見出し画像

デジタル世界への体験

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダーシップコース
クリエイティブリーダーシップ特論I 第6回 講義日5/17
ゲスト:チームラボ/堺 大輔

チームラボ株式会社について

最新のテクノロジーを活用したシステムやデジタルコンテンツの開発を行うチームラボは、プログラマー、エンジニア、CGアニメーター、絵師、数学者、建築家、ウェブデザイナー、グラフィックデザイナー、編集者など、デジタル社会の様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート、サイエンス、テクノロジー、クリエイティビティの境界を越えて、集団的創造をコンセプトに活動している。

チームラボの展示

没入体験からフロー体験へ

没入感とは、他のことが気にならなくなるほど、ある対象や状況に意識を集中している感じ。特に、音楽・映画・ゲームのほか、バーチャルリアリティー(VR)などで体験する感覚についていう。

最初に没入体験という単語に触れた時、VR仮想現実のことを思い浮かべた。ゲーム、小説や映画に集中して、周りが見えなくなり、全てが物語の世界に身を置く感じは没入体験と言えるだろう。
何かに没頭したり、熱中している状態のことで、その時やっていることや目の前で怒っていることに、心が止まっている状態。

調査によると、多くの人が、スポーツやゲーム、鑑賞活動や製作活動といった、”現在”に注意を向けやすい活動に余暇時間を費やす。まるで、「没入」を求めているかのようである。
「一つの活動に深く没入しているので他の何ものも問題とならなくなる状態、その経験それ自体が非常に楽しいので、純粋にそれをすることのために多くの時間や労力を費やすような状態」(Csikszentmihaly,1990,邦訳p.5)と定義されている。
こういった没入体験をした上で、私たちは何を得るのだろうか。

ユーザーが情動の客体に没入する際、「フロー体験」(flow experience)に入っていくと言われている。
「フロー」とは、社会心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱した考え方で、明確な目的を持って活動に没頭している状態のこと。ゲームやスポーツなどでフロー状態が発生するのであれば、Webサイトを閲覧している時にも、フロー状態は発生するはずである。

UXデザインを考える時に、この「フロー体験」を無視することはできないでしょう。

中国の没入娯楽

統計によると、中国の没入娯楽の7割弱がこの2年で誕生し、何もない状態から200件以上に増えた。没入式の演劇、デジタルアートを使った没入式の体験ミュージアム、リアリティーショーなど、手法も細分化されている。“没入体験”がオフラインのエンタメ消費の新たなエンジンとなっているのだ。
上海戯劇学院創意学院の劉志新副院長が指摘するように、ミュージアムやライブ、商業空間といったプラットフォームにおける“没入体験”は、オフラインエンタメを再定義しようとしている。そして“ニュー・テクノロジー・アート”と新しいライフスタイルが重要な文化消費品となっている。今後、さらなる商業的想像力をもたらしそうだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?