケットの価格が急激に上昇したからといって、個人が不動産を売って利益を得ようとすることが不可能な仕組みとなっている。

現在アメリカには、およそ277のCLTが存在する。Slateによると、全米最大規模のCLTであるChamplain Housing Trustの設立に大きく尽力した人物は、1980年代にバーリントン市の市長を務めていたバーニー・サンダースだった。サンダースは当時から、経済的格差の縮小のために市民が家をもつことの重要性を説き、市が管理するすべての住宅資金(地方自治体、州、連邦政府からの資金)を家の購入のために使うことを義務付ける法律を成立させた。1984年には補助金20万ドルを捻出し、市の職員を派遣してCLTの設立を進め、CLTを通じて市民に住宅を供給するための基金を設立した。そして現在は全米最大規模にまで成長したChamplain Housing Trustの礎を築き上げたのだ。

サンダースは、2012年にコミュニティ・ランド・トラスト・ネットワークからバーリントン市長時代の功績を称えられているが、その際に「全米初の自治体出資のCLTを創設したことは、バーリントン市長としての私の最も誇れる業績のひとつ」と振り返っている(Slate)

DIYのプロジェクトからCLTへ

イギリス・リバプールのGranby Four Streetsは、CLTの手法を取り込むことによって、荒廃したコミュニティの再生に成功したプロジェクトだ。プロジェクトが行われたリバプールのエリアでは、20世紀後半から人口流出によって住宅市場が冷えこみ、住民の強制退去や建物の取り壊しが自治体によって進められた。しかしThe Conversationによると、取り壊しに抵抗した住民は、取り壊し予定の建物に、街路樹や鉢植え、野菜畑、壁画などをゲリラ的に設置し、ストリートマーケットを開催するなど、放置されていたコミュニティの活性化を試みた。

このような活動はやがて人気を博し、近隣地域で注目を集めるようになった。そして2011年に住民らはCLTを設立することで土地を共同所有し、管理していくことに成功した。廃墟となった建物は住宅として修復され、公正な価格で提供されるようになった。住民たちは建築家やアーティストとコミュニティの再生を進め、廃墟となっていた建物は住宅だけでなく、スタジオや集会所などにも生まれ変わった。また、新たにつくられたスタートアップや地域コミュニティのためのスペースは地域経済の活性化に大きく寄与しているという。2015年にGranby Four Streetsは、建築家と住民の民主的なDIYによる再生プロジェクトとして評価され、建築の分野で初めてターナー賞を受賞している。

ヘンリー・ジョージの思想を受け継ぐユートピア都市

19世紀のアメリカ社会では、飛躍的な技術進歩で経済的に大きな発展を遂げたにも関わらず、深刻な格差と貧困が広がっていた。思想家のヘンリー・ジョージは、社会的格差の拡大の要因を独占的な土地所有に見出し、そのことを著した1879年の『進歩と貧困』は当時の社会に大きな衝撃を与えた。 EC事業で財をなした起業家のマーク・ロアは、ジョージの考え方に大きく感銘を受け、アメリカ西部でおよそ20万エーカーほどの土地を購入し、500万人規模の都市を建設するプロジェクト「テロサ」を発表している。

ロアは地域の土地を信託し、その収益から社会サービスを提供するというジョージの考え方に強い影響を受けたと語っている。ロアが構想する都市のモデルではすべての土地をプロジェクトのステークホルダーらによって構成される財団が所有し、住民への課税ではなく、都市の発達とともに見込まれる地価の上昇による収益から公共サービスを運営し、市民に還元することを目指している。ロアは最終的に土地が1兆ドルの価値を持ち、年間500億ドルの投資収益を得ることができると予測している。そしてそれによって、すべての市民が所得に関係なく、必要な公共サービスを平等に利用できるようになると考えている。このプロジェクトにはデンマーク人の建築家、ビャルケ・インゲルスもチーフ・アーキテクチャー・デザイナーとして参加している。

マーク・ロアは、「テロサ」のプロジェクトを通じて資本主義のあり方に一石を投じたいと語る(CNN)

利用者が共同所有する発電システム

気候変動や大気汚染といった問題からも見直しが進んでいる、電力などの公共インフラについても、共同所有に移行することでサステナブルなあり方を実現している事例がある。

ニューヨーク・ブルックリンのウォーターフロントエリアの陸軍ターミナルの再開発プロジェクトを担ったNYC Economic Development Corporationは、協同組合融資機関(cooperative financing agency)であるCo-op Power、非営利のソーラー発電会社Solar one、地元の環境啓発団体Uproseらと協力し、80,000平方フィート(1フィートは約30cm)に及ぶソーラー発電システムを住民が所有し、運用する計画を発表した。

アメリカでは平均しておよそ年収の6-11%が電気料金にあてられている。年収が低いほど負担の割合は高まり、ブルックリンのウォーターフロントエリアである、サンセットパークで暮らす住民の30%は貧困線(年収約3万ドル)以下の収入で生活しており、住民は金銭的に大きな負担を強いられているだけでなく、大気汚染などの問題にも長年悩まされていた。

このプロジェクトでは、稼働から一定期間は融資を行ったCo-op Powerがソーラー発電システムを所有することになっているが、契約者から初期投資費を上回る財源を集めれば、契約権を移行する計画を立てており、この移行はおよそ7年で達成できると見られている。利用者は平均して20%の電気代を節約できるだけでなく、雇用や発電のあり方など、さまざまな意思決定に参加できるようになる。長年悩まされてきた大気汚染などの公害問題についても改善が期待され、サステナブルなあり方が実現されていくと考えられているようだ。

ソーラー発電のプロジェクトには、地元の行政機関、環境団体、非営利のソーラー発電会社に加えて、協同組合への融資機関も参加した(Fast Company)

アメリカでは、このように電力のインフラを共同所有のモデルで運営することは決して珍しいことではなく、およそ4200万人が、電気協同組合の供給する電気を利用している。共同所有のモデルが電力において重要な役割を果たすようになったきっかけは、1930年初頭・大恐慌直後の時代にあるようだ。当時のアメリカでは、都市部で住民の90%が電力にアクセスできていた一方で、人口の少ない農村部においては、採算に見合わないとの理由から電力会社が電線をひくことを拒み、人口の10%程度しか電力にアクセスできていない状況だった。

そのような危機のなか、一部の農村地域において、住民たちが共同で出資して電力協同組合を結成し、地域に自前の電線を引くような動きが生まれ始めた。当時の状況に懸念を持っていたフランクリン・ルーズベルト大統領も、全米各地で起こる地殻変動を察知し、1936年には農村電化法を可決させた。そして小規模な電力組合の設立を後押しする地方電化局(Rural Electrification Administration)を設立し、400以上の電気組合に資金援助を行った。農村部や過疎地域で多くの電力組合が立ち上がると、1930年代にはおよそ100以上の協同組合が電気や電話サービスを農村部に提供し、20年後には農村部での電気へのアクセスが10%から90%へと上昇した。

The New York Timesは、農村電化法は、いまでも過疎地域でインターネットのブロードバンドを提供するための資金調達や規制緩和に関する重要な法律であり続けていると述べている。電力協同組合がブロードバンドの開設に携わるケースもたびたび見られるようだ。2013年に北東オクラホマ電気協同組合はインターネット環境に関する組合員の不満の声を受け、地域にブロードバンドを開設するべく、Boltという子会社を設立した。地域で既に活用されている電柱を利用して約6000軒の住宅に高速のインターネット環境を提供することに成功し、地元コミュニティでの新たなビジネスの創造を後押している。

1936年に施行された農村電化法は、いまでも過疎地域でブロードバンドを提供するための資金調達や規制に関する許可を得るために重要な法律であり続けているという(The New York Times)

企業が公共を担うために

また、企業において事業のオーナーシップを変えることで、より持続的なモデルへと転換した事例についても紹介したい。公共の担い手は行政府や市民セクターだけでなく、営利企業なども当然含まれるからだ。

1903年にコロラド州で設立された、砂糖の製造会社である、Great Western Sugar Companyは、てんさいの生産農家とともに会社を拡大したが、1990年から事業の後継者をめぐる問題に直面し、身売り先を探し始めたという。2002年に会社は、他の大企業や投資ファンド、個人オーナーではなく、何十年にもわたり彼らのビジネスを支えてきた約1,000人のてんさい生産者に、会社を売却する決断を下した。現在は「Western Sugar Cooperative」と名前を変え、てんさいの生産者によって所有される生産者協働組合として運営されている。

ローカルコミュニティで重要な役割を果たしているスモールビジネスの企業も、共同所有のモデルをうまく組み込むことで生き残りを図っているケースがある。ワシントンD.C.を拠点とするCommunity Purchasing Alliance(CPA)は、地元の企業や教会、チャータースクールなどおよそ160の団体によって共同で運営されており、それぞれがもつリソースや、必要物資を調達するための資金を共有することで、電気や警備、衛生環境の整備などにかかる費用を300万ドル以上削減することに成功している。CPAには地元の有色人種による企業や団体が多く加盟しており、彼らはローカル経済の発展のために、必要な物資やサービスの購入先を地元の有色人種によって経営される企業を優先し、黒人が経営する地元の警備会社の規模が2倍になった例もあるという。

ギグエコノミーのオルタナティブ

他にも、近年、世界の各都市で重大な社会問題となっているギグエコノミーについても、ステークホルダーによる共同所有のモデルは重要なソリューションとして考えられている。UberやLyft、Deliveroo、DoorDashなどのギグエコノミーのプラットフォームは、サービスの利便性や、時間や場所に縛られない自由な働き方が実現できるといった理由から世界各地で利用が広まった。しかしプラットフォーム企業は、ワーカーを個人事業主として扱うことで福利厚生などのコストを支払う責任から逃れ続け、ワーカーは脆弱な立場からプラットフォームへの依存を高めていった。そして現在、非常に不利な労働契約のもと働かざるを得ない状況に陥り、その歪んだ構造は大きな社会問題となっているのだ。

2019年公開のケン・ローチ監督『家族を想うとき』は、ギグワーカーの過酷な労働環境について警鐘を鳴らした。

このような背景から世界各地でギグエコノミーのプラットフォームに対する規制を巡るさまざまな動きがあるなか、ワーカーやサービス利用者といったステークホルダーがプラットフォームを共同所有し、公正な労働条件のもとに事業を運営していこうとする動きが生まれている。これらのモデルでは、ワーカーやサービス利用者はプラットフォームに依存する受動的な存在ではなく、自らが関わる事業に対してオーナーシップを持ち、主体的な当事者としてさまざまな決定を下していく。以下では、そのような事例を紹介したい。

ライドシェアサービス

Co-op Rideは、ニューヨークで展開されるライドシェアサービスだが、ドライバーが会社の共同所有者でもあり、組織の運営に関するさまざまな意思決定に参加している。Uberはドライバーに対して1回の配車ごとに25%の手数料を科しているが、Co-op Rideでは、ドライバーらが参加する意思決定プロセスのもと、運営費として15%のみを徴収することを定めた。そのためドライバーは1回の乗車でUberやLyftよりも8〜10%多く収入を得られている。さらにサービスで得た利益も、最終的には事業のオーナーであるドライバーに、労働時間に応じて配分される仕組みになっている。

さらにCo-op Rideはドライバーの自動車ローンの借り換えを支援するため、地元の信用組合であるLower East Side People's Federal Credit Unionとの提携をスタートした。Co-op Rideのドライバーの90%以上は移民で、クレジットヒストリーを所持していないといった理由から、融資に関する信用度が低い場合が多く、必要な金融サービスを適切なかたちで受けることが難しかった。しかしCo-op Rideが、ローカルコミュニティで暮らす組合員のメンバーシップによって運営される信用組合と提携したことで、ドライバーはより低金利な契約に借り換えることが可能になり、必要なサービスを受けることができるようになった。

Co-op Rideは、2021年5月30日からニューヨークでサービスを開始したが、2021年7月時点で、3,000人以上のドライバーを抱えており、2,000回以上の利用があったという(Fast Company)


ホームクリーニング

労働者協同組合の設立を支援している非営利団体のCenter for Family Life(CFL)は、住宅清掃を行うワーカーが事業を共同所有する、Brightlyを設立した。アメリカでは住宅清掃を行うギグワーカーの賃金が、プラットフォームに高い割合で徴収されるために、平均時給がわずか11ドルと非常に低い。しかしBrightlyでは平均時給が約21ドルで、ビジネスの持続性のために売り上げのうちのどれだけを組合に残し、どれだけ受け取るか、といったこともワーカー自身が決定している。

CFLは、ホームクリーナーが公平な労働条件のもとにより多くの収入を得て、自らの仕事にオーナーシップを感じられるよう、Brightlyのモデルを他の都市でもフランチャイズしている。フランチャイズした組合は、Brightlyのブランドを使用できるだけでなく、CFLが提供するビジネスのインフラ(ウェブサイトや予約プラットフォームなど)やテクニカルなサポートを利用できるため、立ち上げにかかる初期コストを大きく抑えることができる。

フードデリバリー

Delivery Co-opは、COVID-19のパンデミックを機に設立されたフードデリバリーサービスだ。レストランが月額300ドルを支払ってサービスに参加し、デリバリーのドライバーとともにサービスの共同所有者としてビジネスに関するさまざまな意思決定に参加する。福利厚生や手当が十分に与えられ、ビジネスの意思決定プロセスにも参加するドライバーは、他のギグエコノミープラットフォームとは異なり、離職率が非常に低いようだ。

レストランは注文ごとにプラットフォームに追加料金を支払う必要がなく、ドライバーも注文ごとではなく、労働時間に応じて給料を受け取り、チップも100%支給される。Delivery Co-opは、レストランやドライバーに公正な収入をもたらしているだけでなく、地元コミュニティのお金がメガプラットフォームに吸い上げられることなく、コミュニティの中での経済循環が生まれるなど、ローカルにもポジティブな影響が期待されている

ドイツのベルリンやスペインのバスク地方など、協同組合形式で運営されるデリバリーサービスが世界各地で生まれつつある(The Guardian)

一方で、ワーカーによって所有される公平なプラットフォームを立ち上げようと考えたとしても、新たにウェブサイトやモバイルのアプリを開発して運用するには多額のコストがかかる。プラットフォームをワーカーやサービスの利用者が共同所有し、公平かつ民主的な統治によって運営する「プラットフォーム協同組合主義」を提唱するトレバー・ショルツも、現状では組織の資金調達やサービスのインフラ整備といった面において障壁があると指摘する。

マルセイユ出身のプログラマー、アレクサンドル・セグラが始めたCoopCycleは、そのような問題に直面した際の大きな後押しとなるだろう。セグラは、ワーカーによって事業が共同所有される協同組合のモデルで運営されるプラットフォームに対し、無償でソフトウェアを提供し、オンラインサービスの立ち上げ支援もしている。The Guardianによると、2021年5月時点で、ヨーロッパからカナダ、オーストラリアまで7カ国にわたって67の協同組合がCoopCycleの連盟に加盟しており、アルゼンチンやメキシコにも広まりつつあるようだ。

共同所有で運営される財やサービスのさまざまな事例についてここまで見てきたが、これらはローカルでのボトムアップの動きさえあればいいということでは決してない。事業を協同組合化したいと考える企業に対しては、それぞれの目的やニーズにあわせて細やかに法人格を用意したり、資金調達をより容易にするメカニズムや規制緩和を整備することが必要になってくる。また、行政府が主体的に共同所有のモデルで運営される財やサービスの枠組みを構築し、市民に公共への参加を促していくことも重要だ。上述したような協同組合形式で運営されるオンラインのプラットフォームがギグエコノミーのメガプラットフォームに淘汰されないためには、国や自治体がメガプラットフォームに対する規制を強めていくことも欠かせないだろう。

日々の政治を行うために

共同所有のモデルの根幹は、所有者であるそれぞれの人びとが意思決定のプロセスに参加し、決断を繰り返していくことにある。私たちは「政治」と聞くと、選挙に行って投票することだと考えてしまいがちだが、本来政治とは、未来のために日々の生活のなかにあるさまざまな事柄について自分たちで話し合い、選び取っていく、そのプロセスにもあるはずだ。共同所有のモデルへの移行とは、私たちが生きる社会の公共を守るために、こうした日々の政治を行う第一歩なのだと考えられるのかもしれない。

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【転載ガイドライン】

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