ひなちゃんからのクリスマスプレゼント

 ひなちゃんが生まれてからの3ヶ月は本当にあっという間だった。年の暮れに、今年も早かったなと思うのは毎度のことだが、9月からはそれまでの倍以上の早さで過ぎて行った気がする。
 この3ヶ月の間に、ひなちゃんはいろんなことができるようになった。生れた当初は首も座っておらず、手足をバタバタさせて泣く「生き物」という感じだったが、ようやく人間らしくなってきた。
首が座ったり目でものを追えるようになったりというのもそうだが、我々に取って最も大きな変化は、少しずつ意思疎通ができるようになってきたことだ。
首が座ってからは、それまでの横抱きではなく立て抱きを要求するようになったり、くるくる回るおもちゃが止まった時は「あうあう」と声で教えてくれたりもする。要するに自己主張が激しいわけだが、ひなちゃんなりに伝えようとしている何かを受け取ることができるとこちらも嬉しいものだ。
 つい先日、いつものようにひなちゃんをお風呂に入れて保湿クリームを塗っていると「キャキャキャ」と声を出して笑った。これまでとは違う声に一瞬びっくりしたが、すぐにそれがひなちゃんの笑い声であることがわかった。
「ひなちゃん声出して笑ったで!」
すぐに台所にいた妻に報告をした。クリスマスイブの前日の出来事だった。
これまでもひなちゃんは表情だけで笑うことはあった。笑っていたらしい、と言った方が正しいかもしれない。
我々はひなちゃんの表情を目で確認することはできない。笑っている、というのも見えている友人に教えてもらって初めてわかったのだ。
泣き声はそろそろ聞き飽きただろう、というひなちゃんなりのサービス精神だったのかもしれない。それはさておき、我が子と感情を共有できるというのは思っていた以上に嬉しいことだ。
「これがひなちゃんからのクリスマスプレゼントやな」
と妻と話をした今年のクリスマスはきっと一生忘れないだろう。
 今年1年いろんなことがあった。家族が一人増えたのだ。そんなこと、人生に何度もあることではない。
妊娠から出産、そして育児というビッグイベントに向き合い続けた1年だった。もちろん真正面から向き合っていたのは妻の方だ。僕はただ横でその時にできることをしていたに過ぎない。
そんな中でも家族という存在をこれまで以上に深く考えたと同時に、親になることの偉大さを身をもって実感した。こんなにも日々変化していく成長に寄り添っていられる経験は他にないだろう。
 我々にとって大きな節目であった2022年ももうすぐ終わろうとしている。そしてひなちゃんにとって初めての年越しとお正月がやってくる。
年が変わっても、我々家族はいたって何も変わらない。


 読者の皆様へ。
この1年、つたない文章にお付き合いいただき、心から感謝いたします。皆様に読んでいただいていることが本当に励みになっています。
来年も夫婦共々マイペースに配信していきますので、これからもよろしくお願いします!
皆様もどうか良いお年をお迎えください。

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