「箸の持ち方」論争に決着を?

「日本人たる者、箸くらいまともに持てなくてどうするんだ! 変な持ち方で食事をするなんて恥ずべきことだ!」

 VS

「誰に迷惑をかけてるわけでもないのに、なんで箸の持ち方くらいでいちいち責められなきゃならないんだ!」

はい。例のやつ。
ネット上でたびたび勃発する「箸の持ち方」論争。

個人的な見解はあるけど、とりあえずそれは置いておいて。

まず、なぜこんなふうに揉めるのか。
それって結局、「箸の正しい持ち方」というものがいったい何なのか(「どういうもの」なのか、ではなく「何」なのか)を、多くの人が理解していないからじゃないかな。

箸の持ち方云々っていうのは(つまり箸を正しく持ち正しく使う方法っていうのは)結局、洋食で言うテーブルマナーの一種。

和食における箸って、洋食におけるカトラリーに相当するものじゃない?
だから箸を正しく持って正しく扱うのって、結局はナイフやフォークをきれいに使うのと同じレベルの話だと思う。

そもそもそんなふうに食べる時に道具を使うのは、手を汚さないためか、あるいは食材を汚染しないため。実用的な側面から見た目的はそんなものでしょう。
だからそれさえクリアできていればオッケーな人は、箸の持ち方なんて気にしなくていい。

一方テーブルマナーに従って上品に食事をしたいという人は、当然箸だって正しく持つことにこだわる。
だってテーブルマナーってそういうものだから。

ゆえに。
一言で言うなら、「箸は正しく持てなきゃダメ」と「箸の持ち方なんてどうでもいい」は完全に文化の違い。

だからお互い「違う」と認めればそれで終わり。
それなのに、お互い「自分が正しい」と必死になって相手に認めさせようとするから揉める。それが人の性なのかもしれないけど。

とはいえ、どちらがより悪いかと問われたとしたら、私は躊躇うことなく「箸は正しく持てなきゃダメ派」だと答える。
だって元はと言えば、箸を正しく持てる人たちが、そうでない人たちを責めたのが始まりだろうから。

正しく持てる人たちは、「あらまあ、お箸の持ち方ひとつとってみてもお里が知れますわねえ。おほほほほ」って思って終わっておけばよかったの。
「箸ひとつまともに持てないなんてみっともない!」なんて責め立てることなんてしないでね。

でももうここまで大きくなってしまった以上、もう鎮静は無理だろうけど。
これからもきっと、しばらく経ったころに思い出したようにバトルが始まるんでしょう。

私はせっかくの食事時にいちいち余計なことを言われたくないので、「正しい」持ち方で持つけどね。
箸の持ち方ひとつで避けられる諍いなら避けたいし。

実を言えば、握力が弱いせいであの持ち方でないと茹でたスパゲティや素麺みたいなつるんつるんの麺類がつかめないという現実的問題がなきにしもあらず、だったりもするけど。

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