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美季ちゃんと私(食に纏わる展示の始め)

いつ頃からだろうか?食に関わる写真展をやってみたいなと思い始めて多分数年は経つと思う。きっかけもよく思い出せないし、どーしてもやりたい!ってほどの強い気持ちがあったわけでないのだけれど、漠然と、なんとなく1人じゃなくて、2人かそれ以上かの料理が好きな複数人で出来たらいいな、くらいのものだったと思う。そんなゆるい気持ちが心の中にふわふわと漂っていた頃、自分の店に「美季ちゃん」が訪れるようになった。

うちのお店は写真に特化したカフェなので、沢山の写真展示がある。なので訪れた美季ちゃんも「写真の人(撮る人)」だと思っていた。撮るといってもゆるふわでないガチ勢の1人。やわらかな空気を纏ってはいたけれど、ガチ勢に違いないと思っていた。

ところが何回か会って話をしているうちに、写真はもちろん撮っていたりするのだけれども決してそれだけではなく、美季ちゃんにとっては寧ろ他の物の方が趣味的には重きを置いているものがあるのが見えてきた。特に「食」に関しては並々ならぬ執着心が見えるのである。

「あ、なんか話が合うぞ。食に関してのこの情熱は私の波長に非常に合うぞ。」

ぼんやりとしていた私の食に関する写真展のイメージは、美季ちゃんと会う度により明確なものになっていく。この人と一緒に写真展を「作りたい」と思うようになったのである。

さて。数年前に突如現れたコロナ妖精たちのおかげで、私はこの話を彼女に切り出すことがなかなかできずにいたのであるが、ある私的なきっかけがあり、再び心が大きく動いたのである。

えいや!っと彼女に連絡を取り、彼女の行きつけのスペイン料理店で話をしたらあっという間に話がまとまり、ついでにこんな往復書簡をやりとりすることになったのである。

展示まで約1年。こんなに長い時間を使って作り上げていく展示をしたことは今の今まで一度もない。そしてこの往復書簡的なやりとりからどういう展示が出来上がるかも未知数。

それでもきっといいものになるんじゃないかという、これまた漠然とした気持ちが、心の中を漂っている感じは、なんだかとても心地がよかったりするのである。

23rd/Aug/2023 サオリ


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