名古屋飯日帰りツアー その1

 食べることが一番の楽しみと言っても過言ではない我々家族のお出かけと言えば、いろんな場所の美味しいものを食べに行くことが定番になっている。近所に出かける時ですら、何かと理由をつけてご飯の時間帯とからめ、外食をする。そんなとある休日の朝、突然3人で名古屋飯を食べに行くことになった。
 味噌カツ、どて煮、手羽先…。どれも二人とも大好物で、ひなちゃんが生まれるまでは2・3ヶ月に一度は名古屋飯を食べに行くためだけに名古屋に行くことも珍しくなかった。大阪でもいくつか名古屋飯のお店を見つけて足を運んだりしてみたのだが、やはり本場が一番美味しいという結論になって以来名古屋に行くのは定期的なイベントとなっている。
ただひなちゃんが生まれてからはそう簡単に遠出ができないこともあって、自然と名古屋飯からも遠のいていた。思えばこの7ヶ月以上の間に、名古屋飯食べたい欲がたまりにたまっていたのかもしれない。
4月の最初にひなちゃんを連れて妻の実家に帰った経験もあり、そろそろ3人で日帰り名古屋飯ツアーにチャレンジすることにしたのだ。
 おむつ、着替え、ミルクなど一通りのひなちゃん外出セットに加えて、長時間の移動でも退屈しないようにひなちゃん用のお菓子とおもちゃもリュックに詰めた。ひなちゃんをだっこひもで妻が抱え、3人分の荷物を僕が持つといういつものスタイルで意気揚々と出発した。
 大阪から名古屋へは新幹線で行くのが最も早いのだが、そこは僕のわがままで行きは近鉄特急を使うことにした。時間は倍以上かかるが、旅行に非日常感は欠かせないポイントだ。鈍行で行こうと言わなかったことをほめてもらいたい。
それはさておき、我々も長旅に備えてスタバで今限定のスイートミルクコーヒーを買い、ひのとりに乗って名古屋へ向かった。
年明けに書いた今年のやりたいことリストの一つ、ひなちゃんと特急に乗るということもちゃっかりかなって満足しているのをしり目に、ひなちゃんは関係なくぐーぐー寝息を立てている。まあ起きて電車で大泣きされるよりいいのだが。
 30分ほどゆっくりひのとりの旅を堪能していると、だっこひもの中のひなちゃんがごそごそ動き出した。
「起きたぞ」
と言わんばかりに「うーうー」と自己視聴を始める。これはだっこひもから出せというサインだ。
最近はだっこひもから出たがることが多くなった。特にはいはいが始まってからはじっとしているのがいやなのだろう、景色が変わらないとすぐにだっこひもから出すように命じてくる。
逆に膝の上などに座らせると納得しておとなしくしている。
 奈良県から三重県にかけての山深い風景や、津を過ぎたあたりから車窓に見え隠れする海、四日市の工場群などを想像しながらひなちゃんに勝手に車窓の開設をする。
本当に合っているのかどうかもわからないのになんとも適当なものだ。
まあひなちゃんも景色を見ながら終始ご機嫌だったのでいいことにしよう。
 名古屋に着く少し手前で、車内のトイレにておむつ交換を済ませた。土地勘のない名古屋駅でおむつ交換ができるスポットを探すよりも、多少狭いが列車内のトイレで済ませた方が動きやすいと考えたからだ。狭いとはいえ最近の列車には多目的トイレもあり、おむつ交換台も設置されているので大変助かる。
 そんなこんなでひなちゃんとの初めてのひのとりの旅は無事終えた。さすがに最後の30分ほどはひなちゃんも飽きてきて、妻と僕の間を行ったり来たりと落ち着きがなくなってきていたが、それでもぐずることもなく快適な列車旅となった。
(続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?