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ちいさなシャベルを手に取って

すきな感触はありますか?

ちいさなころから、つるつるすべすべしたものが好きです。犬のふわふわしたところも好きだけど、やっぱり手触りはつるすべが一番。
それで思い出すのは毛布、の、へり。タオルケットと毛布の合いの子みたいな、ぬいぐるみの生地のような、軽くて薄くて茶色くて、家を出るまで使っていて、もう端もほつれ始めたような、長方形の短辺、顔と足先に当たる部分がつるつるとした化繊で縁取られていて、その触感が好きでたまらなかった。
顔を擦りつけてみたり、冬の日、温もった布団の中から足先を伸ばして、まだひんやりする端を味わってみたり。

その部分に名称があるのかとぐぐってみると、特には無い模様。ただ、わたしと同じようにへりを愛している人がいることが分かって、ちょっと笑ってしまいました。サテン、ポリエステル、ナイロン。使われる生地はこんな感じで、つるすべの最上級は、価格的にはシルクだろうけれど、さすがに一介の毛布に使われる訳はないわな。笑。

シルクといえば、母親から譲り受けたエルメスのスカーフ。エルメスさまなので、十中八九シルクだと思うんですが、化繊よりくきくきとした芯がある、気がします。つるつるとさらさらの中間。小気味よい衣擦れの音。冬の黒マキシワンピにかなり映えるエルメスオレンジは、PCを考えると苦手の部類に入るので、すこし敬遠してたんですが、合わせてみたら案外良くて、今度の冬もこの組み合わせでいくつもりです。

きっかけはコンセプト

自問自答ファッションと言えば、コンセプトも有名なひとつ。コンセプトねえ……と思いながらあちこちnoteを読んでいる中で、『好きを自覚する為に、カメラロールを確認する』という手法を記載している方がいらっしゃいました。記事が探しきれなくてリンクを張れず大変申し訳ないのですが、花柄のスカートを買ったがカメラロールも花の写真で一杯で、意識してなかったけどお花が好きだったんだな、と理解するというお話でした。お心当たりのある方は、真夏のJamboree並に、俺、ORE!!と手を上げていただければ、喜び勇んでリンク張らせていただきます…!

<<追記(7/6 14:45)>>
アヅマさんから、該当の記事はあおさんのこの記事では?とご連絡頂きました。そうですこの記事です。わーーよかった。うれしい。本当にわざわざありがとうございました! 素敵な記事なので是非。

<<追記ここまで>>

なるほどあったまいい~! と思って、カメラロールを眺めてみると、ほぼほぼ娘が映っていました。笑。ゆるゆるスクロールしていくと、食事と、試着姿と、メモ代わりのスクショと、fgoのガチャ結果で埋められていて、あー、まあこれはこれでわたしなんだけど。わはは。

空のなまえ

さらに遡っていくと、ぐんと伸びたビルと青空の写真がありました。そういえば、空の写真を撮ることは多いかもしれない。深い青と白い雲の対比。入道雲。飛行機に乗って上空から撮る空の青と、眼下に広がる雲。あの絶妙なグラデーションと一面の白。
雨が降っているのに明るい白い空。
夕日も朝日もすき。オレンジ、金、あかね色、ピンク、ローズ、それから澄んだ青から透明度が下がっていく青。絵心のないわたしには全く思いつかないグラデーション。
晴れた夜空に雲があるのに気付いたのはいつだったかな。黒に近い濃紺と染まらない白。

空の青も好きなんだけど、白い雲との対比/調和があってこそ、好きなのかも、と信号待ちの青空を見上げて思いました。のっぺりした感じは好きじゃない。奥行きのある空が良い。秋の高い空とか。

夕暮れ

それから、海。水面。

海のいろ

お金があったら何がしたいか、という問いには、まずはバカンスと答えます。南の海辺で、ベンチにのびのびと寝転んで、単行本を片手に(多分ページは進まない)、ぼーっと水面を眺めていたい。海の近くで生まれ育った訳では無いし、なんだったら海の、あの雑多な生き物の匂いも余り得意ではないんだけども、海を眺めるのは何故か好きです。

新婚旅行で行った南国のホテルは、コテージタイプになっていて、目の前が直ぐに海でした。夕方になると波も落ち着いて、内側から光るような鈍い、銀のような金のような色合いの水面が、鏡のようになめらかに広がっていたのが、ずっと心に残っています。あそこは、死ぬまでにもう一度、行きたいなあ。

沖縄の海

空は常にあるけれども、海は、海に出かけた時だけ。だからか、行けばかならず結構な枚数の写真が残っていて、自分事ながら、好きなんだね……ってなりました。
澄んで青い水面よりは、夕方や朝方の遠景。ちらちら、きらきらというより面で光って、ぎらぎらというには柔らかい水面と、空の境界線。

そういえば、最初に見つけたビルと空の写真も、ビルの全面ガラスが光っていました。

金属の光沢に近しい、滑らかな光り方をするものが好きなのかも知れない。そう思った時に、布地もそうだった。滑らかなもの、つるつるしてるものが好きだよ、と思い至って、冒頭に戻るわけです。

画角が変わって解像度が上がる

好きを自覚すると、面白いもので、目に飛び込んでくる率が高くなりますね。元々持ってたものでも、あっ、これも、これもか! 無意識こわ~~! みたいに再発見があります。潜在意識、無意識こわぁ。

話が少し横道に逸れますけど、わたしは骨格診断でナチュラルです。でも、骨ナチュにオススメされるアイテム、とくにアクセサリー類がことごとくnot for meだと感じていました。例えばターコイズのアクセサリー、木製品、革製品、エスニック系、骨系、角系、もう本当に全然心が躍らないし、似合う気も1mmもせず、勧められたこともありますが、一切購入していません。

まあそりゃそうだよね。つるつるすべすべぴかぴかが好きなら、骨ナチュ推薦のマット! 不透明! 粗いざらざら!!! は相容れようがない。似合うと言われても(まあ似合わないんですけど)(いや他人から見ると似合ってるのかもしれないけどわたしは似合わないと思う)、呑まなかった自分の、思った以上の頑固さに、今更ながら気付きました。面白いもんですね。

かたちにする、ということ

大学の頃、もやもやした考えにかたちを与えるために言葉があるんだよ、なんて話があったのを思い出します。『考え』で留めておくより、やっぱりがんがんアウトプットして形を与えることで、自覚が生まれて、自分の輪郭線をくっきりさせていくのかもしれないな。

まーしかし、自分の『好き』ってこんなにも把握出来ていないもんなんだな、というのが改めて驚きですね。自分が、自分のことを、一番分かってない。イメコンおもろ! ってのも、知らない自分を見せてくれるからだったりします、わたしの場合。

あとは、子育てだの仕事だの家事だのと日々を過ごしていると、自分の心がどんどん地層深く埋まっていくようなんですよね。はたと気付けば広がる荒野。そういや、自分は何が好きで、何を大切にしていたんだったっけ? と問いかけても、なんかここにあった気がするんだけど……とぼんやり曖昧で、なーんも明確な答えが出てこない。昔はそんなこと無かった気がするんだけど……。

ま、昔を懐かしんでいてもしょうが無いので、せっせとその堆積した土を掘り起こしていかねばなりますまい。埋まってしまった綺麗なものを、水脈を、シャベルで掘り起こしていく作業は、イコール己に向き合うってことでもありますね。
その作業中に、意識的に埋めて見ないことにした疵もうっかり触ってしまうこともあるかもしれない。そういうこともあるよね。あるある。あーあ。

しかし、コンセプトか。コンセプトね~~~。思い浮かんでは、そうかな? 違うんじゃない? を繰り返している。

とりあえず、今の鈍化したわたしは、好きを掘り起こす作業から始めるのが良いのかも知れない、そうして新しい世界と、知らない自分と会えたらいいなってことで、ピンと来たものをスクショしてスマホのアルバムに放り込んでいます。本来はアイテム事に分けた方が良いようなのですが、とにかく手当たり次第ガンガン行くスタイルで。ちょっとでも心が動かされたらスクショ。

見事に黒と白と赤

いずれコンセプトチェッカーも作ってみましょうかねえ。ああなんか、楽しいな、こういうの。

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