経済的に自立させない親たち

Q. 資金的にも何とかなりそうなので、念願だったマイホームを買おうと思っています。そんな時、妻の両親から「近所に住むなら資金を出してもいい」と申し出がありました。妻は乗り気ですが、私としてはあまり気が進みません。どう思われますか?

■経済的援助の問題点
 前回は親子間の経済的な援助について、親の立場から考えてみましたが、今回は逆に子供の立場から考えてみましょう。

 子供側から見た経済的な援助の最大の問題点は、経済的に自立できないと精神的に自立することが難しいということです。誰かに経済的に世話になっていると自分に自信をもつことは難しくなり、自分を一人前の人間として見られなくなってしまいがちです。そうなると、どうしても精神的に弱くなってしまいます。生きるために必要なエネルギーや能力は自分の中にあるのに、それが信じられず、もらっている「お金」にあるような気がしてしまうのでしょうか。

■いつまでも続く親のコントロール
 また、精神的に自立できないということは、親の管理下から抜け出せないということでもあります。
 裕福な家で育った私の友人は、バリバリ働いて自立しています。しかし、同じ家庭で育った彼女の姉は、結婚後も一家で両親の敷地に家を建ててもらって住んでおり、生活費の援助も受けているそうです。友人に、なぜお姉さんと同じように、親に援助してもらわないのかと尋ねると、「とんでもない」という答えが返ってきました。「お金をもらったら、姉のようになんでも親の言うとおりにしなければならなくなり、いつまでも干渉されることになる」と言うのです。

 今回の相談者さんも、義親の近くに住むこと自体にはそれほど抵抗を感じていません。それより気になるのは、「お金を出してもらったということが負い目となり、自分たちのライフスタイルに口を挟まれても文句を言えなくなるのではないか」ということだそうです。

 極端な言い方をすれば、経済的な援助を受け続けるということは「あなたは経済的にまだ不安定」であり、「親がいなければ生活していけない」というメッセージを送り続けられているということです。

 はっきりとは意識していないと思いますが、経済的な援助によって、親の側は子供をいつまでも自分の支配下に置きたいのです。つまり「これだけお金を出しているのだから、親を尊重し、親のいうことを聞くのは当たり前だ」と考えます。そして、子供は経済的援助の裏側にあるそんな「期待」を察知するため、お金を受け取りながらも、非常に負担を感じてしまいます。表面的に仲の良い親子であっても、その裏にそのような問題が隠れていては、あまり幸せな関係とは言いがたいように思います。

■自分の価値観で生きるために
 さらに、精神的に自立できていないと、子供はいつまでも親の価値観に従って生きていかなければなりません。自分の価値観がはっきりせず、自分の人生を生きているような気がしない人も多いのではないでしょうか。上記の友人も、「自分の人生を生きるために、なるべく早く家を出て自活するようにした」のだと語ってくれました。

 たとえ、親子の間とはいえ、お金をもらうということにはそれなりの代償がついてきます。

 一時的に親からの援助をお願いするにしても、単なる甘えや依存ではなく、自立した大人同士の取引としてきちんと一線を引いておきましょうね。

幸せを呼び込むポイント
・経済的な自立は精神的自立に通じる
・自立できないとずっと親のコントロールを受けることになる
・たとえ親からでも、お金をもらうにはそれなりの代償がついてくる

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