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ラニーニャの夏が来るらしいニャ*2024年夏

国連のグテレスおじ様が「地球沸騰時代」と予告されてから来月で1年。

日本も昨夏は非常に暑かったですね。
昨年の暑さは、スーパーエルニーニョの影響だと言われています。




そして、今年は「ラニーニャ」だそうです。

夏至の記事と22日の満月について書くべきなのでしょうが、ちょっと気になったのでラニーニャについて書いておきます。

エル・ニーニョとラ・ニーニャ

エルニーニョ現象とは

以前にも書きましたが、エルニーニョの意味は「神の子」だそうです。

エルニーニョ現象とは、エルニーニョ・南方振動(ENSO) での温暖な局面を指す用語で、南米の太平洋岸沖合を含む中央太平洋および東中部太平洋の赤道域(概ね日付変更線と西経120度の間)にて発達する暖かい海流が関与している。

1997年11月の月平均海面水温平年偏差


太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけての海面水温が、平年より高い状態が1年程度続く現象をエルニーニョと呼びます。

現在、エルニーニョ現象を構成する要件について各国が異なる閾値を持っており、閾値はその国独特の利害と絡み合ったものである。
例えば、オーストラリア気象局はエルニーニョ監視海域3および3.4の貿易風、南方振動指数(SOI)、気象モデル、海面温度を見てからエルニーニョを宣言する。

日本の気象庁は、エルニーニョ監視海域3の海面水温基準値との偏差にあたる5か月移動平均値が +0.5℃以上の状態で6か月持続する場合に「エルニーニョ現象が発生」と表現している。


太平洋赤道域では、貿易風と呼ばれる東風が吹いています。
通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方で、東側の南米沖の深海からは冷たい海水がわき上がっています。

しかし、何らかの原因で東風が弱まり、西側の暖かい海水が東側へ広がるとともに、南米側の深海からわき上がる冷たい海水の勢いが弱まり、南米沖の海面水温が平年より高くなる状態が1年程度続くのがエルニーニョです。


また、中央太平洋および東太平洋の熱帯域で発生する海面水温(SST)が、上昇しては下降する振動をENSO(南方振動)と言い、その温暖局面にあたるエルニーニョは西太平洋に高い気圧をもたらし、東太平洋には低い気圧をもたらします。

従来はエルニーニョが発生すると、日本は冷夏や暖冬になると言われていましたが、昨夏はそれを覆して猛暑でしたね。
冬は暖冬傾向だったと思います。


ラニーニャ現象とは

逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象をラニーニャ現象と呼びます。
ラニーニャは、スペイン語で「女の子」の意味だそうです。

1988年12月の月平均海面水温平年偏差


ラニーニャの場合は、何らかの原因で東風が強まり、西側の暖かい海水が滞るとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが強まり、南米沖の海面水温が平年より低くなる状態が1年ほど続きます。

ラニーニャ現象では、東太平洋で気圧が高くなって西太平洋では低くなります。つまり気圧は、逆転します。


気候変動との関係

エルニーニョもラニーニャも海で起こる現象ですが、大気にも影響が及び、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態になります。

気候変動が、エルニーニョ現象やラニーニャ現象の発生、強さ、期間に影響をどう及ぼすかに関するコンセンサスは存在しません。

気候変動(climatic variation)は、様々な時間スケールにおける、気温、降水量、雲などの変化を指し示す用語として、広く用いられている。特に環境問題の文脈では、地球の表面温度が長期的に上昇する現象、すなわち地球温暖化とその影響を、包括的に気候変動とよぶことが多い。

本来、平年の平均的な気候が長期的な時間スケールで変化する現象は「気候変化(climate change)」と呼ばれ、「気候変動(climatic variation)」は平年の平均的な気候からの偏差という意味で用いられ、気候変化とは区別されています。

しかし、近年では2つの用語を混ぜて利用したり、独自の定義に基づいて用語を使い分けたりする場合もあり、国連のUNFCCC(気候変動枠組条約)ではclimate changeという用語が人為的な変化、climate variabilityが非人為的な変化にあてられています。

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気候を変化させる要因には、気候システムに内在するもの(内因)と、システム外からの影響による外部強制力(外因、外圧)があります。

内因は、大気や海洋が物理法則にしたがって相互作用しているものを言います。エルニーニョ・南方振動は、気候システムに内在した変動(内因)です。

一方で外因は、太陽活動の変動、地球の公転軌道の変化(ミランコビッチサイクル)、火山噴火によるエアロゾルの増加、土壌性エアロゾル(ダスト)の発生などです。


トンガの火山噴火は、ほんとうに噴火したのだろうか??


私がトンガの火山噴火を疑っているのは、大噴火のはずなのに降灰量が少なかったのもありますが、日射量が減って「夏のない年」になるはずなのにならないからなんですよね。

火山噴火では大量の二酸化炭素や二酸化硫黄が放出され、その大量の二酸化硫黄が火山噴出物のダストとともに成層圏に達した場合、数年間にわたり硫酸エアロゾルを生成し、地表の日射量が減少します。

まあ、「夏のない年」は飢饉が起きた歴史があるので、そうならなくて良かったという見方もできますね。

砂嵐(ダスト)


温室効果ガスや大気汚染物質の排出、森林の伐採や土地利用の変化など、人間活動に由来するものは外圧です

温暖化対策に、人工的にダストを成層圏に散布して太陽光の入射量を減らしすソーラージオエンジニアリング(太陽気候工学)をビル・ゲイツ氏が推薦していますけれど、これも外圧ですよね。


話が長くなってきたので、それは置いといて・・・


ラニーニャの夏

日本は「エルニーニョ終息」したっぽい


気象庁は、6月10日に エルニーニョ監視速報 (jma.go.jp)を更新し、2024年6月〜2024年12月の見通しとして、エルニーニョが終息したと見られることから「ラニーニャ現象」が発生する可能性の方がより高いと発表しました。



日本付近では太平洋高気圧の張り出しが強まり、暖かく湿った空気が流れ込みやすくなるそうです。
そのため、この夏の平均気温は平年より高くなると予想されます。


平均気温は北日本で高い傾向があり、沖縄や奄美では雨が多くなる予測です。

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日本が高温になるということは、南米側(南半球の気候は冬)は大雪になります。以下のポストは6月14日の日付でした。

ウォーカー循環


またラニーニャ現象のときは、西大西洋や海洋大陸(インドネシアの島々など)において対流活動の活発化が進行し、ウォーカー循環が強まると言われています。

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そして、ラニーニャの年は厳冬になるとも言われます。

降水量は北日本と日本海側で増える傾向があります。

記憶に新しいのは2021年2月の大雪ですね。ラニーニャの年(2020年夏~2021年春)でした。
Wikipediaでは、令和3年の大雪 - Wikipediaという記事です。


長らく私は、エルニーニョの次は必ずラニーニャが来るものと思っていましたが、気象庁の エルニーニョ現象及びラニーニャ現象の発生期間(季節単位) (jma.go.jp)を見ると、必ずしも対ではないようですね。

ただ何となくパターンが見える気がします。エルニーニョは2~7年の不規則な間隔で発生しています。

気象庁による エルニーニョ/ラニーニャ現象 (jma.go.jp)速報は、7月10日に更新される予定です。

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「いつまでも暑いなぁ~」とぼやいているうちに、秋がすっ飛んでって冬になっていたというパターンでしょうね。



エルニーニョも多様性の時代

直近20年間で、エルニーニョ現象には複数のタイプがあることが観察されています。正統的な東太平洋型と「モドキ」な中央太平洋型のふたつが最も注目され、受け入れられているそうです。

通例だと温度異常になる場所(ニーニョ監視海域1と2)は影響を受けないのに、中央太平洋(同3.4)で異常が発生している場合です。

この現象は、中央太平洋(CP)エルニーニョや「日付線」エルニーニョ(国際日付変更線付近で異常が発生するため)またはエルニーニョ「モドキ」(「似ているけど異なる」という日本語が由来)とも呼ばれます。

CPエルニーニョの影響は、より多くのハリケーンを大西洋にもたらしているという説があります。

あまりニュースになっていませんが、メキシコで大洪水が発生しています。

メキシコは先月、猛暑で死亡者が多数出ました。絶滅危惧種のホエザルも熱中症で百数十匹死んだそうです。
メキシコ各地で「ヒートドーム」現象、猛暑で数十人死亡 | ロイター (reuters.com)


またブラジルのリオ・グランデ・ド・スル州では、6月の初めに大洪水で市街地のほとんどが水没していました。
ブラジルの場合は、4月から断続的に洪水が発生していました。


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アゾレス諸島付近で発生した低気圧が、北上してヨーロッパに進んだ話はあまり聞かないですが、まったくないわけでもないようです。
2018年10月には、スペインにハリケーン「レスリー」が影響を及ぼしたようでした。

大西洋ハリケーン、24年は「極めて活発」の予報=コロラド州立大 | ロイター (reuters.com)


インド洋ダイポールモード現象

ダイポールモード現象(Indian Ocean dipole、略称: IOD)とは、インド洋熱帯域において初夏から晩秋にかけて東部で海水温が低くなり、西部で海水温が高くなる大気海洋現象の事を言う。
それに伴って起こる風や気候の変化を含み、エルニーニョ現象と同様に世界の気候に大きな影響を与える事が明らかになった。

インド洋ダイポールモード現象は、エルニーニョに類似していますが、海水温の分布様式はエルニーニョ現象とは東西逆になります。

インド洋の海水温変動では、エルニーニョ現象より数ヶ月遅れてインド洋全域昇温がピークを迎える傾向があるようです。


なんらかの理由で、インド洋で南東貿易風が強まると、東側にあった高温の海水は西側へ移動させられ、東側では深海からの湧昇や海面から蒸発が盛んになるために海水温が低下します。
これを正のダイポールモードと言います。

正のダイポールモード現象が発生すると、インド洋の西側にある東アフリカでは海水温の上昇により、蒸発が盛んになり、降水量が増加します。

逆にインド洋の東側にあるインドネシアでは蒸発が抑えられ、降水量が減少します。
日本を含む極東地域でも降水量が減少し、猛暑となり、東南アジアとオーストラリアでの干ばつにも関連します。


南東貿易風が弱まると、東から西への海流が滞るため、高温の海水が東側に滞留し、西側は海水温が低下します。
高温となった東側では対流活動が活発化します。
これを負のダイポールモードと言います。

負のインド洋ダイポールモード現象は、2010年のラニーニャ現象と相まって、2010年から2011年にかけてオーストラリア・クイーンズランド州の洪水と2011年のビクトリア州の洪水を引き起こしました。

上が正のダイポールモード、下が負のダイポールモード。



インドでは5月に50℃を超える日がありましたが、現在は36℃ぐらいに落ち着いているようです。それでも暑いですね。

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また、地中海沿岸諸国の猛暑は、インド洋ダイポールモード現象と密接な関係がある事がわかってきたそうです。

砂漠気候


先日、毎年恒例のイスラム教の大巡礼ハッジが行われたメッカでは、気温が51℃を超え、約1000人の死者が出たとのことでした。


最後に

ちなみにギリシャで高温が続いているのは、アフリカからの熱風の影響です。
ギリシャで空前絶後の早すぎる熱波 行方不明になる観光客(森さやか) - エキスパート - Yahoo!ニュース

熱波は例年のことらしいですが、地球温暖化が叫ばれるようになってから年々、干ばつや山火事の報道が増えたのでしょう。
昨年は放火が原因の山火事も多かったですね。

ギリシャ警察、放火の疑いで79人逮捕 EU域内で過去最大規模の山火事続く(1/2) - CNN.co.jp


フランスやドイツでは豪雨と雪解け水による洪水が起きています。


【追記】
テレビニュースで中国の洪水のことを報道していました。
Xでは数日前から映像が流れていましたが、地域が複雑でぶっちゃけよくわかりません。50人死亡したという記事もありました。

中国南部の広い範囲で大雨による洪水や土砂崩れが確認され、50人以上が死亡、数十人が行方不明になっている。国営メディアが21日に報じた。
それによると、最も深刻な被害を受けているのが広東省とみられ、梅州市などで少なくとも40人が死亡、数十人と連絡が取れなくなっているという。
被害の全容は明らかになっておらず、省政府が消防や警察と共に調査している。


中国ではなぜ、大洪水がしばしば起きるのか。
2021年の記事です。
記録的洪水、なぜ中国で頻発するのか 写真10枚 国際ニュース:AFPBB News


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というわけで、この記事も長くなってしまいました。

私は地球温暖化ではなく、小氷河期説を支持しているので、もっと海流と偏西風の関係を勉強しなくてはと思いました。
しかし、ニーニョとニーニャ、何度聞いても、なんかの鳴き声みたいですよね(笑)

今日はこのへんで。
お読みくださりありがとうございました。

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