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餘部橋梁物語 第49話

> そこで、二郎が学校に行っている間にこっそりやってきたというわけでした。
> 親方は当然そんなことは知りませんから、子供たちは一生懸命がんばってくれているが、子供たち怪我をさせるわけにも行かないこと・・などなど、初対面の二郎の父親に話しかけるのでした。

二郎の父親にしても、親方の申し出は十分に満足するものといえました。

「わかりました、ありがとうございます。」

「それでは、いつから始めればよいでしょうか、といってもこちらも準備がありますので明日からと言われましても困りますが・・・。」

 「それでは、1週間後くらいはどうでしょうか。」

 「その頃から、ホームの下に礎石を入れたりしますので、大きな石は私たちで運びますが、それを埋める中小の石などを運ぶ、もしくは埋めると言った作業をお願いできますか。」

「わかりました、皆様のお仕事の邪魔にならないように、お手伝いさせていただきます。」

そういうと二郎の父親は親方に深々と頭を下げて帰っていくのでした。

そして、その日の午後もやはり二郎は、近所の子供たちをつれてやってきました。

二郎は、あざとく猫尾を見つけると、

「おっちゃん、今日は何を手伝えばいいかな。」

 「おお、二郎か、今日はな・・・」

そう言いかけて親方が横から口を挟みます。

 「猫尾、今日から1週間はお前が子供たちの監督をしろ、明日からは基礎固めをするので多少大きな石を入れつつ、突固め作業が始まるから、猫尾は子供たちと比較的小さな石を集めておけ。」

そういい残すと、さっさと別の現場を指示するために去っていきました。

残された猫尾はぽかんとしたままでしたが、親方の命令は絶対ですから。

「それじゃ、お前たち土置き場でこぶし大の石を探して別の場所に積み上げておくように。」

 「わかったよ、おっちゃん。」

そういうが早いか、二郎は早速子供たちを引き連れて残土処分のために設けられた一角で作業を始めるのでした。

駅の構築ももう次の段階に入ってきました、明日からは積極的に石を敷き詰めた上で土で固めるそんな作業が始まろうとしていました。

・・・いよいよ明日は最終回となります。

完成した、餘部駅

そこにはどんなラストが待っているのでしょうか?

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