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ショートエッセー、「やぼてん」

野暮天

最近の若者と話すと、ワタシの天才的パンチラインをまったく理解しない野暮天ばっかで、説明に疲れる。

いや若者ばかりではない。嫌味とも取られかねない、ギリギリのラインを果敢にも攻めたのに、冷めた態度で空気を穢し、後で陰口をタラタラと周りに垂れ流すような、肛門の狭い、上司を数多く見てきた。

何が日本をこうまで、ギコチナイ世界に変えてしまったのだろうか。久しぶりに上物のタバコを買って、Lサイズのコーヒーを頼み、600円なんて目から火が飛び出るよな、と言ったら、Lサイズですか?と返され、爆笑しそうになった。

ビートルズ世代が悪かったのだろうと思っている。ビートルズ世代のコアでないファン達が、ビートルズを真面目に受け止め過ぎたのだ。

ああなんてこった。

あんな上質なジョーダンでさえも、ビートルズ世代とかはすでに理解出来なくなってしまったようで、うんそれそうかもな、などと深く頷かれてしまい、コッチがかたまる。

笑ってもらわないと、話が進まないのだ。

悲しくなるのは、人を笑わせようとすると、表情に出さないデッドパンな態度で、パンチラインをポロリと落とそうにも、どうせ理解されねえだろと先に諦めてしまい、おどけた道化を演ぜざる得ない、そうゆう所かも。

千葉中央のコリアンストアの店主さんは、その点、カッコよかった。この店は古いんですか、と少々無礼に聞こえる質問をしたら、ああもう25年以上かなとか答えてくれたので、それじゃオレなんかよりずっと年上だなと言ったら大爆笑してくれた。

気持ちよい買い物ができて、久しぶりに気分が軽くなったのを覚えている。