最新型分包機と除包機器を使った1包化業務の効率化について
【背景】 ここ最近、薬局は対物業務から対人業務への転換が求められており、多くの薬局が対人業務中心へと舵を切りました。その結果、対物業務量は現状のままですが、対人業務量が増加しており、薬局における薬剤師の疲弊が課題となっています。
そんな中、オートメーション化 (機械化) することにより、対物業務が効率化できると意見が出ていますが、具体的な内容は明示おらず、どのようにすればいいのか、もしくはどの調剤機器を使用すればいいのか現場の薬剤師の声はほとんど聞こえてきません。
(医療機器メーカーが当該機器を導入薬局に対して取材し、どう活用されているかといったものはあるかもしれませんが、それではバイアスがかかってしまいます。)
【本文】そこで今回、対物業務の中でも大幅な時間を費やす「1包化業務」の効率化についてオートメーション化の観点から私なりに考えてみました。
注) 薬局薬剤師向けの記事であるため、分包機カセットの定義など簡単な単語の説明は割愛します。
【具体例1】湯山製作所 Single-R93 ZⅡ
http://www.yuyama.co.jp/product/products/doc/single-r93zii.pdf
従来の分包機の錠剤カセットは錠剤ごとにサイズや形が設定されており、あらかじめ指定された薬剤のみでしか使用できませんでした(1カセットにつき1種類の錠剤のみ)。 そのため、新規採用薬や規格変更の度に、錠剤カセット再作成の時間と手間がかかっていました。しかしSingle-R93 ZⅡに導入されているユニバーサルカセットUCは錠剤のサイズや形にそれぞれ適応するため、様々な薬剤が充填可能となりました。
あらかじめカセットに設定する必要がなくなり、いわゆる「錠剤の手捲き」がほぼ不要となりました。
利点
・錠剤の手捲きをすることがほぼなくなり、1包化に費やす時間が短縮され、効率化できる。
・手巻き作業における「入れ間違い」がなくなる。
・ユニバーサルカセットUCに充填する前にGS1で照合するので、調剤過誤の防止にもなる。
・一度、患者を登録しておくと分包薬剤がデータとして残るため、調剤後に確認できる。GS-1で照合するため、データと実際に手巻きした薬剤の不一致が避けられる。
・ユニバーサルカセットUCが不具合を起こすことを危惧したが、特に不具合らしくものは今のところない。
欠点
・ユニバーサルカセットUCから錠剤が出される時間が手巻きのみの場合と比較して増加する。これは分包日数に比例して増加する。
・ユニバーサルカセットUC5個しかないため、分包錠剤数が多ければ、手巻きすることもある。(当薬局で採用している分包機はUC5個+45錠剤カセット)
・グリメピリド錠0.5mgなど錠剤が非常に小さい薬剤はユニバーサルカセットUCを使用することができない。(カセット内で空回りして正常に作動しない)
Single-R93 ZⅡを使用することで、1包化の効率化と調剤過誤の両方が期待できると感じています。
【具体例2】パラスター N-2CSM ver.2 (電動モデル)
http://www.nakasudenki.com/parastern2csm.html
Single-R93 ZⅡに、パラスター N-2CSM ver.2 (電動モデル)を組み合わせることでさらに効率化が可能となる。パラスターはPTPシートから錠剤にバラすことができる機械である。電動式であり、ボタンを押すだけで除包ローラーが回転し、その中にPTPシートを入れると除包される。唯一の手動部分はPTPシートの横幅を調整する手回しハンドルのみである。
利点
・PTPシートを除包する時間が大幅に減少する
・PTPシートを大量に除包する際にできる指の痛みがなくなる
・除包後に錠剤が割れたり、一部分が欠けたりすることはほとんどない
欠点
・完全に除包できない薬剤もある。(10錠PTPシートのうち1錠だけシート内に残るなど)錠剤が小さい薬剤などに見られることがある。
・パラスターで除包された薬剤をユニバーサルカセットUCに移す際に錠剤を落とすことがある。
・パラスターのコンセント電源が必要であり、設置場所を確保する必要がある
【まとめ 】 1包化業務は、バラスターで除包した後、ユニバーサルカセットUC付きの分包機を用いることが、効率化する方法の一つであると考えられる。
【注意】科学的な根拠はありません。個人的な意見なので、参考程度にお願いします。
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