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優秀な理系人材こそ臨床医に最も向いている説

受験勉強で優秀とは?

受験勉強における「優秀」とは、「既に答えが決まっている」与えられた課題に対して、迅速かつ正確に解決していく能力が高いこととほぼ同義である。俗にいえば、要領が良い。そこには独創性や極度な忍耐力などは求められていない。受験勉強は、「ルーチンワーク」を「修練で鍛えた処理能力」で「的確に」こなしていくだけの作業である。

医学部に行ける人がもし数学科に行ったら?

高校で数学ができたとしても、大学の数学や物理で挫折する確率は非常に高い。高校までの数学は既知の定理や公式の組み合わせ、それに毛が生えた程度の応用で解いていく。頭の中で具体的に考えることができるし、問題を解くことに主眼が置かれている。そういう観点から、私は「算数の延長」にすぎないと思う。しかし、大学の数学は恐ろしく抽象的でかつ厳密である。医学部に合格できる程度の数学能力では、数学科では通用しない。

受験の能力は、医者になってからも役立つ

例えば、研修医の仕事は、「雑用」である。雑用とは言っても、診療を行う上では不可欠であり、患者のためになることである。そして、「雑用」と称される仕事の大部分は、「ルーチンワーク」である。この「決まった仕事」を「迅速に」かつ「的確に」こなしていくことが求められる。これこそがまさに、受験勉強において鍛錬してきた技術なのである。採血や画像のオーダー、指示簿の入力、カンファレンスでのプレゼン、各種書類の記載、患者さんや家族への説明。そこには特別な独創性やひらめきは求められていない。受験勉強と違う点は、チームワークやコミュニケーション能力が必要なことくらいだろう。これらの仕事内容は、専攻医・専門医になっても、大きく変わらない。手術にオリジナリティは必要ない。既に決まった術式を概ね的確に迅速に遂行することが求められる。学会発表や論文執筆、これも型がある。なるべく多くの情報をインプットし、それをアウトプットする、まるで人間版AIのように仕事をこなしていくのだ。仕事が遅い、仕事が不正確は致命的だ。周りのスタッフに迷惑がかかるし、下手をすれば、患者にとって命取りにもなる。

まとめ

受験勉強と臨床業務に求められる能力は似ている。受験勉強で優秀な理系人材は、コミュニケーションが著しく難しくなければ、非常に臨床医向きだと私は思う。


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