「映像の瞬き by ウォルター・マーチ」 (毎日投稿31日目)
こんばんは。映画監督の武内剛です。
1月28日から始まったアタクシの初監督映画「Padre」を世に出すためのこの毎日ブログも今日で31日目。早くも2ヶ月目に突入である。
そう考えると1ヶ月というのはマジで早い。
特に寒さが大大大嫌いなアタクシは2月は基本引きこもりシーズンなので、あまり日々の展開がないからか、普段よりも音速で過ぎ去った気がした。
今日はある映像関係の書籍を紹介したい。
初監督長編ドキュメンタリーの撮影を終え、さあこうなりゃ編集も自分でやってやるぞ!と気合い入れたものの、学校とかで映画の勉強など全くしてこなかったアタクシ。
撮影した膨大な量の映像素材を一から十まで全てチェックする作業と並行して、1冊の本をネットで注文し、読み始めた。
それがこちらの「映画の瞬き(まばたき)」 by ウォルター・マーチである。
原本の英語タイトルは「In the blink of an eye」で、直訳すると"瞬き"であるが、"一瞬のうちに"、とか"あっという間に"という熟語としても使われる。
ウォルターさんは『ゴースト/ニューヨークの幻』や、『地獄の黙示録』などなど名だたるハリウッド映画の名作の映像編集やサウンドミックスを数多く手がける大御所編集マンである。
彼はアナログ編集からデジタル編集に移り変わる時代の転換期に生きており、個人的な体験を通して"編集"とは"カットの意味"とは何なのかを深い洞察力でこの本に綴っている。
なかでも"なぜカットは機能するのか"という項目に書かれている事は、初めて長編映画の編集という大航海に旅立とうとするアタクシにとって、とても納得がいく内容だった。
このような問いからスタートするのだが、今改めて見ても、とても興味深い内容だ。アタクシ達は生まれた時から色んな映像や映画を観ており、その中で当たり前になっているこうした"カット"について普段何も意識することはない。
映画が作られ始めた初期の頃は、"カット"という概念がそもそも存在しておらず、一連の行事や物語をノンストップで見せる、ごく単純なものだった。
誰がどうやって、この"カット"という表現技法を生み出したのか?それはこの本または、「Cutting Edge」という映像編集のドキュメンタリーを観てください
ウォルターさんは、「優れた映画の"カット"はまるで人間の瞬きのリズムと同じようにごく自然に機能している」と書いているのがとてもしっくりきて、この一言が「Padre」の編集にも活きたような気がする。
前回この本を読んだ時はまだ本格的に「Padre」の編集を始める前だったが、今編集を殆ど終え、もう一度この本を読み直したくなった。
大航海を終え久々に陸に戻ってきたアタクシにとって、再読はまた新たな発見がある事だろう。
編集に興味がある人や今後やってみたい人、もしくは映画や映像の裏側が知りたい人にとってもかなり面白い本なので興味がある人は読んでみてね。
令和五年二月二十七日 武内剛
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