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アップルパイが焼けたら......。    001



雨音で目が覚めた朝。

いつものコーヒーを止めて 何年かぶりに 紅茶を入れるようになった。


お気に入りだった英国の茶葉。
サイコロのような真四角の紙箱にぎゅうぎゅうに入ったティーパックたち。

初めてこのタイプのパッケージの紅茶を見たときには衝撃的だった。
えっ、日本人にはない発想!

小さなサイコロからビッグなサイコロまで、以前は成城石井のスーパーにもずらりと
英国のスーパーマーケットと同じように、マトリョーシカのように並んでいたが、久しぶりに紅茶のコーナーに出向いた私の目の前の棚には、
そこには、遠慮したようにone sizeしかなくパッケージも随分とデザインが変わっているサイコロだった。



何年かぶりに購入したその紙箱のサイコロを開けると中身は同じ。
気取っていない茶葉たちが、
白いパックのままダイレクトにぎゅうぎゅうに詰め込まれた茶葉たち、
懐かしさと安心を覚える。

再び、毎朝の私の朝食のコーヒーに変わって、テーブルの上にたっぷりの牛乳と
一緒に朝一番に並ぶことになった。大層な表現になってしまった気もするけど
お茶の時間はとっても大事な時間ですから……。

記憶をたどるとおよそ15年ぶりとは…。なんとも…。ウフフ…

イギリスに初めて買い付けに行った時のこと。
信頼する取引先の方達とお供させていただいた一週間弱の旅。
空港に着いた瞬間から異国の香り。
イギリスの匂い。英国のかほり。

紅茶の国。Grate Britain.




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わざわざ、牛乳を温めることはなく、しばらく蒸らした熱いカップの紅茶に、
冷蔵庫から出した紙パックの牛乳をダイレクトに注ぐ。

まるで、気取りがない。

理想はというと?

( 銅の手打ちの小さなミルクパンをガステーブルの上で熱々の牛乳を…そっと注ぐ…。)

以前はティーポットでしっかり蒸らして美味しく淹れていたのだが…。
可愛らしいフォルムにも癒されるぽってりとした陶器のティーポット。

前回の引っ越しの際にハンドルが見事に取れていた。

なぜ、ティーポットを新調していないのだろうかと、
次に越してきた家でも、コーヒーばかり飲んでいたということになる。

以前の家の近くには自家焙煎の美味しい挽きたてのコーヒーショップがあった。
越してしまうと、なかなかやはり足が遠のくものでわざわざ買いに行かなくなってしまった。

新しい街での新しいコーヒーショップ。今まで購入したことのなかったお店での
コーヒー豆との出会い。ようやく美味しい挽きたての豆と出会った。

今まで気に入っていたマグカップ。
何年目だろうか?


「そろそろ、新しいカップに変えてください。」

どこからか声が聞こえる。
そろそろ新しいマグカップを……。

早速、街に出かけて
今日はマグカップを探しましょうか。


デパートでシンプルで素敵なフォルムのものがすぐに見つかった。
店員さんからも声をかけられ、
「素敵ですね。手に取って見て良いですか。」
お値段的にも問題ない。
これにしよう!と喜んでマグカップを手に取りハンドルを握ってみる。

(ん?あれ?) (なんか、違う。なんだ。なんだろう…)

こんなにシンプルでデザインも陶器の質感も素敵だのに…。???

一度、そのマグカップをまた定位置に戻してみる。店員さんは勧めてくる。

(何が変なんだろう?)右手で持ったハンドルだが重心が左に下がる。デザインは素敵だったが 実際に中に水分が入るとさらに重心が左に下がるのでは?と、
これではと、購入に至らなかった。

翌日、
声が聴こえる。

「行ったら!」


へ?

なんやろ?

「いったら!」

あっ、そうか
またゆっくり探しに  いったら   いいのか!



また、数日後 デパートに足を運んで、
吟味。

ふふふ……。そっか。これや!♪



超シンプルなプレーンのARABIA社の
*iittala*
に決めた次第でありました。





今は、お白湯飲みながら……。     
(笑)右よし、左よし、ハンドル良し、
口あたり良しっ。
感謝。

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ようやくまた美味しいコーヒー豆を見つけたけれども…




急に秋の気配を感じ、寒がりさんには
生姜たっぷりミルクたっぷり
紅茶を淹れて、


新しいダイニングテーブル、
新しいチェア、
ほっとして紅茶を口にする。



ここ数年で変わった私の視界。世界。
と物量。

友人関係は皆無に等しく、
以前の会社を辞めて以来
2年強、実家の家族とペット。
法要で親戚と会っただけ。


止めた習慣、辞めた事、いろいろ。
そして、また数年前に戻った習慣。
紅茶を、ミルクティーを飲むこと。
器が カップが変わったけどね……。



今度は、ゆっくりティーポット探しの旅を。

英国製が良いのはもちろん百も承知。
気取りのないデイリーな普段使いのデンビー社のものをまた欲している私がいる。



もう、今は違う世界で生かされているから
あえて新しい場所で 見つけたい。






研ぎ澄まされる 感覚

草木のかほり

鳥のさえずり


光が射してきた窓辺

薄布のカーテンを開けて

今日も空を仰ぐ


感謝

紅茶とカップと共に。


……。



top photo  by - England -  


















ご覧になって下さりありがとうございます。今後とも どうぞよろしくお願いいたします。