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第26話「JAM初参加(2/2)」

(前回からの続き)
「よろしくお願いしまーす。かんぱーい」という控えめな乾杯から始まりました、社会人サークルJAMのイベント。
 皆喋り始めるのを探っているのか、沈黙の間が……。
「じ、自己紹介しましょうか」
 耐えきれなくなったので、私から切り出しました。
男性A「そうですね、じゃああなたから」
タクヤ「!!!」
 言い出したのになんなんですが、心の準備が……。
タクヤ「え〜っと、タクヤです。え〜っと、趣味は映画鑑賞です。特技はありません。よろしくお願いします」
 普通! いや普通以下!
 自己紹介は基本的に名札に書いてある情報を言うだけです。と言っても、みんな趣味も特技も、話が膨らみそうなものばかりを言っています。
 私は何も無いです。「おぉー」ってなるような特技が欲しいのですが、何も無い……。もう嘘ついちゃいましょうか。「やってみろ」とか言われたら困るので、その場ではできないやつ。「すげー」ってなる特技を言いたいです。

「特技はホットケーキを焼くことです。ひっくり返すと同時にバク転ができます」

 これ良いですね。「すげー」ってなります。これにしましょうか。『サザエさん』に出てくるマスオさんの特技なんですが。誰かに「それ、マスオさんの特技!」とツッコんでもらえれば完璧です。

 飲み会の方はかなりの盛り上がりを見せております。何故かと言うと、男性Aの仕切りが異様にうまい。以下シキリンとします。シキリンはまんべんなく皆にトークを回します。女性に聞くだけじゃなくて私たち男性にも聞いてくれます。そして笑いも取る。ちょっと憧れの感情すら持ちました。私が女性ならシキリンにアタックをかけます。隣のタクヤとかいう男には見向きもしないです。「つまらないから喋るな」とすら思います。
 とにかく私は話を盛り上げることができません。シキリンから映画の話題が出て、「最近観た映画はなんですか?」と聞かれた時のこと。皆順番に映画名を言って盛り上がっています。さぁ私の番です。趣味で「映画鑑賞」と言っているので、さぞかし通好みの「ミニシアターで観ました」的な作品を言うのではと皆の期待が高まります。私の回答は、「『インサイド・ヘッド』です」。
 ……半年前の映画。しかも王道のピクサー映画で全然通じゃないし。みんな反応に困っている感じ。
 俳優の話になった時も、「一番格好良いと思う俳優は?」というテーマで、皆、オーランド・ブルームとかジュード・ロウとか答えて行きます。私の回答は……、「トム・クルーズ!」。
 ……うん、そりゃ格好良いんだけど、王道すぎて盛り上がらないんだよね。そんな空白の間。
 タクヤは話が膨らむ回答ができない! 私が女なら絶対にタクヤには行かないですね。

 全てのテーブルを回り終えて、シキリンの活躍により、とても楽しい飲み会になりました(私のダメな回答が記憶に残らないほど)。
 スタッフが「これにて終了となります。皆さん連絡先を交換されるかと思いますが、お店の外で交換するようにしてください」という挨拶でお開きになりました。このスタッフの言葉のおかげで、お店の外に出たところで自然と皆LINEを交換しています。
シキリン「二次会行きましょう!」
 LINEを交換中、シキリンからのまさかの二次会の提案。女性陣は6割くらい帰りましたが、4割残りました。男性陣は私含めて8割くらい残り、いざ二次会へ!

 残念なのは、私の気になっていた女性が帰ってしまったこと。
 私は二次会へ行く道中、隙を見つけてLINEを送りました。今日のお礼と、今度またお話ししたいですという文章を。
 すぐに返事が来ました。するとなんと、承諾のお返事が! すんなりマッチング成立です! もはや二次会へ行く理由がなくなりましたが、店の前まで来てしまったので入ることに。

 二次会はシキリンの本領発揮です。まだ実力を出し切っていなかったのかと言うくらい、今度は4テーブルいっぺんにトークを回し始めます。マジで尊敬です。面白い。あんた何で彼女いないんだよ。
 そんな中、またLINEが来ました。さっきマッチングした女性かなと思ってチラッとチェックすると、なんと違う女性からでした。

 今日はありがとうございました。楽しかったです。もしよろしければ、またお会いすることはできませんか?

 え? モテ期? すごく嬉しい。
 ただ、もうすでに一人マッチングしてしまっています。同時進行なんて私にはできません。断腸の思いで、すごい丁寧に、嬉しいということも伝えて、お断りしました。

 そんなこんなで二次会も終了。とても楽しい飲み会でした。シキリンも満足げです。
 次回はマッチングした女性と出かけます。

 続く。

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