自民党の「新しい憲法」の中身、ご存知ですか?

5月28日、「憲法審査会」が開かれました。

コロナ禍の中、自民党が憲法の改正を進めようとしています。

憲法の改正は、最終的に国民投票によって私たちに委ねられます。

どうかお願いです。

この自民党の「新しい憲法」の中身を知ってください。

私は、この改憲を絶対に望みません。

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以下、「自民党の改憲草案」と、現行の「日本国憲法」との違いです。

特に重要と感じた部分を、要約して書き出します。

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●前文:

「平和のうちに生存する権利」を削除。

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●第1条:

「天皇は象徴」を「天皇は象徴であり、日本の元首」に変更。

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●第9条:

自衛隊を「国防軍」に変更。

「自衛隊は軍隊ではない」という枷がなくなります。

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●第12条:

国民は、「公共の福祉のために自由と権利を利用する責任を負う」を、「自由と権利には責任と義務が伴うことを自覚し、『公益及び公の秩序』に反してはならない」に変更。

基本的人権の対価に「責任と義務」が求められ、基本的人権より「公益及び公の秩序」が優先されます。

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●第13条:

「公共の福祉に反しない限り、個人として尊重される」を、

「公益と公の秩序に反しない限り、人として尊重される」に変更。

「人全体」としては尊重されますが、「個人の人権」は尊重されなくなります。

又、公益と公の秩序に反する場合、人全体としても尊重されません。

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●第18条:

「何人も、『いかなる』奴隷的拘束も受けない」を、

「何人も、『社会的または経済的関係において』身体を拘束されない」に変更。

「政治的な」または「軍事的な」拘束は可能となります。

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●第20条:

「いかなる宗教団体も、政治上の権力を行使してはならない」を削除。

「宗教団体による政治上の権力の行使」が可能になります。

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●第21条:

「公益と公の秩序を害することが目的とした、一切の表現活動を行うことは、認められない」を追加。

政府への批判などに対して、国が「公益と公の秩序を害することを目的としている」と判断した場合、一切の表現の自由が奪われます。

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●第21条の2:

「国は、国政上の行為につき国民に説明する責務を負う」を追加。

国が情報公開の責任を負うことで、国民による「情報公開請求権」を不要とし、「情報公開法」が廃止される恐れがあります。

もし「情報公開法」が廃止された場合、国が情報公開の責任を負ったとしても、国が「公開する必要がない」と判断した場合には、情報公開を請求することができなくなります。

毎日新聞:「検察庁法解釈変更 菅官房長官『周知必要なかった』」

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●第22条:

「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び、職業選択の自由を有する」から、「公共の福祉に反しない限り」を削除。

経済の規制が緩和されます。

経済強者の営業の自由を制限することが困難になり、経済弱者や国産品等が保護されにくくなります。

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●第36条:

「拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」から、「絶対に」を削除。

公益と公の秩序のための拷問が容認されます。

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●第47条:

「選挙において、各選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならない」を追加。

「一票の格差」が合憲になります。

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●第56条:

「両議院は、三分の一以上の出席がなければ、議事を開き、議決することができない」から、「議事を開き」を削除。

野党が審議を拒否しても、一部の政府与党だけで審議を進められるようになります。

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●第64条:

「政党の政治活動の自由は、保障する」を追加。

無所属の議員の政治活動の自由は、保障されません。

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●第66条:

総理大臣や国務大臣は「文民でなければならない」を、「現役の軍人であってはならない」に変更。

「退役した軍人」が、総理や大臣になることを、あえて容認します。

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●第83条:

「財政の健全性は、確保されなければならない」を追加。

「緊縮財政」による、「基礎財政収支(プライマリーバランス)の黒字化」が、義務化されます。

デフレ不況の恒久化が、憲法によって定められます。

「財政の健全化とは」

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●旧第94条・新第95条:

地方自治体は、
「その財産を管理し、事務を処理し、行政を執行する権能を有する」から、「事務を処理し」と「行政を執行する権能を有し」を削除。

地方自治体に「事務を処理する権限」と「行政を執行する権限」が無くなり、中央集権化します。

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●新98条:

「緊急事態条項」を追加。

緊急事態は、内閣の判断だけで宣言できます。

緊急事態では、国民は、国の指示に従わなければなりません。

緊急事態では、内閣だけで、法律を制定できます。

「憲法の緊急事態条項って何?~檻の中のライオン憲法講座」
(動画:1分25秒)

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●旧第97条:

「最高法規としての基本的人権」を、まるごと削除。

基本的人権が「最高法規」ではなくなります。

「基本的人権」よりも「公益と公の秩序」が優先されます。

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●旧第99条・新102条:

「天皇または大臣、議員、裁判官、その他の公務員は、憲法を尊重し擁護する義務を負う」を、

「全国民はこの憲法を尊重し、議員、大臣、裁判官、その他の公務員は、憲法を擁護する義務を負う」に変更。

憲法が、「国家が遵守するもの」ではなくなり、「国民が遵守するもの」になります。
 
憲法が、「国家権力を縛る鎖」ではなく、「国民を縛る鎖」になります。

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近い将来に、憲法改正がなされようとした場合、多くの国民がこの内容を知っていれば、憲法改正は止められます。

お願いです。

もし、この新憲法を受け入れられない、と思っていただけたなら、理解のある人にだけで構いません、どうかこの「自民党の新しい憲法」の怖さを伝えてください。

私は、この改憲を絶対に望みません。

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●補足:

以前、「上記の解釈は、曲解し過ぎなのではないか?」とのご指摘を頂きました。
そこで、実際にこの草案を作った「憲法改正推進本部 起草委員会」の方の説明や、実際に憲法改正を推し進める議員の方々の談話を、直接ご覧ください。

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●参考文献:

自民党公式HP「憲法改正草案」:

衆議院公式HP「日本国憲法」: