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ひなちゃんの大移動始まる

 ひなちゃんのできることがまた一つ増えた。それは寝返りである。
できるといっても仰向けからうつ伏せになる一方通行で、そこからまだ自分で戻ることはできない。
クルっと回ったはいいものの、そこからどうにもこうにも動けず大泣きする、ということがここ数日で何回も見られるようになった。
我が子のできることがまた一つ増えるというのは自分のこと以上に嬉しいものだ。初めて寝返りが成功した時なんて、ひなちゃんがうつ伏せでもがいているのもお構いなく、妻と二人でひなちゃんの背中を触って喜んだものだ。
ただひなちゃんの寝返りによって、我が家がにわかにざわついているのも事実だ。なぜざわついているのか。それを今日は紹介したい。
 自分で動く手段を身に付けたということは、今後は寝かせた場所に必ずしもひなちゃんがいるとは限らないということだ。
すでにもうひなちゃんの大移動は始まっている。リビングにはひなちゃんの日中の居場所としてマットを敷いているのだが、そこからはみ出していることが多くなった。
これは我々にとってはなかなかの死活問題で、文字通り踏んだり蹴ったりなんてことになっては目も当てられない。歩き方から改革が必要だ。
もちろんすり足は必須。常に今足元にひなちゃんがいるかもしれないと思って歩く必要がある。家の中なのにまるで駅のホームを歩いているかのような緊張感だ。
 次にひなちゃんのうつ伏せを長時間ほったらかしにしないように気を付けなければならない。うつ伏せになると今度は顔を上げて前に進もうと奮闘するのだが、すぐに疲れてクタっと地面に突っ伏してしまう。そうなると今度は窒息が心配である。
うつ伏せになっても、泣いていると声がこもって聴こえるためすぐにわかるのだが、機嫌良く転がっている時は要注意だ。知らないうちにうつ伏せになっていたりする。
ますます目が離せなくなった、というのは我々の場合正しい表現ではないかもしれないが、以前よりも頻繁にひなちゃんの様子を触って確かめるようになった。
今後はひなちゃんが動いたら音でもわかるように、鈴をつけることも検討中だ。
 三つ目は単なる僕の感想なのだが、ひなちゃんの自我の芽生えに勝手に感動している。これまではお腹が空いただのおむつを替えろだの、その時の欲求のままに泣いていることがほとんどだったのだが、自分で動きたいという意思を感じるようになった。
特にうつ伏せになって必死に前へ進もうとしている時なんて、まだまだ体が揺れるだけでうまくいかない。その結果大泣きする。
きっとひなちゃんは今戦っているのだと思うと、これまでただかわいいだったひなちゃんから強さを感じるようになった。これはひなちゃんにとって、新たな段階に成長するための試練なのかもしれない。
 誰が教えたわけでもないのに寝返りができるようになったり、何とかして自分で動こうとする強さには純粋に感動する。それと同時に、我が子に何かをしてあげられる時間は長いようで短いということを改めて感じた出来事だった。

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