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文春オンライン スキャンダル報道の裏に潜む「大人の思惑」(8/26追記4訂版)

ジャニーズ事務所のトップアイドルの一人、山下智久氏が参加した飲み会に未成年女性が同席しており、その後当該女性と同じホテルに宿泊したとの疑惑が8月7日付「文春オンライン」で報道され、話題になった。

記事内容は、飲み会に現役女子高校生が参加していたことに関して「青少年の健全な育成に関する条例」を引き合いに出し、あたかも山下氏が女子高生を連れ出して同伴させ、その後淫行していたかのような論調だ。当該記事についたコメントを眺めても、「コロナ禍での複数人との会食、未成年者との飲酒、ホテルにお持ち帰りなどけしからん」、「山Pは芸能活動自粛か引退か」といった、記事の印象に引きずられたような意見が多い様子であった。

確かに山下氏にも軽率なところがあったのだろう。実際、事務所は8月17日付で氏の「一定期間の芸能活動自粛処分」を発表した。この処分の軽重についてもネット上では様々な意見が飛び交っているようだが、筆者はこの処分について、事務所としても「こうするしかなかった」という、現時点におけるギリギリのラインであろう、と捉えている(その根拠は後ほど説明する)。

一連の騒動において筆者が何よりも気になっているのは、当該記事の公開前から、本件にまつわる様々な「怪しげな動き」が見られたことだ。個人的な見解として、本件は「山下氏の人気や価値を低下させたい勢力による、組織的な地位失墜運動」ではないかと見立てている(あくまで現時点までの情報を総合したうえでの予想なので、もし事実誤認である旨が判明した場合にはお詫びして訂正する)。

そのように考えた根拠は以下の6点だ。順番に考察していこう。

(1)文春オンラインによる無理筋な「スキャンダル扱い」報道

一般的に個人の名誉が関わる記事の場合、執筆時には直接本人にコメントを求めたり、所属事務所等に取材して見解を確認したりして、記者側の一方的な言い分だけにならないように配慮するものだ。そうでなければ後々、名誉毀損で訴えられてしまうリスクもある。実際、同じ文春でもオンラインではなく週刊誌のほうは、そのあたりはきちんと対応している。

しかし今般のオンライン記事では、所属事務所からの取材回答に「山下氏は店長から来店客(当該女子高生)を紹介され、飲食を共にしたのは事実」だが、「同席客の飲酒有無について山下氏は関知しておらず、未成年との認識もなかった」、さらに「店長は入店時に年齢確認していたが、当該女子高生は実年齢をごまかしていた」「年齢を偽ったことは本人たちも認めたうえで店長に謝罪している」旨が説明されていた。なおかつ「慎重に取材いただくよう願います」とクギを刺されているにも関わらず、本文中ではそれらに関して触れることなく、あたかも山下氏が女子高生に飲ませて淫行に及んだかのような印象が残る構成で記事公開に至っているのだ。

少なくとも記事中においては、山下氏と女子高生がホテルの同じ部屋にいたという証明さえなされていない。にも関わらず、タイトルにわざわざ「持ち帰り」という文言を入れ、「山下が待つホテル」「A子の待つ部屋」などといった表現を用いるのは、憶測による印象操作と言われても反論できないのではなかろうか。

(2)「青少年保護」を盾にしながら、まったく相手女性を保護していない記事内容

記事では「『青少年の健全な育成に関する条例』に違反する可能性」を引き合いに、山下氏の行動が青少年保護の精神に反しているかのように印象操作しているように見えるのだが、保護すべき対象を保護していないのはむしろ文春オンラインの方ではないかと考えられる。

記事中では「17歳の女子高生モデルA子」と表記し、ボカしてはいるもののインスタグラムの写真を転載。インスタフォロワー数や出演番組、モデルとして登場している仕事や掲載誌まで具体的に記載し、名前こそ伏せてはいるが、読者が簡単に検索して特定できるだけの情報を開示してしまっているのだ。これでは、場合によっては特定された彼女が山下氏の熱心なファンから攻撃を受けるかもしれず、当の文春オンラインこそ青少年保護の精神に反し、人権侵害レベルの記事を掲出しているといえるのではなかろうか。

(3)文春記事公開前に作成されていた、女性のフルネーム入りアフィリエイト記事

一般的に「アフィリエイト記事」とは、GoogleやYahoo! JAPANなどの検索エンジンに引っかかりやすいキーワードを盛り込んで、検索上位に入ることでターゲット読者の集客を目指す記事のこと。しかしここでは、何かニュースが報道された後、「○○くんと噂の彼女の名前は□□!?年齢や出身校は?」といったタイトルで、個人情報を暴露する下世話なサイトのことを指す。

ご多分に漏れず、今回も文春オンラインで「A子」とされた女性を特定し、注目を集めようとする記事が数多く公開された。ところが、私が気になったのはそれらの記事の公開日時だ。

まず、当の文春オンライン記事が公開されたのは「8月7日18時」なのだが…

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(画像)「文春オンライン」ページソースより

たとえばこのアメブロの記事は「8月8日」の投稿となっているものの、

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Googleのキャッシュを確認すると「2020年8月7日 17:22:13 GMT に取得されたものです。」と表記されている。文春記事公開の約40分前だ。

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こちらの記事は「8月7日」公開で「週刊文春オンラインで『山下智久』さんの女性スキャンダルが報じられました。」と書かれているものの、

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キャッシュでは「2020年8月7日 11:04:18 GMT に取得されたものです。」と、文春オンライン記事公開の7時間前に作成されていることが分かる。

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そしていずれの記事にも「A子」のフルネームが記載されているが、これもまた不可解だ。記事公開前は私を含むメディア関係者でさえも下の名前しか把握できておらず、フルネームが判明したのは記事公開後だったからである。これらの記事を執筆した人たちはなぜ、まだ世に出ていない文春オンラインの記事内容を把握した上で、SEO最適化した記事を書け、しかもA子のフルネームまで知っていたのだろうか。

なおGoogleのキャッシュについては、「GMTで取得しているので、日本時間とは9時間の時差があるはず。これだけでは文春オンライン記事公開前のものとはいえないのではないか?」とのご指摘もあろうかと思われるので、内部関係者に確認した。結果、

「日本での検索結果の場合、『Google.com』ではなく『Google.co.jp』の環境下でデータ収集・稼働しているため、検索結果に表示されるのは日本の時刻データ」

とのことであった。

さらにキャッシュ以外の証拠として、当社調査班からLINEで共有された記事写真のスクショがある。

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これは8月8日の13時36分に筆者宛に送られたもの。その時点で「19時間前」に公開(=約20時間前にGoogleに登録)された記事が確認できる。これは文春オンライン記事公開より明らかに前である。

ここから読み取れるのは、「文春オンラインで報道される内容を事前に知っていた関係者が、あらかじめこれらのアフィリエイト記事を大量に制作させて仕込んでおき、文春オンライン記事公開に合わせて騒ぎだした」のではないか、ということだ。

ちなみにIPアドレスを逆特定した結果、これらのサイトのうち1つは関西地方のIT企業が制作していることがほぼ判明。そしてもう1つは逆特定ブロックがかかっており、明らかにプロの仕業であることが読み取れる

(4)飲み会に参加していた現役女子高生に対する、事務所や親の対応の違い

不可解繋がりでいえば、記事公開後の女子高生2名に対する、彼女たちの所属事務所の対応の違いもまた不可解である。

というのも、当日その場に同席していたと言われる女子高生2名のうち、一方は即時事務所を解雇されている。しかし件のA子は(現在、私の把握している範囲では)事務所にもそのまま所属し、堂々と名前を出して活動を継続しているようだ。

なお、筆者の知人弁護士も

「A子のインスタアカウントは削除もされずそのままの状態だし、山口メンバーの時とは違い、A子の親も本件について騒いでいないところが気になります」

とコメントしている。

これらの状況証拠から考えられることは、「文春オンライン記事公開前に」「本事案の情報を既に得ていた関係者が」「SEOに長けた人物or会社にアフィリエイト記事を書かせて仕込んでおき」「組織的に動いてネガティブに騒ぎ立てる」といったことが実際におこなわれていたのであろう、ということだ。そして、店側とA子もグルであった可能性があるのだ。

(5)店側の証言に対する疑惑

当初の文春オンライン報道では、「店側は入店時に年齢確認したが、A子が年齢を偽っていた」との記載があったし、今般のジャニーズ事務所からの報告文にも「当該飲食店による年齢確認において成人である旨の説明が事前になされた上で紹介」された、と書かれていた。ここだけを読めば、A子は事件当日が初来店で、年齢を偽って入店したため店側もまた虚偽報告の被害者かのように思えるのだが、調べたところどうやらそうではないようだ。

当該飲食店に出入りしている関係者の話を聴いたところ、

「山下氏・亀梨氏とA子が同席した日とは別の日にも、店内でA子を見かけたことがある」

との証言が得られた。とすると、店側が最初から意図的に、面識あるA子を山下氏に近づけ、一連の顛末を文春オンラインにリークしていた可能性があるのでは、とも考えられる。

(6)後追い報道しなかった他メディア。「週刊文春」本誌さえ沈黙

ジャニーズのトップタレントである山下氏が法に触れるようなスキャンダルを本当に起こしたなら、本来であれば他のマスコミも放っておかず、テレビや新聞、雑誌などあらゆるメディアが取材に殺到して文春オンラインの「後追い報道」をするはずだ。他社のスクープに対して、当該分野の担当記者がすぐに真偽確認し、そのスクープが本物と判明したら速やかに記事掲載するのは通例である。

しかし今回の場合、「文春報道なら何でも食いついてコピペのような追っかけ記事を出す一部メディア」を除けば、大手マスコミでこの件を後追い報道したところはなかったように記憶している。なぜなされなかったかといえば、

・文春オンライン報道について、事実確認ができなかったから
・女性側から被害の訴えがなされず、警察も動いていない以上、犯罪として扱えないから
・未成年者を特定できるような報道になりかねず、青少年保護の観点からも不適切だから

といった理由が考えられる。その観点からすると、いずれの要素についても不確実な状態で先走った報道をおこなった文春オンラインの姿勢は、倫理的にも大変不適切なものといえよう。

そして意外に思われるかもしれないが、本件については紙の雑誌のほうの「週刊文春」(以下「本誌」)でさえ、記事として扱っていないのだ。8月10日の週は雑誌の発行がなかったため記事更新はWeb版のみだが、文春オンライン報道があった8月7日以降、どこを探しても山下氏の名前どころか、ジャニーズのジャの字さえ見当たらない。

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本誌

(↑本誌と連動している「週刊文春WEB」の、8月7日~18日までの記事一覧。どこにも山下氏関連の記事はなく、「文春オンライン」だけが騒いでいることが見て取れる)

そして8月19日、2週間ぶりに「週刊文春」本誌(2020年8月27日号)が発売されたが、そこには1行たりとも山下氏に関する記述はなかった。

文春

大前提として、本誌と連動している「週刊文春WEB」と、スキャンダル報道をおこなった「文春オンライン」はまったく別のサイトであり、抱えている記者も異なる。百戦錬磨の猛者たちの集まりである本誌の記者たちは、炎上狙いで暴走しがちなオンラインの存在を苦々しく思っているようで、筆者が懇意にしている週刊文春本誌の記者も

「(文春オンラインが)霜降りせいやの動画を公開したのも完全な人権侵害。あんな記事を出すオンラインは大嫌い。(本誌と)一緒にされたくない」

と明言しているくらいだ。


筆者は当初、一連のスキャンダル報道は「A子の名を世に知らしめるための意図的なものかも」と考えていた。しかし、そのためにここまで大がかりな動きをするかといえば少々疑問だ。「意図的なもの」という部分はその通りとして、真の目的は「山下氏の信用低下、価値失墜」なのかもしれない。

インスタグラムのフォロワー数は512万人と日本人男性トップで、自らの力量によって海外進出をも可能とした山下氏の実力や人気を敵視し、彼を邪魔だと感じる勢力は多いようだ。氏の人間性を否定し、人気を低下させ、海外作品に出演できなくさせるためには、このタイミングで「未成年者との飲酒・淫行疑惑」が起きることが最も効果的な攻撃だったと考えられる。

しかも、事務所側が個別具体的に反論したくとも、その際はどうしてもA子に言及したり、A子を巻き込んだりした形にならざるを得なくなる。人権保護をとりわけ意識せねばならない未成年が事案に絡むということは、事案について語ることを困難にさせてしまうのだ。山下氏を貶めたい勢力が、あえてA子という未成年を利用したのであれば、まさに「確信犯」といえる。したがって、今回の処分は事務所的に「こうするしかなかった」というギリギリのラインだったといえよう。

とはいえ、事務所も「山下氏の全面的な味方か?」と問われれば、疑念は残る。憶測だけで構成されたような報道が原因でこれだけの騒ぎになったことに対して、本来であれば(未成年者の人権保護を考慮しても)名誉毀損での訴訟提起など、文春オンラインに対して何かしらの法的措置をとるはずだ。しかし現時点において、ジャニーズ事務所側にそのような動きはない。一方で、当日その場にいたはずの亀梨氏に対しては山下氏ほど報道されていない。

もしかしたら、事務所は亀梨氏を守るために、山下氏に対するネガティブ報道をあえて放置しているのかもしれない。実際、山下氏は昨年、ハリウッド俳優ウィル・スミス氏が設立したマネジメント事務所と契約しており、氏の海外での仕事はジャニーズ事務所が委託を受ける二重契約状態となっている。そして「山下氏がジャニーズ事務所を退所する意向」である旨は昨年来度々報道されているのだ。

ご存知のとおり、ジャニーズ事務所は同所を離れようとするタレントに対して大変厳しい姿勢をとる。元SMAPの香取慎吾氏、草彅剛氏、稲垣吾郎氏をテレビ番組に出演させないよう各局に圧力をかけたとして、公正取引委員会が事務所に注意をおこなったことも記憶に新しいはずだ。

コメント 2020-08-26 114618

日本経済新聞 2019年7月18日付記事より)

少なくとも、今般の事案は単なる「ジャニーズ有名タレントのスキャンダル」だけで片付けられるものではなく、何かしら大人の思惑が絡んだ事件のように思われてならないのだ。

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