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阪神・岩田稔選手の1型糖尿病患者支援

今回からは、ベースボール・レジェンド・ファウンデーション(BLF)が行っている「選手・球団の慈善活動のサポート」についてご紹介していきます。まずは、BLFが最初にサポートさせていただいた阪神タイガース岩田稔選手の取り組みです。

岩田選手は大阪桐蔭高校2年のとき、風邪を引いた際のウィルス感染が原因で1型糖尿病を発症し、現在も1日4回のインスリン注射を打ちながらプレーしています。2011年には「IWATA PROJECT21」を立ち上げ、これまで10年に渡って同じ病を抱える患者さんの支援活動を行っています。

岩田選手には「1型糖尿病に対する世の中の理解不足を解消したい」という思いがありました。

糖尿病には2種類あって、1型はウィルス感染などが原因で健康的な生活を送っていてもなってしまう可能性があり、特に子どもの患者さんが多いといいます。2型は、皆さんがよくご存知の生活習慣が原因のものですが、この違いが知られていないせいで1型にかかった人が「不摂生をしたから病気になったのではないか」と非難されることがあるそうです。また、1型の患者さんも食事前にインスリン注射を自分で打たなければならず、それが学校でのいじめや差別につながることもあるようです。

岩田選手は「自分がプロ野球選手として活躍することで、病気でも夢をあきらめない気持ちを患者の子どもたちに持ってほしい」とも語っていました。岩田選手自身、病気が発覚したときには「もう野球ができなくなるかもしれない」と不安に襲われたこともあったそうですし、病気を理由に社会人野球チームから内定を取り消されたこともあったそうです。それでも「治らない病気にかかってしまった事実は変えられないのだから」と奮起した結果、見事にプロ入りの切符をつかんだのです。

岩田選手のそんな思いを全国の人に届けるために、BLFは広報のお手伝いをすべく、出版のプロデュースをさせていただきました。また、本の売り上げの一部を、岩田選手が支援している1型糖尿病患者の支援団体「日本IDDMネットワーク」に寄付し、読者も本を買うことで貢献できるようにしました。

カバーの帯(Amazonには不掲載)には、ユニフォーム姿の岩田選手がお腹を出してインスリン注射を打っている写真を使用しました。「恥ずかしいことではないのだから堂々と打ってほしい。その手本になりたい」という岩田選手の思いからでした。

出版後、1型糖尿病のお子さんを持つ親御さんや病気と闘うお子さんから「本を読んで元気になった」「勇気が湧いた」というメッセージをいただいたこともありました。岩田選手自身も、1型糖尿病を発症した直後に、同じ病を抱えながらプロで活躍した元読売ジャイアンツのビル・ガリクソン選手の著書を読んで野球を頑張ろうと奮起できたそうです。同じ役割を担えたことは、岩田選手にとっても選手冥利に尽きることと思います。


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