映画「大怪獣のあとしまつ」視聴後分析(ネタバレ全開につき注意!)

映画「大怪獣のあとしまつ」という凄い映画を見た件|BK477|note
これは、↑の続きにあたるnoteです。
既に視聴された方=共に同じ地獄を体験した戦士達に向て書きます。
一体この映画は何だったのか? 何がこの映画をここまでつまらないものにしたのか?これを整理していきます。

まず、私が思う主なマイナス点をあげます。

1.そもそも脚本が終わってる
2.演出・演技指導が終わってる
3.編集が終わってる
4.映画の売り方が間違っていた。(内容と広告の乖離)

1.そもそも脚本が終わってる件


私が一番強烈に感じたのは、まずここです。
なぜ、これで行けると思ったのか?
どうしてこの内容で撮影GOかけのか?
責任者に強く問いただしたい。
既に視聴された方向けに書きますがのでネタバレします。
この映画の大きな流れは
怪獣が死んだ所から始まって、腐敗が始まった死体をどうにかしなければいけないという点から始まりますが、「なぜ(Why)」が説明されないので、視聴者はいきなり躓いてしまうのだと思います。
怪獣の死体が腐敗するとどんな問題が起きるのか?
どんな影響が発生して、誰が困るのか?

この最も重要な説明が欠落しているので、視聴は漠然と「とりあえず、処理しなければいけないんだな」という感覚からはじまって、劇中のキャラクターに感情輸入もできず、いきなり、おいてけぼりになってしまいます。

「なんでこの人達(政治家とか)は困っているの?何がしたいんだろ?」
と感じた人はいらっしゃるのではないでしょうか?
一般的な「起承転結」の「起」が不足しているのです。

映画のはじめに問題点を観客につきつけなかった事が、1つ目の大失敗だったのではないか。私はこう考えます。
たとえば「怪獣の死体が隅田川のど真ん中だ!このまま死体が腐ってしまえば、ものすごい汚水・病原菌を太平洋に垂れ流してしまう! そうなれば日本周辺だけでなく、下手すれば世界中の海の生態系も変わってしまう!日本で漁業ができなくなってしまう!日本経済も生活も終わってしまう!」というような、これは大問題なんだぞ、という問題提起がもしあったなら…
それだけで観客の印象は変わったのではないでしょうか。

たぶんこの映画は
「大きな問題を前にして、みんな右往左往するが結局何もできなかった」
という様を描きたかっただと推測しますが、
わたしの視聴後の印象では
「何故みんなが右往左往しているのか解らない、何がしたかったのか解らない」という印象でした。

そして、脚本の大オチ、ラストです。
主人公が結局、ウルトラマン的な存在で、怪獣を宇宙に持っていく…
という終わり方なのですが

「最初からやれよ!!!」


私含め、きっと視聴された全員が、口を揃えて同じことを言うはずです。
「それができるんなら、なんでもっと早くやらなかったの?」
「これまでの皆の苦労はなんだったの?」
「ふざけるな!」
この最低最悪のオチは、この映画の2つ目の大失敗だと考えます。
終わり良ければ全て良し、という諺がありますが、
とある論文でも「人間はものごとの最後の印象で、全体の印象が大きく変わる」という報告があるとかないとか。

たとえば「レディ・プレイヤー・ワン」という映画があります。
この映画は、VR/ARの仮想現実を描いた世界で、劇中に素晴らしい台詞やシーンがたくさんあります。しかし最後の最後に「やっぱり現実の方が大切だよね」みたいな、それまでの全てを否定するかの事を言い放って、全てを台無しにする映画です。 まだ見てない人、ごめんなさい。

そう、いかにスピルバーグの映画でも、途中がどんなに素晴らしくても、
やっぱり最後が肝心なんです。
もしこの映画も、大オチがもっと別の落とし方であれば…
他にも言いたい事はありますが

1.そもそも脚本が終わってる件は主に、この2つが原因だと考えます。
 ・観客への説明不足(起承転結の起)
 ・全てを台無しにする結末(起承転結の結)
シンプルに「起承転結」ができてないんですよね。
やっぱり脚本として成立していないと思います。

2.演出・演技指導が終わってる件

これ、全員真顔で撮影してたのでは?
「内輪受け」していたのか、撮影現場の人だけ笑っていたのでは?と推測している人も居ますが、私は懐疑的です。
変に長いキスシーンとか、変なスローとか、
なんでこの演出?という、頭にクエスチョンが浮かぶシーンが本当に多かったです。
いろいろな俳優がカメオ的に出てきますが、みんな変な仮装をしているんですね、この仮装も、マジで意味がわかりません。
ボケているのか、真面目にキャラ付けしようして失敗しているのか解らないんですね。

内閣の大臣たちの会議シーンも多いのですが、
そこでの大臣達のやりとりも、本当に意味がわかりません。
なんか皆で色々言っているのですが、
次々に意味不明な事を言い放って、会話になってないんです。
ぼんやり眺めていると会話している"ように"見えるんですが、よく聞くと前後の台詞がつながっていない。言葉の応酬があるのですが、つながっていないので会話じゃないんですよ!怖ッ!!

宇宙人が人類の言葉をサンプリングして、意味を理解せずに流している

ようなゾワッとするような恐怖を感じたシーンがいくつもありました。
この恐怖感、ぜひ味わって頂きたい。

3.編集が終わってる件

せめて話の流れがわかるようにしてくれ
と祈りを捧げた瞬間も度々ありました。

たとえば、オダギリジョーがダムの爆破に向かったあと、
突然ダムから水が流れてくるシーンに切り替わる、という場面があります。

その瞬間を、あえて映さない、という手法があることはわかっていますが

それにしても
「オダギリジョーがダムにたどりついた」
「オダギリジョーが爆破に挑む」
「爆破が成功した」
という3つの

あるべきシーンが無い

のです。最後の結果に突然変わるので、見ている側が困惑します。

これは普通の見せ方だったらば、
「オダギリジョーがダムにたどり着いて、爆破に挑む」ところまで見せて
爆破が成功したかどうか!?という瞬間だけをあえて見せないで、
観客に結果を想像させる(クリフハンガー)というのが
よくあるパターンですよね。
そして「水が流れて来た」という結果のシーンを見て観客は
「あ、爆破に成功したんだな」とはじめて安堵できるんですね。
ここでも「起承転結」の「転」に失敗しています。

他にも後半で
「主人公が怪獣の肌を登り始める」→次のシーンで「登りきっている」
みたいな、途中経過をすっ飛ばしていきなり結果に行ってしまうなど、
理解が追いつかない場面が複数ありました。

そのくせ、どうでも良い人間関係のシーンばかりで
シーンの取捨選択(編集)すら、まともにできてない

映画の大枠である脚本と、ディテールの演出や編集、全てにおいて
「起承転結」ができてない=話として成立してないと感じました。

4.映画の売り方が間違っていた。

たぶん、この映画はコメディとして製作されたのだと推測します。
正直に言って、私にはボケているのか、真面目に作っているのか
判断が難しいところでした。それでも、
コメディとして製作されたのならコメディ映画として売りましょうよ。

でも、広告代理店の売り方も不味かった。
この映画(2022)の前、誰もが知る「シン・ゴジラ」が2016年に公開されており、シンゴジは、空想科学読本的な、かなり真面目なドキュメンタリーチックな作風でした。

本作のキービジュなんかも、真面目な映画のように作られていて

多くの人は「真面目な映画なんだろうな」そんな印象・期待値を持った

かと思います。でも、蓋を開けてみればコメディ映画"風"だったわけで、
のギャップ・落差が、この映画の評判に大きくつながったのは疑いようがありません。この中身と広告の乖離も、大きなマイナスだったと思います。

もっとも、広告代理店は、映画の中身を知った上で「これじゃ売れないな」と実は判断していて、炎上覚悟で1円でも予算を回収すべく
広告でみんなを騙した可能性も、かなり高いと私は推測しています。

そういう点では、これだけ内容が酷い映画で、よくこれだけ(4~5億?)稼いでくれたと私が制作陣だったら、広告代理店を褒めているでしょう。

さいごに

まーとにかく「起承転結」の基本が出来ていない、シッチャカメッチャカな内容で、オチも丸投げの最低と言える作品でしたが私は、この2時間の苦痛な時間の中で、

3箇所だけ笑ってしまった

シーンがありますので、それを紹介します。
1つめ:命名「希望」のシーン
やっぱり、ベタはいいです。志村さんも「ベタを忠実に」と言っていたらしく、なんで死んだタイミングでの命名なの?ふつうは登場した時だろ、
というツッコミは全て忘れて、あまりの馬鹿馬鹿しさに、大笑いでした。

2つめ:「う○ことゲロの中間のような~」
ここまで直球だとやっぱり良いですね。
わたしはこういう低俗な下ネタは嫌いじゃないです。
もっとこういうシーンだらけにして、全編通して下ネタ一色にしてしまうぐらいの勢いでも良かったように思います。
いいじゃないですかターゲット層が小学生でも。

3つめ:「あの、一つだけちがうキノコは何ですか?」
これも、わかりきってるところに、敢えて言うというベタが素晴らしいです。観客は「言うぞ言うぞ…」と想像している中で、やっぱり言う。
この想像から外れないベタが良いです。

以上、2時間で3笑いというのが、このコントを見た結果でした。
KOCでも0点ではないでしょうか。
でも、ベタの素晴らしさを再認識できたのは良かったです。
やっぱり万人に共通の笑いは、下ネタなんですよ(迫真)

さいごのさいごに

私はまだ「デビルマン」を見ていませんが、
これだけ酷い映画もなかなか無いと思います。
私が1本の映画について、これほど文章を書くことはほとんどありません。それほどの原動力になったことも確かです。
この映画を見れば、あなたの人生の最低ラインが更新されるかも?
そういう点では貴重な1本であるので、ぜひ見識を広める為に視聴して頂きたいです。きっと「見て損をしたな~」と感じる方も多いでしょう、
というか、たぶんそういう後悔をする人の方が多いと思います。
それでも勇気のある人は、振り絞って視聴されてはいかがでしょう?
人生が変わるかもしれませんよ






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