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第7回・小説草稿。仮題:「スマトラでウルトラゾフィー:亜空神界流転抜転編」(仮

グレンとタイチ、二日前の夜

南海ジャパニーズ・ネイティブ・ネイション領海、某原住民居住自治小島

深夜。

深目にヒョウ柄のドイツ軍レプリカヘルメットを被り、チューンアップ使用の低空スクーターを滑らせ加速する小柄な男。

ネオ合成牛皮ジャケットのバックプリントは読み取れない。

スクーターをオートパイロットにセットし、小柄なオトコが両手を組伸びをする。

リストバンドの3D地図を確認すると、ケイバンタイプの民間仕様軍用モバイルが、サインを3度センドしてきてある、ハンドルネーム・グレン。

この先のダイナーの映像を音楽付きで転送してきた。

「ペニーズにようこそ♡」

「お茶目すぎだろ」と小柄な男がカラカラと笑う。

それに呼応したかのように笑顔絵文字が脳裡にピカリと送られてきた。

Dinner Penny's。

駐車場に数台のバイク。警察車両と思われる古い車。

ダイナーのストリートサインの下で、数名の少女と少年がブレイクダンスらしき踊りを練習している。

ペニーズ店内。

小柄なオトコと青眼鏡の巨漢。

「グレン、オマエ、タイヤ変えたか?」

と小柄なオトコがコーヒーを混ぜながらたずねる。

「ああ、隣の島の若いメカニックからいいの入ったて連絡来てね。」

巨漢は黄緑色のエナジードリンク・マルガリータを舐めてから言った。

「なんか、小さいのに頑丈そうでいいな。」

「軍用モバイルの棚卸しだからな。」

「塗装しなおしたろ。」

「タイヤがあまりにもカッコよかったから、新車の旧車にした。年代が一世代旧型で、向こうも買い取り価格と、手間賃で即OKだと。」

「気前いいメカニックだな。」

「後輪をキャタピラにコンバート出来る優れ物だ。」

「さすがメイドインジャパン。」

「ジャパン・ディフェンシブ・フォースの一級品だ。」

「コード確認されたらどうすんだ。」

「海苔男のスタジオ専属ドライバーに金置いて登録してもらった。」

「シー・ウィードか。問題ないな。」

「話なんだけど太一。オレ金使いすぎた。前回の全部だ。」

「マジで。全部?」

「ビットマネー以外は、宝石とか時計とか全部な。」

「タイヤってそんなにするのか。」

「タイヤは大事なんだよ。」