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交渉人は諦めない 【ネタバレあり読書感想文BLR18】  鮮やかな逆転

*BL本 多分R18です

★★★★★
Amazonでレビューしたものです
まだ公開されません→公開されました

<あらすじ>
「俺は先輩だけの男です……たとえなにがあろうと、絶対に」
下町は両国に芽吹ネゴオフィスとして事務所を構える芽吹章は、嫁姑問題以外ならなんでもござれの交渉人だ。そんな芽吹の恋人は泣く子も黙ると評判のヤクザ兵頭寿悦だった、ほんの少し前までは…… いまや兵頭は芽吹の敵でもある天才詐欺師・環の恋人となり、痛めつけられる芽吹を見ても顔色ひとつ変えない。仕事も恋もうまくいかず、傷心の日々を送る芽吹だが、人を信じることをやめようとしない。そんな芽吹に、環は苛立ちを隠さず……!? 俺は俺を信じる。人を信じていこうとしてる、自分を信じる! すべてを懸けて、芽吹の反撃が始まる!?

Amazonのページより


「黙らない」「疑わない」「振り返る」「嵌められる」に続く、シリーズ5冊目。
内容的に前の「交渉人は嵌められる」と合わせて前後編となっており、こちらは後編です。


A.鮮やかな逆転


周囲で亡くなる人の多いやたらしんどい人生を送っている、芽吹。
そんな彼の最大のトラウマとなっている、殺人事件の容疑で弁護した親友の自殺。前巻でその事件に真犯人=教唆犯がいたことを示すUSBが手に入った。しかし、その犯人=天才詐欺師にUSBを奪われ、さらに兵頭まで。。
というところで始まった今巻。

兵頭を取られて凹んだり荒れたり、かと思えばまた拉致されて趣味の悪すぎる仕打ちを受ける芽吹。

大丈夫なのか、、
と不安になりつつ読んでいたら、

見事な逆転を見せてくれました。

どこから始まっていたのかわからなかったなあ。
だまされました。
読み返してここからだったかーと。

証拠が無理なら自白!
見事な発想の転換でした。

B.集まったチームとその周辺

今までのこのシリーズは、基本芽吹の一人称の語りでストーリーが展開し、最初と最後の章は他の人の目線となっていました。
今巻は話の流れの都合か、途中でも他の人の目線が多くなっていました。

α.集まったチーム芽吹

ネゴオフィスメンバーに智紀とアヤカちゃん、七五三野に、志津も加わり、一丸となって芽吹に協力してくれました。
さゆりさんはメンバーを叱りつつ励まして支え導いてくれました。お母さんのように。兵頭とのことも比較的冷静に客観的に見られていましたね。彼女周防組長のことを知っていたり、親友を亡くしていたりと色々な過去がありそうなのですが、その辺がシリーズで出てこなかったのが残念です。
意外だったのが智紀が結構芽吹が好きになっていたことですね。もちろんそうでなければこんな協力しないとは思うんですが、高く評価していて人格的にも好ましいと思っている。元々の彼の価値観が芽吹と一緒に過ごすことによって変わっていったというのも面白い変化でした。

β.松本と伯田と

個人的に面白かったのが、兵頭の舎弟の松本さん。
このシリーズでは兵頭の一人称は出てこないので、周囲の観察で彼の内面を推し量る、ということになるのですが、

ブリザード(笑)
隠しきれないブリザードが吹き荒れてましたか。
巻き添え食って気の毒に。

一人称でもなく事務所の人間視点でもない、芽吹のほのぼの日常が垣間見えたのも面白かったです。
芽吹は男受けする、とはいえ、やっぱりそっちでない男性には普通に顔のいい人止まりなのも現実的でしたねえ。

そして私のお気に入り伯田さん。
兵頭のまずい反応を見てやれやれと思いつつフォローする。
現状を冷静に分析もしているし、この人すごいよなあ。

それにしても、よく芽吹に協力しましたね。協力したらUSBは司法の手に渡ってしまうわけで、あんなに犯罪行為を繰り返して手に入れようとした重要ものを渡してしまってよかったのか。警察だってプロテクト外して調べるでしょうし、薬物関係の情報なら犯罪の証拠になるでしょうしねえ。このまま環に振り回されるよりはマシ、鵜沢に渡すよりはマシなのかもしれませんが。

γ.鵜沢は兵頭の裏

鵜沢も、兵頭と同じぐらい長く芽吹にこだわって執着していますよね。
高校時代から。憧れの人とか言って。
でも表現方法が乱暴すぎる上に、相手のことを全く考えていないからなあ。ただ欲望を満たすだけという。

一歩間違えれば兵頭もこうなっていた、かもしれない。
裏面でしょうかねえ。

C.もう一つの逆転


芽吹は兵頭を取り戻すのを諦めなかった。

二人の再会はもう涙が出そうでした。

もう芽吹に触れてもらえないと恐れる兵頭。

今までは兵頭が芽吹を求めていたのに、今度は立場が逆転して、芽吹が兵頭を求める形に。
流れで、、とかいっていた芽吹が、やっとこさ認識し口に出しました。兵頭は自分のものと。

それどころか激しい怒りと嫉妬をむき出しにして、兵頭に何度あいつを抱いたかと問い詰め、押し倒す。

「先輩は俺のもの」
から、
「お前は俺のもの」「俺は先輩のもの」
への逆転。

近づいて、触れて、抱きしめて、口付けて、嗅いで、なめて、含んで、かんで。
入って、締めて、動いて、感じて、浮かんで、放って、ぬれて。
ないて、ないて、ないて。

見つめ合い、いき合う
愛し合う
溶け合いたい
一つになって
永遠という幻想を抱きながら

本当の意味で両思いになった二人。

兵頭を取り戻せてよかったね、芽吹。
芽吹の元に戻れてよかったね、兵頭。

物語はもうちょっと続きます。

著者:榎田尤利 (著), 奈良千春 (イラスト)
ASIN ‏ : ‎ B0772Q3NRC
出版社 ‏ : ‎ 大洋図書 (2010/8/4)
発売日 ‏ : ‎ 2010/8/4
言語 ‏ : ‎ 日本語
ファイルサイズ ‏ : ‎ 9444 KB
本の長さ ‏ : ‎ 221ページ


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