いたずらひなちゃんやりたい放題

 現在我が家ではひなちゃんのいたずらが絶賛加速中だ。子育ての先輩にこれまで何度も聞いていたことではあるが、ごみ箱をひっくり返したりティッシュを全部引っ張り出したり、棚や机のものを落としたり…。
聞いていたとおりのことをなぜここまで正確にやってくれるのだろうと驚くほどに、赤ちゃんのいたずらは大人の知らないところで共有されていたりするのだろうか。
 ひなちゃんの名誉のために言っておくと、できるようになったことはいたずらだけというわけではない。つかまり立ちや手づかみで自分でご飯を食べられるようになったりと、ひなちゃんの成長は日々目覚ましいものがある。
だからこそ、出張で4・5日家を空けているだけで、ひなちゃんのできることは三つも四つも増えている。最近は布団におもちゃを持ってくることにはまっているらしく、少し遊んだところでおもちゃを置き去りにして、そのまままたどこかに行ってしまうのだからたちが悪い。これまでどおり何もないと思って布団の上に勢いよく我々が寝転がると、背中や腰に激痛が走るというなんとも悲惨なことにもなりかねないのだ。
と言いつつも、はいはいでものを運べるようになったことは立派な成長である。
 先日もおもちゃで遊んでいると思っていたひなちゃんがリビングで一人でゲラゲラ笑いだした。一人で遊びながら声を出して笑うのは珍しい。
とうとうひなちゃんもそこまで成長したか、と思いながらほっこりしたのは大きな間違いだったことに後から気づく。
ビニールのようなものをガサガサ言わしながら大笑いするひなちゃん。どうせまたビニール袋でも引っ張り出してガサゴソ遊んでいるんだろうと呑気に考えていた。
「どうしたんひなちゃん。そんなに楽しいの」
と我が子の成長を確かめようと近づいてみた。するとどうもガサゴソいわしているのはビニール袋ではない。
 ここで時を30分ほど前に戻そう。買い物から帰ってきた我々3人は、大量に買い込んだ食材をリビングのテーブルから冷蔵庫に運搬していた。その日は月に一度の100円のケーキバイキングの日で、3角形のケーキもたくさん購入して食べるのを楽しみにしていた。
ただ大量に買ったせいかケーキを一つどこかに落としてしまったらしく、数が足りない。「ケーキが一つ足りません」
なんて、某有名な怪談話の言い方をまねたりして呑気にあきらめていた。
スーパーで袋詰めする時にこぼれてしまったのかもしれない。
 そしてその30分後。もうだいぶ話が見えてきただろう。
足でガサゴソいわしながら大笑いしているひなちゃんに近づいて触ってみると。なんとケーキが床に落ちているではないか!しかもパッケージが開いてケーキがそのままの状態で。
それをひなちゃんは足で床にこすりつけて大笑いしていたのだ。ガサゴソいっていたのはケーキの周りについているセロハンがこすれている音だった。
「うわーっ!」
という僕の叫びに一瞬動きが止まるが、またすぐにケーキを床にこすりつける作業を再開するひなちゃん。ゲラゲラ笑いながら。
床はもちろんひなちゃんの足も服もクリームだらけである。マジでやってくれたかひなちゃん!
ここまでいくともう急いでも仕方がない。笑い転げているひなちゃんをいったんそのまま放置し、洗面所にタオルを濡らしにいく。
まだ塊のまま残っていたケーキを取り除き、ひなちゃんの服を着替えさせて全身をタオルで拭き、次は床の大掃除だ。原状復帰できたのは事件が発覚してからすでに30分以上経っていただろう。
 いたずらは悪いことをしている時こそ楽しかったりする。誰が教えたのかは知らないが、これは赤ちゃんも共通認識のようだ。
ただ一つ勉強になったのは、ベトベトになって遊ぶのも好きなのではないだろうか。足をケーキのひんやりしたクリームだらけにする感覚も、ひなちゃんにとっては新鮮だったのかもしれない。
ひなちゃんが口に入れても大丈夫な片栗粉などを水で溶かして、お風呂で全身片栗粉まみれにする遊びを近々やってみよう。もちろん今回のようにお風呂以外の場所では厳禁であるが!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?