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仮想通貨における消費税法上の考察

昨日、一つのツイートが目に舞い込んできました。有名な仮想通貨に関する税金の本を書かれている方で、仮想通貨の発展のためにいろいろと税法上の解釈を説明してくれている素晴らしい方のようです。

この方:仮想通貨税金本ベストセラー 仮想通貨に強い大見税理士事務所@44円君 #XRP

以下のツイートがそもそもの内容になります。

仮想通貨で消費税が課税されるかもしれない件で議論したいです。税理士の方や知識がある方リプ・コメント希望。平成29年7月以降に仮想通貨取引で消費税は非課税になりました。それ以前は課税取引と解釈されますがそもそも支払手段ですからそれ以前でも税理論上では非課税と考えられます。

ここで私も若干なりともこの件については調べておりましたので見解を述べさせていただきます。

前提として

①仮想通貨はそもそもものだった(2017年6月30日以前)

②仮想通貨が支払手段となった(2017年7月1日)

③これに伴い仮想通貨の取引について 2017 年 7 月 1 日より消費税が非課税となった。

この部分が今回の焦点であり、つまり、そもそも「消費税法上、仮想通貨が支払手段であるのであれば、2017年7月1日以前の仮想通貨においても消費税対象外であるべき」との見解です。

これについて私は、そもそも今回変わったのは

①資金決済法において仮想通貨というものの明確な立ち位置が「支払い手段になった」ということ

②消費税法は変わっていないこと

を根拠に、判例等を調べてみましたが、明確に近いものは見つかりませんでしたので一つの仮説を建てます

①税法は遡及しない

これは税法が変わっても過去に遡って課税されることはないということです。例えば消費税が10%になったから去年の分2%足りないから追加で払って!と言われないということです。

②「仮想通貨」=「支払手段」はいつからなのか?

これは仮想通貨が法律上支払手段になった日なので施行日、つまり2017年7月1日となります。

③経過措置はなかったか

次に経過措置、つまり法律の切り替わりにはどういう判断をするように定められていたか

資金決済に関する法律(以下、「資金決済法」といいます。)が改正され、仮想通貨の具体的な定義が明確化されました。
これにより、仮想通貨が支払手段として位置づけられたことに伴い、資金決済法に規定する仮想通貨の譲渡について、消費税が非課税とさ
れます。
【適用時期】
平成 29 年 7 月 1 日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れについて適用されます。
【経過措置】
① 個別対応方式による区分平成 29 年 7 月 1 日前に譲り受けた仮想通貨について、個別対応方式により仕入税額控除を計算する場合の仕入れ区分は、「課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ」
に該当するものとされます。
② 仕入税額控除の不適用
事業者が、平成 29 年 6 月 30 日に 100 万円(税抜き)以上の仮想通貨(国内において譲り受けたものに限ります。)を保有する場合において、同日の仮想通貨の保有数量が平成 29 年 6 月 1 日から平成 29 年 6 月30 日までの間の各日の仮想通貨の保有数量の平均保有数量に対して増加したときは、その増加した部分の課税仕入れに係る消費
税につき、仕入税額控除制度の適用が認められないこととなります。
これは、施行日前に仮想通貨を駆け込みで仕入れることが行われ、仮想通貨の市場に大きな影響を及ぼすことを回避するためです。

こういった経過措置が取られており、2017 年 6 月 1 日以前及び 7 月 1以後で消費税の課税区分が異なるという結論になります。

もちろん6月一か月は移行期間として仕入れ税額控除の適用は認められませんので、申告の際は注意が必要となります。


といった具合で、ちょっと一般の方にはわかりにくいかもしれませんが、税法が変わる場合は切り替わりがいつなのか、その経過措置はどうなのか、特例、免除などはないのかなどそういった視点で調べてみるのも面白いかもしれません。


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