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フリーランスがサラリーマンに戻れない理由

以前のコラムで、独立して雇われない生き方は、フリーランスの場合は、結局のところ、雇っていただく生き方になるので、そんなに大差はないという話をした。

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しかし、52歳の現在、再び会社員として雇われる生き方に戻るかと言えば、そうはしない。大差はないけど、微差がある。そして、その微差が大きい(大きいなら微差とは言わないかもしれない)。それがフリーランスという生き方になる。

僕はできの良い会社員ではなかったので、30代半ばまで暗黒の時代だった。成果が上がられずに転職を繰り返し、コンビニエンスストアで深夜のバイトをしていたこともある。

転機がやってきたのは30代の後半で、小さな会社に転職をしたことがきっかけだった。それまでは大手や中堅の会社で仕事をしていたのだけど、零細企業というのは人材の質とシステムが整っていなかった。要は、ダメ社員だった僕でも、その会社が知らない情報を知っていたので評価をされたのだ。結果、入社から3年で年収は1000万円になった。それ以来、独立した今でも、僕はエリートではない会社員の最大の出世方法は、今いる会社よりも小さく遅れている会社に転職をして役員になることだと伝えている。このノウハウは、拙著『普通のサラリーマンが年収1000万円になる方法』で公開している。

ところで、なぜ自分が勧めている小さな会社の役員という立場から独立をしたのか?という話だけど。平たい言い方をすると、報酬ほどの仕事ができなかったからである。もともと大して有能ではないので、知識をいうアドバンテージを失った僕は、それほど役に立つ人材ではなかったということである。

ちょうどリーマンショックもあり、報酬も下がることが確定していた。ところが、当時は東京郊外に家を買い、外車に乗り、二人の娘が私立中学に行っていた時期なので、年収が下がるわけにはいかなかった。それで、独立をしたのであるが、悲しいことに、さらに収入が下がることになった。事業計画書を作成し、金融機関から「事業融資」という名目でお金を借りたけど、ほとんどを生活費に当てていた。それにしても日本は優しい国なのか、創業融資にはいくつかの制度があり、複数を利用して、合計で1000万円ほど調達をすることができた。1年の猶予の後は返済がスタートするので、それから10年あまりは毎月の返済に苦しむことになる。

ということで、やはり中小企業の役員というポジションが最も安定性が高いと言えると今でも思っている。

独立するにしても、フリーランスだと仕事をいただく(雇っていただく)ことになるので、自由ということはない。しかも、契約がなくなれば無職になる恐れもある。

それでも、会社員に戻りたくない理由を考えてみるといくつかある。

・突然に収入が上がることがある(下がることもある)。
・上司の決済がいらない
・出勤しなくてもいい

僕にとって最も大きいのは、上司の決済がいらないということだ。在職中は役員とは言え、実質はサラリーマンなので、毎回社長に確認をしていた。そこで的外れ(僕が外れているかもしれないけど)な指示が出ると仕事に時間がかかるし、思うように動くことができない。フリーランスの利点は、社内調整が不要なので、思うようにできないことがなくなる。言い方を変えれば自己責任ということになるのだけど。

おそらく、世の中の会社員が不満を言いたくなるのは、

・評価に納得できない
・上司か部下が無能
・通勤と残業による疲労

ということに集約されるのではないか。少なくとも僕に関してはそうだった。他には、やりたくない仕事に配属されるということもあるかもしれない。

フリーランスになって思うのは、やりたいことができるとは限らないけど、やりたくないことをしないですむということだ。

仕事をするにあたっては、この違いは大きいかもしれない。


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