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石の話-演習場の怪物-
まぁ、出くわして初めて重大なものだって気づくことあるよね。もっとも、実作業の段階ですでに手遅れの場合だってあるしさ。とは言えだ。だからと言って仕事を止める訳にもいかないので何とかしないといけないわけだ。
多少の犠牲を払っても何とかしなけりゃいかん。
1. 石
さて、ついこの前あげた雪、泥、食事、と全く華やかでも何でもないものを挙げたが、そういえば一番ヤバい奴を出していなかった事に気付いた。今回は“石”だ。そう、石だ。
ある演習の時、例によって雨が降りながらでも、俺の勤務していた連隊は当然演習を開始した。一週間ほど、正確には2夜3日を二セットほど行うらしかったので、当たり前だが天幕を立てる事になる。いうまでもなく人力である。
2. いつまで手こずってんだコラぁぁぁby陸士長
でだ、その杭を叩きこもうとしたとき、地面に刺さり切らなかった、さて、困った、岩でもあるんだろうとちょっと離れた所に杭を打ち込もうとしたがやはり入らない。どうせジャリだろうし、これ以上はロープが伸びないので中の物をどかそうと長エンピを出した。
3. 演習場「お前のパワーはそんなもんか!!どうしたチャンピオン!!!」
その演習場、陣地構築のたびに穴を掘れば火花が散り、大体研いだエンピ(スコップ)が駄目になる事で有名な場所である。何回か使って慣れてしまっているが、知人に話すとそこだけらしい。まぁとりあえず何かを排除しようとエンピを突き立てた。
感触的には多分大きめの石だろうと思って掘ってみると、何故か真っ黒な良く解らない物が出てきた。今回の”石”は其れだろうとアタリを付けたが、どうも出てきているのは先っちょだけらしい。とはいえコイツのせいで天幕の移動は納得がいかない。
4. 何かこだわりがあったのか?
班長に報告すると、「石ごときどかしてしまえ!」と作業員二名に加え先輩がツルハシやら金梃子やら持ってその石との戦いが始まってしまった。いや、別にそこじゃなくても良いんじゃないですかとは言えなかった。
5.奴は今でもあそこにいる・・・。
苦闘2時間、損害金梃子一本、エンピ二本損失の末掘り出した”石”は、真っ黒な目方として100キロくらいある全長1メートルくらいの石だった。クソ重くて、作業車を使って引きずり出したほどだ。こんなもんが埋まってると思いウンザリしたものである。
問題なのはその”石”、地表に出たのはこれが初めてではなく、曹長曰く3年くらい前に掘り出して埋めた石だったらしい。また曰く、他の連隊も掘り出して埋めたりしているので、何回か掘り出される曰く付きの石だったのだそうだ。
最終的に施設作業車を持ち出してその石は、天幕構築地点からやや離れた草っ原にひきずりこんで事なきを得たが、もしかしたら何かの間違いで演習場のどこかに埋められてしまったかもしれない。果たしてあの石が土に埋まっていないかどうか、今でも不安を感じる事がある。本当に埋まってないんだろうな・・・。
なお、写真は全て自衛隊公式HPより引用させていただきました。
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