お金のことわざ&慣用句いろいろ

Q.うちのおじいちゃんはけっこう大きく商売をやっています。たまに遊びに行くと「生き金を使わなきゃだめだぞ」とよく言われます。わかったようなふりをして聞いていますが、実はあまりその意味がわかりません。お金が生きたり死んだりするってどういうことですか? 

■ 「生き金を使う」とは?
「生き金、死に金」という言葉、最近はあまり使わなくなったのでしょうか? 先日もセミナーでこの言葉について「それってどういう意味ですか?」と質問されました。私が歳をとったのか、あまり使われなくなって消えていく言葉って増えているように思います。もちろん言葉は生き物なのでその時々で変わっていくものですが、ちょっと淋しい気持ちになりますね。

 さて、「生き金を使う」という言葉、手もとの日本国語大辞典を見ると〔いかして使う金。それだけの価値があるように有効に使われる金。〕とあります。一般的には「無駄遣いをしない」という意味で使っている人が多いかもしれません。私個人的には、それ相応の価値があるようにというより、プラスアルファで、そのお金の価値以上のものを生み出す、あるいは価値以上のものを得るといったニュアンスで使っています。同じ言葉でも、どんなふうに使うかは、人によって多少違いがありますね。

 また、言葉によって、初めてそういった概念があることを知る、ということもあります。例えば「生き金・死に金」という言葉を知ることによって、「お金を有効に使える場合とそうでない場合がある」ということを認識できるということです。

 そこで、今回は「お金」に関連した慣用句やことわざを集めてみることにしました。

■ お金は良いもの、悪いもの?
 お金自体は善でも悪でもない、価値中立的な「道具」のはずなのですが、その人の使い方によって悪い面と良い面が出てきます。ことわざはその両面を端的に表しています。

 例えば、お金を悪いものだと思っている人には
「金が敵(かたき)」人は金がもとでさまざまな苦労をしたり、災難にあったりする。
「掃き溜めと金持ちはたまるほど汚い」金持ちはお金が貯まるほど欲が出て、よりけちになる。
「小人罪なし、玉を抱いて罪あり」罪のない凡人も、不相応の財産に近づくと、欲が出て罪を犯してしまう。
「金は芸減らし」芸人がお金に執着しだすと、芸が上達しなくなる。
「金銭に親子なし」お金がからむとたとえ親子でも他人のようになってしまう。
 なんていう言葉たちがしっくりくるでしょうし、逆に「金がものを言う」つまりお金は大きな力をもっているものだと考えていれば、
「地獄の沙汰も金しだい」「金の光は阿弥陀ほど」「金の光は七光り」といった言い回しに共感を覚えるかもしれません。

 こうしたお金の両面を表した「金は命の親、また命の敵」お金は人を助ける事もあり、また苦しみを与えることもある。という言葉もちゃんとあります。

■ 楽観的に考えますか、節約に励みますか?
 また、お金に対する態度を表す言葉にも、こうした両面性がみられます。

「金は天下の回りもの」お金は一ヶ所に留まっているわけではなく、いつかはお金のない人のところにも回ってくる。
「金は湧きもの」お金は水が湧くように意外なところから入ってくることもあるので、くよくよ悩まなくてもよい。
「宵越しの金はもたない」その日に稼いだお金はその日のうちに使ってしまう。江戸っ子のきっぷのよさを表す。と、あまり金銭に執着しない考え方もありますが、その一方
「口と財布は締めるが得」おしゃべりと無駄遣いはしないほうがよい。
「金は三欠くに溜まる」お金は義理・人情・交際の3つをやめて貯めるくらいの覚悟をしてやっと貯まるもの。
「塵もつもれば山となる」ごく小さくわずかなものでもつもり積もれば山のように大きくなる。なんて、節約を推奨するようなものも数多くあります。

どちらの価値観を重視するかはその人の考え方でしょうし、時や場所によって変わることもあるでしょう。どちらを選んでもそれなりにふさわしい言葉が出てくる、というのがことわざのいいところなのかもしれません。

 私も、「時は金なり」で、まさに人生そのものである時間を大切にしながら、「悪銭身につかず」にならないように正しく稼ぎ、「猫に小判」といわれないよう、物の価値を見極められるように学んでいきたいと思います。

幸せを呼び込むポイント
・ことわざは古人の知恵の集大成。知っていて損はありません。
・お金に関することわざは他にもまだたくさんあります。ぜひ調べてみてください。

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